室内干しスペースのプランはさまざま。光を取りこみやすいサンルーム
日々繰り返して作業しなければならず、天候や季節にも左右される洗濯は、手間のかかる家事のひとつ。ライフスタイルにもよりますが、忙しい時間の中で、スムーズに洗濯作業を行うため、新築やリフォームの際には、雨の日でも夜でも干しておくことができる、室内干しのスペースを検討することも必要でしょう。室内干しスペースとしては、ユーティリティスペースや洗面室、廊下や寝室を利用したり、換気暖房乾燥機を設置した浴室を設けるなど、いくつかのプランが考えられます。その中でも、洗濯物を干すことができるサンルームが欲しいという方も多くみられ、エクステリアメーカーからもさまざまな外部空間商品がラインアップされています。
風を採り込む開口で、乾きやすく湿気もこもりにくい。上下可動物干しなど、便利な機能も。[サニージュ 囲い納まり、Fタイプ2間6尺] LIXIL
1.サンルームや囲いスペースを物干し場とするメリット
2.サンルームとテラス囲いの違い
・居心地のよさが魅力のサンルーム
・家事効率を高めるテラス囲い
3.洗濯物干し場としての利用方法を明確にして適した商品を
4.洗濯物干しスペースとして使い勝手のいいパーツ
5.既存のバルコニーに設置できる囲いスペース
6.洗濯動線を考慮して設置を
7.ショールームで確認を。施工例を参考にしても
サンルームなどを物干し場とするメリット
サンルームなど、物干しスペースを取り入れるメリットは、プランニングにもよりますが、屋根や側面から太陽光がたっぷり入るため、北側にありがちな洗面室などに干すよりも乾きやすいこと、日常生活のスペースをあまり邪魔せずに干すことができ、取り込んだ洗濯物を仮置きも可能なので、急な来客などがあっても慌てて片付ける必要がないことなどが挙げられます。また、室内干し共通に言えることですが、雨の日や夜間でも安心して干せること、花粉や黄砂、潮風などから洗濯物を守ることができることなどがメリットでしょう。
サンルームとテラス囲いの違い
エクステリアメーカーの外部空間商品には、お馴染のサンルームのほかに、テラス囲い(囲いスペース)と呼ばれるものが揃っています。おおよそ、サンルームは心地よさを追求した商品、テラス囲いは家事効率を考えた商品と考えていいでしょう。もうひとつのリビングとして、デザイン的にも配慮された空間。竿掛けやハンガーなど洗濯物干しアイテムはオプションで用意。[EXSIOR ジーマ 施工例 軒プラスタイプ 商品色:本体:ホワイト+グレイッシュオーク内天井:グレイッシュオーク] LIXIL
メーカーや商品によって異なりますが、サンルームやガーデンルームなどと呼ばれるタイプは、気密性や水密性などを高め、居室のような快適さを追求したものが多くみられ、構造や開口部、内装などさまざまなバリエーションが揃っています。囲いスペースに比べると価格は高め。洗濯物干しなどに適するパーツは、オプションで設定されているケースが多いでしょう。
■家事効率を高めるテラス囲い
囲いスペースやテラス囲いは、テラス屋根と側面ユニット(パネル)、窓や出入り口扉などを組み合わせた雨風除けの商品のことで、サンルームよりも比較的、簡易な構造のものを指す場合が多いようです。どちらかというと、ユーティリティやサービスヤードとしての役割を重視したものが多く、洗濯物干しや家事のしやすいパーツも豊富に揃っています。
テラスを活用した囲い空間は、住まいの内と外をつなぐ空間。家事スペースとしても活用しても。[サンフィール3 テラス囲い スタンダードタイプ 床納まり+土間納まり アール型 屋根ふき材:ポリカ (トーメイマット) 部分囲い H2] YKK AP
洗濯物干し場としての利用方法を明確にして適した商品を
