2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された秩父夜祭
日本固有の文化が世界的にも評価され、毎年のように新たな遺産がユネスコで評価され続けています。埼玉県では、2014年に細川紙が初めて「和紙・日本の手漉和紙技術」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。これに続き、2016年には「秩父祭の屋台行事と神楽」と「川越氷川祭の山車行事」の2つの伝統行事が、「山・鉾・屋台行事」として無形文化遺産のリストに加えられました。今回の記事ではでは、秩父の夜祭についてご紹介します。
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300年を超える歴史を刻む、秩父神社の例大祭
秩父夜祭は毎年、12月2日、3日に開催される秩父神社の例大祭です。京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに「日本三大曳山祭り」にも数えられています。江戸時代の寛文年間にはすでに祭りが行われていたという記録があり、300年を超える歴史を刻むお祭り。もともと秩父神社に立った絹織物の市が、地域の経済発展とともに盛大に行われるようになったのです。開催日の2日間は、早朝から深夜まで市街地はお祭りムード一色となります。
12月2日の宵宮では豪華絢爛な6基の山車が
初日の12月2日は宵宮と呼ばれています。宵宮には秩父神社を取り囲む会所で、匠の技で山車が準備されており、宮地、上町、中町、本町では4基の屋台と、中近、下郷では2基の笠鉾(かさぼこ)が、釘を一本も使うことなく組み上げられます。緻密な彫刻は極彩色に彩られ、金糸をあしらった幕の刺繍は、思わず目を見張ってしまうほど。豪華絢爛な姿は、動く陽明門と称されることもあります。
山車からは、エネルギッシュな秩父屋台囃子のリズムが打ち鳴らされ、町の中には絶え間なく、笛や太鼓、鉦の音色が響き渡ります。秩父神社の神楽殿では神楽が演じられ、神社周辺の通りで行われる山車の曳き回しは必見。山車の重さは最大20トンにもなりますから、車輪を回転させるには100人前後の人が力を合わせなければなりません。
市街地の道路は広くはないので、2つの山車がすれ違うときにはぶつかるのではないかと、思わず緊張してしまいます。
交差点などで山車が方向を変えるときには、とてもユニークな方法を使います。山車の下にてこの支点となる台をセットした後、2本のてこ棒を使って向きを変えるのです。これはギリ廻しと呼ばれ、秩父夜祭の大きな見どころの一つとなっています。
秩父の夜空を勇壮に彩る12月3日の御神幸行列
秩父夜祭の最大のクライマックスは、12月3日の神幸祭での御神幸(ごしんこう)行列です。18:30頃から御神幸の長い行列が、秩父神社から中町通り、聖人通りを通って、市役所前の御旅所に向かって繰り出します。先導大麻、大榊(おおさかき)を先頭に、氏子町会の高張提灯、御霊を抱く神輿、2頭の神馬などが列を作ります。
神馬の後に6基の山車が続きます。最後尾が神社を後にするのは、19:00過ぎ。延々と続く行列が通りを歩み始めると、秩父の市街地は冬の夜空を背景に極彩色の歴史絵巻で埋め尽くされます。
御神幸行列が御旅所に到着し始める20:00前後からは羊山公園で花火が打ち上げられ、さらに雰囲気が盛り上がりフィナーレとなります。
期間中、神社周辺の道路は車の通行規制が敷かれるため、市街地の移動は徒歩のみとなります。車で出かける場合には、宮地グランド、道の駅ちちぶの他会場付近の小中学校のグランドなど数カ所に設けられる臨時駐車場を利用することになります。
【秩父神社】
住所:埼玉県秩父市番場町1-3
TEL:0494-22-0262
公式ホームページ
アクセス: 秩父鉄道秩父駅より徒歩約3分
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