50代でやっておきたい老後の準備とは? まずは自分自身のこと
「老後なんて先のこと」と思っていても、50代になると現実味を帯びてきます。さらに、年を重ねるごとに老後のカウントダウンが進んでいくのですから、現実から目を背けるのではなく、老後への助走期間を有意義に活用しなければなりません。では、老後の準備には何から始めたらよいのでしょうか。残念ながら順番にというわけにはいかず、いくつかを同時並行して準備していかなければなりません。
老後を迎えるまでに行うことは
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で私たちの生活が一変した結果、家計収支が一時的に黒字になりましたが、2021年は例年通り赤字に戻っています。とはいえ、2021年も、2020年と同じく新型コロナの影響が残っています。2年連続してイレギュラー(異常値)な数値が大なり小なり公表されましたが、元々「家計調査報告」の数値は調査年によって数値が大きく変わるデータなのです。したがって、単年のデータだけではなく、過去数年のデータや一定期間の平均値を計算するなどを行い、それを目安程度に参考としてとどめておくべきでしょう。
通常は収入より支出の方が多いのですから、退職するまでに資産の山を高く築いておく必要があります。ただし、退職後も現役時代と同じようなライフスタイルで生活費を使用していると、いくら資産の山を高くしても、あっという間に老後のために準備しておいたお金は底をついてしまうでしょう。現実的なことを考えれば、資産の山を高くする「資産運用」と並行して、生活をコンパクトにするダウンサイジングを行っていく必要があります。
生活のダウンサイジングに焦点をあてれば、住宅ローンや家のリフォームをどうするか。人によっては住まいをどうするのかも考えておく必要もあるでしょう。老後は現在の家に住むのか、田舎にUターンやIターンという選択肢もあるからです。
また、加入している生命保険の見直しを行う必要があるでしょう。老後を見据えれば、保障の内容は死亡保障から、生きている時の備えとして医療保障重視になるからです。
わが国は世界トップクラスの長寿国ですが、数年前あたりから人生100年時代という考え方が認知されるようになってきました。厚生労働省からは令和4年の敬老の日の前に、100歳以上の人が9万人を初めて超えたと発表されました。長生きに備える必要性は高まっているといえるでしょう。ちなみに、100歳以上の高齢者の89%が女性です。
長生きに対する備えはお金だけではありません。ピンピンコロリなら理想ですが、実際はそうもいかないようです。健康寿命と平均寿命には、男女ともに10年前後の開きがあるのです。健康に留意することも立派な老後の準備といえるでしょう。
老後を迎えるまでに行う親と子どものこと
前段までに述べたことは、配偶者を含めた自分自身のための準備といえるでしょう。しかしながら50代は、自分たちの親のこと、子どものことも考えなければならない板ばさみの状態であることを忘れてはなりません。親が健在であれば、親の面倒をどうするのかを考えなければなりません。親が健康であれば問題は少ないのですが、介護が必要な場合、だれがどのように介護を行うのか、また介護費用はどう捻出するのかも考えておく必要があります。
注意点だけ先に述べておけば、親の介護費用はまず親のお金(資産)から捻出すること。親の資産等が不足して、初めて自分たちが(兄弟姉妹がいる場合は不公平感が生じないように)費用を負担するようにしましょう。
また、50代ともなれば教育費はそろそろ終わりか、あるいは終わりの時期が見えてくるころですが、子どもに資産を食いつぶされて老後の準備がままならないというケースもありえない話ではありません。いわゆる「パラサイトシングル」の問題があるからです。簡単には解決できない問題ですが、わが子がパラサイトシングルになるかもしれないと意識しておくだけでも違うはずです。
老後を迎える助走期間中にやっておかなければならない、あるいは考えておかなければならないことをざっと列挙しました。ざっと挙げただけでもこれだけあるのですから、順番にではなく、並行して行わなければならないことが理解できたかと思います。
【関連記事をチェック】
必要な老後資金は、どんな暮らしかで変わってくる
老後資金を心配する前にやるべきこと
50歳、貯金50万円。子どもは独立しひとり暮らしとなり、老後資金の不安を感じました
50歳一人暮らし、貯金3500万円。現在マレーシア勤務ですが、リタイアして帰国したい
57歳貯金4000万円、パワハラの会社に転職してしまい今後に危機感をもっています
50歳公務員、抑うつ状態、不眠症に悩まされ休職したいが、子どもの教育費がかかります
53歳、夫の収入が半分以下に。子の大学費用もまだかかり、将来が不安でいっぱいです