屋外空間商品を選びプランニングする際には、その空間を洗濯物干しとして、どの程度利用したいのかを明確にすることが大切です。ユーティリティやサービスヤードなどのように、主に家事をこなすために利用したいのであれば、囲いスペースといった商品を選ぶ方がいいでしょう。洗濯物も干すけれど、セカンドリビングとしての利用が多いのであれば、快適性を考慮したサンルーム商品をプランニングする方が向いています。
条件にもよりますが、いずれを選ぶにしても、目的に合わせた広さを確保すること。特にくつろぎの場と物干しを兼用する場合は、家具と物干しの配置や高さなど、使い勝手を充分に検討するようにしましょう。
空気が流れるような工夫も必要。独自の構造「エアールーバー」が、風の入口と出口となり、空気が循環する。 [サンフィール3 テラス囲い スタンダードタイプ 床納まり アール型 屋根ふき材:ポリカ (トーメイマット) 風の流れイメージ:洗濯物 H2] YKK AP
洗濯物干しスペースとして使い勝手のいいパーツ
サンルームでも囲いスペースでも、洗濯物干し場として使い勝手パーツやアイテムなどは揃っています。たとえば、可動式の物干しや竿掛け、ハンガー、物干し棚など。洗濯スタイルに合わせて選ぶことができるでしょう。また、室内干し特有の臭いやカビなどは気になるところですが、洗濯物が乾きやすくするために、風を効率よく取り込むことができる、ルーバーや上げ下げ機能などを持つ換気パネル、窓枠の左右、もしくは上下の溝に沿って滑り出すタイプの窓サッシ(滑り出し窓)、通風ドアなどの設定があるものも。調湿性能を持つ内装材を取り入れることができる商品、換気扇などをオプションで用意したものなどもみられます。
また、プランニングにもよりますが、外からの視線が気になる場合は、必要な部分にすりガラス状のパネルなどを用いるなど工夫をしてもいいでしょう。
洗濯物干しがしやすい工夫が施された囲いスペース。「上下可動物干し」は、目線の高さで作業ができ、干した状態で上へ。[サニージュ 上下可動物干し(使用時)] LIXIL
既存のバルコニーに設置できる囲いスペース
囲いスペースやテラス囲いなどの商品には、屋外(庭)に張りだして設置するタイプと、バルコニーに設置するタイプがあります。バルコニーに洗濯物を干すプランの場合でも、囲いを設けることで、天候を気にせずにすむでしょう。既存の造り付けのバルコニーやアルミ製のバルコニーにも設置することができるので、使い方に合わせたプランが可能です。風が強い日や雨の日でも、洗濯物を干すことが可能。正面、側面とさまざまな開口バリエーションが揃う。 [サンフィール3 躯体式バルコニー囲い フラット型 屋根ふき材:ポリカ (トーメイマット) エアールーバー 天井カーテン付 (開) H2] YKK AP
洗濯動線を考慮して設置を
洗濯物干しだけのために、サンルームや囲いスペースをプランニングするケースは多くはないかもしれませんが、室内物干しが主な目的なのであれば、洗濯スタイルに合わせて、洗う場所(洗濯機を置く場所)→干す場所→畳む場所の動線を考慮して、設置場所を検討するようにしましょう。できる限り短い動線で、行き来がしやすい通路(出入口の形状なども含め)であることが基本ですが、住まい全体の間取り関わるので、しっかりと計画しておくことが大切です。囲いスペースの中に、洗濯機も含めすべてをおさめるプランも考えられますし、カウンターなどを設けて畳む場所と干す場所を同じ空間とする方法もあるでしょう。
ショールームで確認を。施工例を参考にしても
サンルームや囲いスペースを選ぶ際には、できるだけ実際の商品を確認することが大切です。エクステリア商品のショールームは多くはありませんが、近くにある場合は積極的に活用すること。実際に、洗濯物を干すイメージをしながら、空間やパーツの使い勝手を体感するようにしましょう。ホームセンターなどでも扱っている場合もあるので、日頃からチェックを。依頼先に施工例を見せてもらうなどして、使い方の参考にしてもいいでしょう。【関連記事】
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