子どもにとって犬はよき友達となり、兄弟にもなり、時に守り手にもなってくれます。その反面、互いに脅威の対象となってしまう場合もあり得ます。犬と子どもとのつきあいにおいて、どんな点について考えておいたらいいのでしょうか? 


犬にとっての子どもの脅威

眠っている赤ちゃんと犬

親が犬と子ども、両方を守り、お互いについて教えてあげることで、かけがえのない友達になることができる:(c)ichi ichi zero ichi/a.collectionRF/amanaimages


犬にとって、子どもは体も小さく、不可解な生き物として映っているのかもしれません。
  • 突然、奇声をあげて走り回ったりする。
  • 犬に対して乱暴な扱いをする。
  • 平気で犬の物を取り上げたり、食事の邪魔をしたりする。
  • 犬が発するサインを理解できない。
子どもというのはこうした予測不能な行動をとり、まだ自分をコントロールできない分、いくら穏やかで我慢強い犬であっても、子どもの態度が度を過ぎれば堪忍袋の緒が切れることがあります。「この犬はとても優しい性格で、絶対に人を咬まない」と過信するのは禁物です。実際に、そうした“優しい”とされる犬が子どもを咬むケースもあるからです。

また、私たちは体験的に犬にもジェラシーがあると考えています。アメリカで36頭の犬を対象に行われた犬のジェラシーに関する研究においても、相手は犬のぬいぐるみではあるものの、飼い主がそのぬいぐるみを可愛がっている素振りを見せると、ぬいぐるみとの間に割って入ろうとしたり、中には荒い態度に出る犬もいたり、ジェラシーと見られる行動が観察できたとしています。

犬が先にいて、子どもが後から生まれた場合、状況によっては犬にとって赤ちゃんがジェラシーの対象になることもあるでしょう。


子どもにとっての犬の脅威

逆に、子どもにとって犬が脅威の対象になることもあります。2010年にアメリカで行われた調査によると、犬が子どもを咬む場合、多くが顔(特に目)や首などの頭部を狙うそうです。子どもの身長が低いので、当然そうなるということも理由になるでしょうが、それはともかく、体に残った傷はもちろん、子どもの心に残るトラウマは計り知れません。

人間の手にあたるものは、犬にとっては口になります。小型犬でも深い傷をつくることは可能であり、大型犬ともなれば破壊的な力となります。小さな子どもにとっては脅威となるものを犬は持っているのだということを、私たちは忘れてはなりません。

一方では、犬と子どもがよい関係を築けているケースはたくさんあるわけです。多くの人がそうなることを望み、犬にとっても、子どもにとってもトラブルになるようなことは誰も望まないでしょう。

では、犬と子どもとがよい関係になれるには、どんなところに配慮したらいいのでしょうか? 


子どもが赤ちゃん~乳児である場合

犬と幼児

お互いを少しずつ慣れさせるのと同時に、安全対策も忘れないようにしたい:(c)RYO/a.collectionRF/amanaimages


突然、犬に赤ちゃんを会わせるより、前もって少しずつ慣らしておくのがベストでしょう。

人でも犬でも産まれてくる前の環境は、赤ちゃん・子犬に影響すると言います。ある研究では、50人の妊婦さんに対して出産前に音楽を聴いてもらい、産まれてきた赤ちゃんたちに同じ音楽と別の音楽を聴かせてみたところ、赤ちゃんたちはお腹の中で耳慣れていた音楽を聴くと心拍数が下がる傾向にあったそうです。

ということは、お腹の中で聴いた音を覚えているということなのでしょう。ちなみに、人の赤ちゃんの場合、産まれる3ヶ月くらい前から聴覚が発達し始め、蝸牛のような聴覚器官が成熟するのは産まれる5週間くらい前だとか。

実際、お母さんのお腹の中にいた時から、同居犬の吠え声を聞いて産まれてきた赤ちゃんは、眠っていても犬の吠え声にびっくりして目を覚ますということも少ないようです。

しかし、音楽であっても、たとえばデバイスを直接母親の体にあてて聴くというようなことは聴覚に刺激を与え過ぎてしまうので注意が必要ということですから、胎教の一つとして犬の吠え声に慣らすことを考えるならば、過剰にならない程度に、ごく自然な形で慣らすのがいいということですね。

また、赤ちゃんの出産後は、自宅に戻るまでの間に、赤ちゃんの匂いがついたものを犬に嗅がせるなどして匂いに慣らしておくといいと思います。

犬と赤ちゃんが初めて対面する時には、赤ちゃんを抱いて、安全な範囲でそっと犬に近づけ、その匂いを嗅がせてご挨拶。この時、新生児ゆえに、犬が赤ちゃんに手をかけたり、舐めたりすることはやめさせた方がいいでしょう。犬が赤ちゃんに対して友好的な態度をとっている時には充分に褒めてあげます。

その後、犬と赤ちゃんとの共同生活が始まるわけですが、犬と赤ちゃんから目を離さなければならない時には、犬が勝手に赤ちゃんに近づけないようゲートを設けておくことをお勧めします。

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