お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

31歳貯金360万。住宅ローンと学費、老後資金が心配(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、教育費、住宅ローン、老後のお金という3つの資金に悩む30代の女性会社員。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 建て替え費用は無理のない返済額から割り出す

ご夫婦とも現状では、収入のために無理はできません。しかも、奥様は現在パート勤務ですが、それでも毎月16万円貯蓄ができています。もちろん、もっと高い貯蓄ペースを目指すことも可能かもしれませんが、現状これで十分ではないでしょうか。

このペースなら、ボーナスから多少でも貯蓄に回すことができれば、年間200万円の貯蓄も可能。下のお子さんが小学校に入学する5年後には、貯蓄が1000万円上積みされています。そして、ちょうど住宅の建て替えを希望されている時期となりますので、このタイミングで建て替えをすると仮定しましょう。

住宅ローン(もしくはリフォームローン)の毎月の返済額をある程度抑えるためには、返済期間は長い方が有利ですが、そのために、定年後も長くローンを支払い続けなくてはなりません。したがって、返済期間25年とすると、完済がご主人62歳のとき。定年を2年オーバーしますが、この程度なら許容範囲としました。

次に借入額ですが、無理のない返済額から割り出す必要があります。金利を全期間固定1.5%としますと、1500万円借り入れて、毎月の返済額は6万円(ボーナス払いなし)。しかし、5年後には保育園費用が発生しないため、さらに家計を見直せば、今より生活費コストを4万円下げることも可能でしょう。だとすれば、新たな家計負担は2万円。結果、その分、貯蓄ペースは落ちますが、それでも年間170万円前後はキープできるはずです。

5年後の時点で、貯蓄は1300万円超となっていますので、ここから住宅資金としてまわせるのは、上限1000万円。したがって、借入額と合算して2500万円までが住宅にかけることが可能な費用ということになります。

ただし、建て替えをどの程度のものと想定されているは不明ですが、例えば、今のお住まいを取り壊し、新築住宅を建てるという場合、まず、解体撤去費用(一般住宅で150万~250万円)がかかります。また、工期の間、仮住まいが必要になりますから、4カ月~半年ほどの家賃や引っ越し費用も加算しなくてはなりません。これとは別に、住宅ローンにかかるコストなどの、一般的な諸費用も発生します。これらを差し引いた上で、建築費用を考えなくてはなりません。具体的には400万円近くかかる可能性もあります。

今後は、どのような建て替えにするのか、実際にハウスメーカーや工務店といろいろご相談をするでしょうが、かけられる総額の上限を意識して、建築費用を決めてください。
 

アドバイス2 教育資金は大学進学でも問題なし

話が前後しますが、マネープランでもっとも優先すべきは教育資金となります。住宅資金に2500万円かけられると述べましたが、その場合の教育資金はどうなるか、考えてみましょう。

まず学資保険の満期金が600万円。上のお子さんの進路について不確定な部分が多いかと思いますが、下のお子さんとともに、高校までは公立、大学は私立文系として教育資金を考えれば、事前に用意すべきは大学費用の800万円ほど(大学4年間にかかる平均費用400万円×2人分)。つまり、貯蓄で200万円準備できれば、一応教育資金のめどは立つわけです。

住宅建て替えのとき、手元に残る貯蓄は300万円。そこから上のお子さんが高校卒業までの9年間、途中、児童手当が減額となりますし、中学、高校と進学する中で、学校外教育費(進学塾、習い事など)も発生するでしょう。ですが、それでも低く見積もって1200万円は新たに貯蓄できると考えられます。貯蓄は計1500万円となっていますので、大学費用を差し引いても1300万円が残る計算になります。
 

アドバイス3 老後資金づくりより健康維持を考える

老後資金については、ご心配な気持ちはわかりますが、まだ具体的に考える時期ではないと思います。お子さんは4歳と2歳。子育てはまだまだ続きます。さらに住宅の建て替えという大きなライフイベントも控えています。まずはそれらを優先してマネープランを組み立ててください。

おそらく試算上は、ご主人定年までに退職金を考慮しなくても、貯蓄額は3500万円を超えることになります。ご夫婦とも厚生年金に加入されていることも考慮すれば、老後資金としてはまずまずではないでしょうか。

しかし、この金額は、あくまで設定した貯蓄ペースを維持でき、支出も想定内に収めることができた場合です。何かの事情で、この先、減収になるかもしれません。お子さんが東京の大学に入学すれは、仕送り費用が加わります。したがって、ご夫婦とも健康を維持すること。そして元気に働くことです。ご主人は再雇用で63歳まで勤務可能とのことですが、アルバイト、パート等で構わないのでご夫婦とも65歳まで働く。それができれば、より老後資金に余裕が生まれます。これが、今できるもっとも効果的な老後対策だと考えます。

最後に保険について。ご主人の死亡保障は確かに欲しいところですが、保険に頼らないのなら、やはり現金を持っていることが重要になります。そういう点でも年間150万円、200万円と貯蓄できる家計は、大きな強みです。また、先の住宅ローンの試算は、実際はもっと多く借り入れることも十分可能ですが、より現金を確保しておきたいという理由でも、1500万円をひとつの目安としておくべきだと思います。
 

相談者の方から寄せられた感想

先生からのアドバイスをいただき、ありがとうございました。ずっと経済的に不安がありましたが、明確な金額を提示していただき、頑張って進んで行こう!と思えました。仕事もますます頑張れそうです。家、教育、老後……3大悩みはこれからが本番なので、いただいたアドバイスを胸に、生活を考えていきます。ありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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