老後は家計の支出を減らすダウンサイジングが必要
老後の準備で最も気になるのは「お金」だということに異論はないはずです。ただし、老後を迎えるまでに準備(確保)することができるお金には限りがあることから、一方では家計の支出を減らすダウンサイジングが必要なのです。50代でやっておきたい老後の生活への準備とは
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50代でやっておきたい老後のお金への準備とは
では、いくら準備していくら減額しなければならないのでしょうか。残念ながら万人に共通の正解はありません。なぜなら老後の生活スタイルは1人1人異なるからです。
言い換えれば、我が家の老後のライフスタイルがわかれば、準備しなければいけないお金と減額しなければならない支出が見えてくるはずです。
そのためのキーワードが「3W1H」なのです。
我が家の老後の青写真(ライフスタイル)を描くためにまずは3W1Hを考えることから始めましょう。3W1Hの3Wとは「WHEN(いつ)」「WHERE(どこで)」「WHO(だれと)」で、1Hは「HOW(どんな風に)」です。具体的に見ていきましょう。
WHEN(いつ)は、完全リタイアする年齢
WHEN(いつ)は、完全リタイアする年齢のこと。公的年金とリタイアまでに蓄えたお金だけで生活していくのは何歳からですか?ということです。現在、50代後半の人は65歳以前から部分年金を受け取ることができますが、男性は1961年4月2日、女性は1966年4月2日以降生まれの人は公的年金の受け取りは65歳からになります。仮に65歳未満で完全リタイアして老後生活に入るとすれば、65歳で完全リタイアする人より多額のお金を準備しておかなければなりません。逆に元気なうちは65歳以降も働くと考えるならば、65歳で完全リタイアする人より準備するお金は少なくて済むことでしょう。
50歳代で決めるのは難しいかもしれませんが、老後の準備という意味では完全リタイアする年齢を決め、その年齢から逆算して準備するべきなのです。注意すべき点は、準備を怠った結果、やむを得ず生涯現役(働き続ける)となり豊かな老後を過ごすことができなくなることです。
WHERE(どこで)は老後はどこに住むのか
WHERE(どこで)は、老後はどこに住むのかという「終の棲家」のことです。老後住む家は、現在住んでいる家か、あるいは夫婦どちらかの田舎で暮らすUターン、旅行や仕事の転勤などで行ったことがある地方へのIターンということもあるでしょう。住むところが重要なのは、住む場所によって物価水準が異なるからです。日常の買い物のほか、水道光熱費なども違ってくるのです。仮に買い物や水道光熱費で月3万円違ったとすれば、年間36万円。老後の生活を20年とすれば720万円、30年とすれば1080万円も異なるのですから、その分準備するお金がやはり違ってくるというわけです。
WHO(だれと)は何人で1つ屋根の下に生活するのか
WHO(だれと)は、正確には何人で1つ屋根の下に生活するのかということです。夫婦2人だけ、あるいは子ども世帯と2世帯、親世帯との2世帯もあるでしょう。場合によっては、子ども世帯、親世帯と同居の3世帯もありえないことではありません。住む人数が増えれば増えるほど、1人当たりの食費や水道光熱費が減少する反面、収入は増えることでしょう。つまり生活は楽になるというわけです。
HOW(どんな風に)は、老後の過ごし方
HOW(どんな風に)は、老後の過ごし方のことです。老後は晴耕雨読という人もいれば、現役時代にできなかったボランティアに勤しむ等々、過ごし方によって日々の生活費が異なるはずです。晴耕雨読で過ごすことを考えている人は、生活費は大してかからないでしょうから、ボランティアなどに勤しむ人より準備するお金は少なくて済むことでしょう。簡単に言えば、老後にやりたいことがたくさんある人の方が多額のお金を準備する必要があり、やることが少ない人ほど準備するお金は少なくて済むようです。お金の準備が大変だから、老後は極力やることを少なくしようなどと決して考えないでください。
確かに準備するお金は少なくて済み、生活費もかからないでしょうが、現在仕事に割いている時間が全て自由になるのです。自由または毎日が日曜日と言い換えるのは良い響きかもしれませんが、やることがないと数日で時間を持てあましてしまうことでしょう。
3W1Hのいずれもが大切ですが、最も大切なのはHOWの過ごし方です。そのためには、老後もある程度は忙しく過ごすことです。自宅にばかりいると、奥様に粗大ごみ扱いされるかもしれません。それと最低限の家事はできるようにしておきましょう、世の男性諸君!
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【参考文献】55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣(明日香出版社)