大掃除は半年に1回しないといけない!
労働安全衛生規則に下記の条項があります。第619条 : 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない
第1項 : 日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと
このような決まりがあるのです。ご存知でしたか?
多くの企業では、総務なり管理部門が音頭を取って、年末に大掃除を社員総出でやることでしょう。各部門の専有部分はその部門が掃除をして、共用部分は管理部門が行うか、もしくは、各部門に割り当てて、皆で協力して行うことになるでしょう。
どこの企業でも普通に行っているこの年末の大掃除。働く場の環境整備はもとより、実は社内コミュニケーションの活性化にも大いに役立つのです。なぜなのか? その効果を改めて考えてみました。具体的な事例で見てみましょう。
大掃除は半年に一度すべき。企業に義務付けられている
大掃除を通じて社内コミュニケーションを実現
あるメーカーでの話。この企業では、従来、衛生委員が各フロアに数名任命されていました。大掃除の推進のために、経営トップの承認を経て全部署に衛生委員を配置し、その委員から構成される「衛生委員会」が中心となり、年末本社一斉大掃除の準備を進めていきました。
そして、当日は役職者を含めて、全員で、一斉に行ったことで、日頃話をしたことがない人とコミュニケーションが取れたり、上司の意外な一面を見たりと、終わった後は皆、達成感があったとのこと。
経営層の後押しや各委員の部門担当者の推進力もあり、不要な書類の一掃で倉庫スペースに余剰もでき、想定以上の成果があったとのこと。
ポイントは、経営トップのお墨付きと担当者の責任感
ここで大切なのは、- 経営層のお墨付き
- 全部署における担当者の配置
しかし、社員に「やらされ感」があることに違いはありません。そこで、各部署に担当者を置き、会議を何回か開催し、その担当者の責任感を醸成することにより、担当者に自分事として捉えてもらい、所属部署を引っ張っていってもらうことがポイントです。
キャビネットの整理整頓や、コピー周り等の共用部分の掃除を通じて、普段話す機会の少ない社員同士の会話が生まれたり、書類の廃棄の判断を仰ぐために上司と部下の会話がなされたりと、掃除という何気ない作業を通じてコミュニケーションの活性化が図られるのです。
「全社」で「同時刻」に「同じ作業」をする機会はあまりありません。
掃除前と掃除後、Before Afterを比べるなどしてイベント化することで、さらに盛り上がります。コミュニケーション活性化と環境整備のいい機会なので、直前に大掃除の広報をするのではなく、計画を練り、全社を巻き込みながら周到な準備をして臨みたいものです。
ある企業では、このコミュニケーション活性化に目をつけ、毎週「一斉清掃タイム」を設けています。決まった曜日の17時30分から、15分の清掃タイムがはじまるのです。フロア内の社員が一斉に仕事をストップして、決められた役割のまま清掃します。みなさん、わいわいがやがや楽しそうに掃除していました。
大掃除が社内コミュニケーションを活性化する
「対話」を生み出す「整理整頓」
今回、大掃除を取り上げ、それがコミュニケーション活性化に繋がることを記しました。掃除と同じ目的である「整理整頓」活動をベースに、組織変革のコンサルティングをしている株式会社クリエイションの経営コンサルタント、今村敦剛さんは「整理整頓」を行うメリットを次のように記しています。・共通の話題になりやすい:整理整頓は、人事であろうが経理、営業、製造であろうが、やることは同じ。「あの書庫、雑然としているよね」、「そうだね。不便だよね」という具合に、話がしやすくなる。
・誰でもアイデアを出して実行できる:整理整頓のアイデアは、上司でなくても出せる。社歴の長い社員が、長年の経験則から出すアイデアとは異なり、新入社員でも出せる。上司の承認をもらわなくても試せる。全員でアイデアを出し、即実行できる活動である。
・結果がすぐに出る:アイデアを出し、実行すれば、すぐに職場内の見た目が変わる。便利になったという実感も湧く。改善結果が体感しやすい。
結果が出れば、もっとやろうという気持ちになる。共通の話題になり、皆でアイデアを出し、取り組む。結果が出たから、もっとやりたくなる――。
このように、職場内で「対話」が促進される好循環が生まれ、そこに関わる人達の相互理解が深まるのです。整理整頓、大掃除が「対話の機会」、「対話の場」となるのです。
今年の全社一斉大掃除は、コミュニケーション活性化を目指して企画、実施してはどうでしょうか?
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