記憶術

方向音痴の人のための記憶術

「私は方向音痴だから……」と「生まれつきのもの」だと思って諦めていませんか? でも、あなたは「方向」についての練習や訓練をしたことがありますか? おそらくないのではないでしょうか。「方向音痴」はちょっとした訓練で改善し、克服できる可能性があるのです。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド

 「方向音痴だから…」と諦める必要はありません!

方向音痴を治す方法

方向音痴を治す方法

「あれ? 確かこの方向だと思っていたのに……」
「えー……今どっちに向かって歩いているんだっけ」

スマホの地図アプリを見ているのに、方向がわからなくなってしまう……。自分のことを「方向音痴」だと思って一生このままだと諦めているあなた。

ちょっと待ってください。

あなたは、少しでも「方向」についての練習や訓練をしたことがありますか?

くり返すことで、経験が記憶になる

たとえば、次の計算をあなたはできるでしょうか?

5+7+4+9+8+9+4=??

おそらくこの記事を読んでいるあなたは、暗算でできたでしょう(答えは46です)。

しかし、小学生になったばかりのあなたはできなかったかもしれません。でもそのとき「計算音痴」として諦めませんでしたよね? 小学校の算数で何度何度も計算練習をくり返すなかでできるようになったわけです。

つまり、計算した経験が記憶となり、その記憶によって今では楽にスラスラとできるのです。

これと同じように「方向音痴」ならぬ、方向が苦手なあなたもちょっとした練習をくり返して、方向をつかむ経験を記憶していくことで克服できる可能性があるのです。

わかるところだけでも書き出してみる

まずは、あなたの家から近くの駅やバス停など、あなたが毎日よく出かける場所までの地図を頭の中で思い浮かべてみてください。

「方向音痴」のあなたは、おそらく頭の中で地図をサッと思い浮かべることができなかったでしょう。

そこで落ち込む必要はありません。まずは紙とペンを用意して、わかるところだけでもいいので書き出してみましょう。

計算練習でも最初は紙に書いて一つずつ計算したでしょう。それと同じです。

経験が少なく、使える記憶が少ないうちは、頭の中で思い浮かべようとしても、「ワーキングメモリ」という、情報を一時的に蓄えておく領域が一杯になりフリーズ(一時停止)しがちなので、まずは無理せずに書くことです。

書くことで少しは地図が描けるようになり、描けた部分は頭の中でも思い浮かべられるようになっていったでしょう。

このように自分がよく知っている場所で地図に書きつつ、何度も思い浮かべて記憶を作ることが、「方向音痴」を克服するための練習の第一歩です。

「ドローン」の目から眺めてみましょう

「紙に書こうとしてもゴチャゴチャに混乱して書けません」

紙に書こうとしてもなかなか書けない人がいるかもしれません。そんな人は自分が地上何メートルくらいの高さから見て書こうとしているか、自分を振り返ってみて下さい。

「え? 地上何メートルと言われても……。いつもの目の高さですが……」

なかなか地図が書けない人は、このようにいつもの歩いている目線で思い出していることがほとんどです。

目の前の細かい情報に気をとられたり、頭の中で移動するにも時間がかかるので、地図がサッと書けなかったり、思い浮かべたりすることができないのです。
方向音痴な人が思い出す地図

方向音痴な人が思い出す地図


では、方向音痴でない人が思い浮かべる地図は何が違うのでしょうか?

それは「視点が高いこと」です。「鳥瞰する」、すなわち、鳥の目で見るなんていいますが、鳥になったつもりで高いところに視点をおいてみてください。今だったら、「ドローン」を飛ばして、そこからの映像を思い浮かべたほうが想像しやすいかもしれません。
方向音痴でない人が思い出す地図

方向音痴でない人が思い出す地図


上空から眺めるとまさにまるで地図を見るように、細かい情報は見えなくなり、抽象的なシンプルな形になっていきます。このほうが情報が少なくなり、ワーキングメモリも圧迫しないので、楽に地図を描き、思い浮かべやすくなるのです。

ぜひ、視点を上空高くに飛ばして、家から最寄りの駅やバス停までの道のりを上から眺める練習をしてみてください。

最初はなかなか慣れないかもしれませんが、すぐに行ったり来たりできるようになるでしょう。視点を上げることが「方向音痴」をなくすための大事なポイントです。

「方向」を捉え続ける

自分の家の近くの場所で地図を楽に思い浮かべられるようになったら、ぜひ、新しいところで地図アプリの地図を見ながら「ドローンの目」の視点で自分自身と目的地までの地図を思い浮かべられるかチェックしてみましょう。

全部思い浮かべられなくても、落ち込む必要はありません。まずは次の曲がり角までなど途中まででもいいので、「ドローンの目」の視点で思い浮かべられるようにしましょう。

そして、練習する際に、もう一つ忘れてはならないものがあります。

それは目的地への「方向」。「方向音痴」の「方向」です。目的地が自分から見てどちらの「方向」にあるかを、大体でもいいので常に押さえておく必要があります。

実は、方向音痴の人は「方向」が音痴というかズレているというより、そもそも、目的地への「方向」への意識がないか、もしくは歩いているうちにいつの間にか飛んでしまい、「あれ? どっちだっけ?」ということになることが多いのです。

すでに紹介しましたが、人間にはワーキングメモリという一時的に必要な記憶を蓄えておく領域がありますが、その容量は限られています。目の前のものに注意を奪われ、「方向」への意識が弱いと、「方向」の記憶が飛んでしまいます。

「方向」がわからなくなったとき、ついつい地図アプリの地図を見ながら、周りを見回して「方向」を確認しがちですが、それよりも、地図を見ながら歩いてみましょう。そうすると、歩いている「方向」が確認でき、そこからを目的地の「方向」を再確認できます。

まとめ:方向音痴脱却の5つの方法

さて、いかがでしょうか? 

「方向音痴」と嘆く前に以上、ご紹介したような「方向訓練」をちょっとしてみてください。もう忘れている人もいると思うので、以下に簡単にまとめておきます。

1) 身近な場所を利用して、地図を思い浮かべる訓練をする
2) 「ドローンの目」で、シンプルで単純な地図を思い浮かべる
3) 新しい場所で、地図アプリを見ながら「ドローンの目」で思い浮かべる
4) 目的地への「方向」をワーキングメモリに記憶するようにする
5) 「方向」がわからなくなったら、地図アプリを見て歩いて再確認する

これらの方法で、「方向」の達人とまでいかなくても、「方向音痴」から脱却してください!

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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