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子供が伸びる秘訣は「失敗」への対応にあった(2ページ目)

伸びなやむ子と伸びていく子の違いは、何にあるのでしょうか?その答えについてのヒントとなる米国で昨年発表された研究を紹介します。親として具体的に何ができるかを考えてみましょう。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド


子供の「失敗」について親として心がけたいこと

失敗と子供2

子供が「失敗は能力を決められるものではなく、能力を伸ばす機会」と感じられる対応を心がけたいです。


1.子供が失敗をしたら「能力」ではなく「失敗から何を学べるか」にフォーカスする
例えば、子供が思わしくない算数の点数をとってきたとします。「この子には算数の能力がないのね」とがっかりするよりも、「どうしたら改善できるかな?」と話し合ってみましょう。

どこにつまづいているのでしょう?計算ミスに気をつける必要があるのでしょうか。問題の意味は理解しているでしょうか。似たような問題を何度も解く必要があるのでしょうか。問題を解く時間を確保するためにはスケジュールをどう調整したらいいでしょう。

「どうしたらこの失敗を次に生かせるかな?」と子供からアイデアを募り、対策を一緒に練ってみましょう。こうした対応を繰り返すことで、子供も、「失敗は、『あなたはできない』と決めつけられるものではなく、これまでの自分を見直し、よりよくなっていくための機会なんだな」と感じることができます。


2. 失敗の「良い面」について話し合う
・失敗すると「違う方法」がないかと工夫できる。
・失敗して何度も繰り返し取り組むうちにより深く理解できるようになる。
・失敗しても頑張って立ち上がると、強くなれる。
・何度か失敗したあと成功すると、すんなりできるよりも、もっと嬉しい。
など、失敗から得られることについて、アイデアを出し合ってみましょう。

「失敗ってそんなに悪いものじゃない」と、過度に失敗を恐れる気持ちを手放すことで、子供は、意欲的に新しいことや難しいことにも挑戦するようになります。その結果、能力も伸び続ていきます。


3.脳の仕組みについて話し合う
脳の図や模型を用いて、「脳は使うほどニューロン(神経細胞)がより強い結合を生み出し発達する」といった脳の仕組みを説明します。

そして、「難しいことにチャレンジして、脳を使うほど、脳は成長していくんだね。失敗から学んで、どうしたらできるようになるかをたくさん考えて何度もチャレンジするほど、賢くなっていく。失敗はより賢くなるチャンス」と伝えてやりましょう。


4. 伝記を読み「活躍する人々」がどれほど失敗してきたかを知る

世界中に名が知れるほど活躍する人々も、「成功」する前には必ず幾たびもの「失敗」を繰り返しています。

例えば、発明家のトーマス・エジソン氏は学校の先生から「君は頭が悪すぎて何も学べないよ」とさじをなげられています。また映画監督のウォルト・ディズニー氏は「想像力がなくてアイデアに欠けている」と仕事を首になっていますし、同じく映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏も南カリフォルニア大学映画芸術科への入試に何度も失敗したといいます。

「輝かしい成功」に至るまでに、失敗はつきものと思い出していきたいです。


5. 親も「失敗ってそれほど悪くない」と体現する
普段の日常生活でも、自らの失敗について、「失敗から学べる」ことにフォーカスし、行動する姿を示してやりましょう。

例えば、戸棚から皿を取り出そうとして手を滑らせ割ってしまったら、皿の置き場所をより手の届きやすいところに変えます。道を間違えてしまったら、「次回は出かける前にもう少し入念に行先を確認しないとね」と話した後、「でも、迷ったおかげで美味しそうなパン屋さんを見つけられたね」と喜んで見せるのもいいでしょう。

また、周りの人々が失敗した時のコメントにも、少し心を配ってみます。「ああ、これであの人も一巻の終わりね」よりも、「しばらく充電して、また力を発揮できる時がくるわよね」と言ってみましょう。


失敗することで、現状の問題点がより明確となり、改善のために工夫することで「創造性」や「考える力」も培われ、その上、困難を跳ね返す「レジリエンス」も育まれます。「失敗」は、確かに、子供にとって、「成長のチャンス」でしかありません。子供が「失敗」したら、「よし、成長の機会だ!」ととらえ、親子で一回りも二回りも、大きくなっていきたいですね。


参考資料:
(*) K. Haimovitz, C. S. Dweck. What Predicts Childrens Fixed and Growth Intelligence Mind-Sets? Not Their Parents Views of Intelligence but Their Parents Views of Failure. Psychological Science, 2016; DOI: 10.1177/0956797616639727

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