犬にみかんを与えても大丈夫?
犬にみかんをあげても大丈夫?
犬にみかんを食べさせても大丈夫ですが、与え方にポイントがあります。みかんが含まれる柑橘類の中には犬の病気や薬との食べ合わせが良くないものもあり、みかんと同じ感覚で食べさせないように、しっかりと違いを把握しておきましょう。
<目次>
犬にみかんを与える時は皮をむいて果肉だけにする
消化を考えて、薄皮もむくようにしましょう
みかんは犬に食べさせても大丈夫な食材です。
ですが、柑橘類の外皮に含まれるソラレンという成分を犬が口にすると、嘔吐、下痢、皮膚炎や気分の落ち込みといった症状を起こす可能性があります。みかんの外皮にはソラレンが含まれていないという情報や、ソラレンは加熱によって減少するという説もありますが、犬に関する明確な情報がわかっていないため、念のため避けておいた方が安心です。
果肉が包まれている白い薄皮(じょうのう)は、消化の点を考えて、むいてからあげるようにしましょう。
日本食品成分表によると、みかんと同じ柑橘類の夏みかん、いよかん、オレンジ、グレープフルーツは、それぞれの栄養成分に多少の差はあるものの、ビタミンAの量以外にみかんとの大きな差は見受けられません。
外皮ごと包丁で切ったり、外皮がついたまま果肉を絞ることのある柑橘類に関しては、ソラレンが混入する可能性もあります。犬に与える場合は、外皮が触れないように注意してください。
みかんの成分には、体に潤いを与えたり脂肪細胞の減少が期待できる
犬がみかんを食べると健康にいいことは?
犬がみかんを食べた場合の健康への働きについて、明確な研究発表は存在していないようですが、期待できる働きを2つご紹介します。
1:体に潤いを与える
東洋医学では、みかんを食べることで口や喉の乾燥を解消する働きが期待できます。空調や天候などで空気が乾燥している時の犬のおやつに取り入れてみてもいいでしょう。
2:脂肪細胞の減少が期待できる
みかんに含まれる特徴的なビタミンの一種であるβ-クリプトキサンチンには、脂肪細胞の減少や脂肪細胞そのものが大きくなることを抑制したという、ヒトやマウスへの実験データもあります。
犬はみかんの消化が得意ではないので、与えたあとは体調を観察する
どのような食材でも、良い面と良くない面を持ち合わせています。みかんを避けた方がいい犬はいるのか、みかんと相性の悪い薬はあるのか、飼い主としては気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)にお伺いしました。「みかんの果肉のつぶつぶ(砂じょう)は、犬にとって消化の苦手な部分でもあります。みかんを与えた後は2~3日のあいだ便の様子を観察し、粒がそのまま出てくるようであれば、果肉を潰すかミキサーにかけてから与えるようにしてください。
また、みかんと同じ柑橘類の一種であるグレープフルーツには、フラノクマリンという成分が含まれています。この影響で、免疫抑制剤や高脂血症の薬が強く効きすぎてしまうことが考えられます。
一般的に”みかん”と呼ばれている品種である、温州みかんにフラノクマリンは含まれていませんが、夏みかんやいよかんなどにはフラノクマリンが含まれているため、免疫抑制剤や高脂血症の薬を飲んでいる犬には柑橘類を与えないようにした方が安心です。
みかんと他の食べ物、植物とのアレルギーの関連性の報告は今のところありません。」
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
みかんの粒は消化されにくいので、上記の表を参考にして少量ずつ試すようにしてください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は、体調に変化がないか様子を見てください。
みかんの缶詰やみかんゼリーなどの加工品は犬に与えないようにする
人間用に加工されたものは、原材料をよく確認して判断しましょう
みかんを使った加工品はあまり多くありませんが、基本的には犬には避けておいた方が安心です。身近にあるみかんの加工品を、犬に与えない方がいい理由を把握しておきましょう。
・みかんの缶詰
砂糖、香料、人工甘味料などから作られたシロップ漬けにしてあり、犬の健康維持には適していません。水洗いしてもシロップの成分は落ち切らないので、犬には与えないようにしましょう。
・みかんゼリー
砂糖が多く含まれているので、肥満につながる可能性もあります。商品によっては洋酒が含まれているので、市販のみかんゼリーを犬に与えることはおすすめできません。
・みかんジュース
原材料がみかんだけの果汁100%のみかんジュースを少量であれば与えても大丈夫ですが、甘味は犬が好む味覚でもあるので、ついつい与えすぎてしまうことも考えられます。舐めさせる程度にとどめておいたほうが無難です。
犬にみかんを食べさせても大丈夫?まとめ
- 犬にみかんを食べさせる時は外皮、薄皮はむいてから与える
- 体に潤いを与えたり、脂肪細胞の減少が期待できる
- グレープフルーツ、夏みかん、いよかんは一部の薬の効果に影響が出るため、柑橘類の全てをみかんと同じ感覚で与えない
- みかんの缶詰、みかんゼリーといった加工品は犬には与えないようにする
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
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