アドバイス1 本来は年間200万円貯められる家計
データを拝見しました。大変きびしい家計状況です。現時点で、当然あってしかるべき、一番上のお子さんの進学資金でさえ、これから用意することは不可能だと思います。これは深刻な事態と言わざるを得ません。もちろん、教育ローンや高校進学向けの奨学金という選択肢もあります。しかし、その利用は避けるべきです。根本的な問題の解決にならないからです。では、その解決のために何を目指すべきか。黒字の家計、貯蓄できる家計です。家計支出のうち、ローン(またはキャッシング)やクレジットカード利用の返済が、現在毎月24万円8000円。月間支出の40%を占めています。毎月の収入が52万6000円ですから、単純計算ではありますが、これら支払いがなければ、16万2000円の黒字となります。つまり、ボーナスを全額支出したとしても、そして節約をしなくても、年間200万円近い貯蓄が可能となるわけです。
年間200万円貯められるのは、それだけ収入があるということです。ではなぜ、それとは正反対の家計となってしまったのか。理由は明白です。使い過ぎたからです。
これまでカードやローンを組んで支出した中には、どうしても必要なものもあったでしょうが、その多くは支出しなくても済んだはずです。家計管理の意識そのものを変えていくことが重要です。
アドバイス2 親からの資金援助で家計の黒字化を目指す
黒字の家計を目指すには、収入が増えないとすれば、支出を減らす必要があります。そのためには、現在の家計支出を大幅に見直さなくてはなりません。当然、家族全員が我慢を強いられますが、そのくらいの覚悟が必要です。かと言って、食費や教育費は下げられません。手を付ける費目としては通信費ということになります。スマホの機種代金もローンであれば、契約解除をしてもそれを支払い続けなくてはなりません。それでも、ガラケーに戻すとか格安スマホに切り替えるとか、少しでも下げる工夫が必要です。タブレットもどうしても必要かどうか。あれば便利ですが、現状で月5万5000円の支払いは過大です。
あとはボーナスからのレジャー費。年間27万円は、せめて半分には抑えたい。家族の楽しみを減らすのは辛いかもしれませんが、今まで使い過ぎた代償です。仕方がありません。
ただ、生活費を節約するだけでは、立て直しに相当時間が必要です。したがって、ローンの支払いを減らすことを目指す必要があります。
方法は二つ。一つは、親御さんに頭を下げて、資金を借りる。できれば、ご夫婦双方の親からそれぞれ借りたい。それにより全額返済が理想ですが、それが無理なら完済できるものから一括返済をして、毎月の返済額を減らしていく。
親への返済は2、3年後からになりますが、返済の意思表示として、カードをすべて親に預けてください。すべての元凶はカードです。世帯収入があり、少なくとも滞納なく返済しているため、今後も借り入れが可能です。借りてしまえば、また「借りては返す」の繰り返しとなります。不便でも、現金だけの生活に戻るべきできす。
アドバイス3 「任意整理」もひとつの選択肢
ただし、親御さんから資金援助してもらえない可能性もあります。上のお子さんの教育資金だけでも借りるという手もありますが、それでも赤字家計には変わりません。したがって、その場合はもう一つの方法を選択します。「任意整理」です。自己破産や個人再生と異なり、裁判所が関与しない債務整理の方法です。手順としては、弁護士や司法書士が代理人となり、無理のない返済方法を貸し手側と交渉していきます。もちろん、費用は発生しますが、原則、借り入れで発生していた利息がカットされるため、支払額そのものの軽減が期待できます。
もちろん、デメリットもあります。一定期間、クレジットカードが使用できません。カード引き落としにしている公共料金や保険料の支払いなどは、現金払い(もしくは銀行口座引き落とし)に切り替えなくてはなりません。しかし、これは考えようによっては、TKGさんの家計にはプラスです。クレジットの借り入れがこれ以上増えることはありません。
また、精神的な部分でも大きなメリットがあります。返済に追い回され、不安だけが募る日々から開放される。それだけでも任意整理を行う価値はあります。
任意整理と聞いて「何もそこまでしなくても」と思うかもしれません。しかし、これまで改善できず、給食費も滞納してしまう現状を、軽率に考えるべきではないと思います。ましてや、お子さんが3人いらして、今後間違いなく教育費がかかってきます。お子さんたちが頼れる人は、ご夫婦しかいないのです。幸い、ともに30代。まだまだ出直せます。ご実家からの支援を受けられないなら、一度、弁護士や司法書士に相談してみることをお勧めします。
相談者「TKG」さんより寄せられた感想の一部
通信料は、やはり使いすぎている傾向は感じていたので、積極的にテコ入れしたいと思います。幸い、スマホ一台分が契約満了になった為、格下の機種に変更するなどで対策を取りたいと思います。屋外用のwifi設備費用においても、近日中に解約するなどして、経費節減を目指します。また、クレジットカードについても、資金援助が出来るようになれば、順次解約していきたいと感じました。マネープランクリニックのネットラジオ番組『2020年の家計防衛』を始めました!
ぜひご視聴ください!
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
【関連記事をチェック】
44歳、毎月の返済は27万6000円。ストレスで病気にも
34歳子ども3人。貯金ゼロで住宅ローン他3件の借金が
37歳貯金0。夫がうつ病で無職。月23万あればOKだが
44歳、毎月10万円の赤字からどう脱すればいいのか