ハロトレって何?定年後の再就職に役立つこの制度
定年退職後もバリバリ働きたい。今まで事務職だったから、これからは憧れだった職人の仕事に! など夢を描いている人もいるのではないでしょうか? 実は、そういった夢を実現できるかもしれない制度があるのをご存じでしょうか。厚生労働省が実施している、就職に有利な知識や技術を身につけることができる公共職業訓練(愛称:ハロトレ)。全国のハローワークで、求職を希望していれば無料でさまざまな科目を受けることができます。東京都では、このハロトレに概ね50歳以上(45歳から可)を対象とした、「高年齢者科目」があります。今回は、定年後の再就職に役立つこの制度についてご紹介します。
高年齢者科目で受けられるコースはどんなものがあるの?
「高年齢者科目」とは、東京都立職業能力開発センターが実施する、概ね※50歳以上(45歳から可)の求職者を対象としたもの。高年齢者の求人が多いとされている職種に特化したコースが用意されており、建築・造園関係や電気関係などをはじめ全部で10種類の科目があります。※概ねとは前5歳までの幅を見込んでおり、45歳としている
どのコースも、1日8時間・週5日の授業を3カ月あるいは、6カ月間かけてしっかりと学べます。コースによっては資格の取得も可能で、ハローワークと連携し就職のサポートも受けられます。科目ごとに定員があるので、筆記試験と面接による選考によって受講できるかが決定します。
全国で唯一の人気の高い科目「ホテル・レストランサービス科」
さまざまな科目の中、特に珍しく人気も高い科目は、都立中央・城北職業能力開発センター 高年齢者校で受講ができる「ホテル・レストランサービス科」。JR飯田橋駅から徒歩7分ほどの場所にあり、立地にも恵まれ通いやすいのも魅力です。ここでは、一流ホテルやレストランなどで通用するサービスや接客知識を学ぶことができます。業界第一人者を講師に迎え、レベルの高い技術指導を受けることができます。また、講師は業界の最新情報にも精通しているので、企業側のニーズをいち早く汲み卒業後の就職活動を優位に導いてくれます。学科と実技で構成されており、実技のフロント業務訓練では、一般ホテルと同じ宿泊システムを使用し、予約やチェックイン・チェックアウト作業を学びます。校内にはバス・トイレを備えた客室や厨房設備まで揃っており、客室案内から食器・カトラリーの扱いにいたるまで、レストラン・ホテルに関する業務を一通り受講することができます。
業界関係者を招き、カクテルブッフェパーティを開催
他にも朝食サービス、カクテルブッフェパーティー、午餐会という本番さながらの実習が3回行われ、実際にシェフが作った料理を受講生が給仕します。この時はゲストとして、ホテルの支配人や人事担当者など約30~60人を招き、給仕の作法から受け応えまで、プロの目で厳しくチェックしてもらいます。この実習は、採用の下見を兼ねており、受講生たちは自分を売り込むチャンスにもなります。実は私もこの実習に出席し、みなさんのご活躍の様子をレポートさせていただけたわけです。受講生のみなさんに話を聞くと、「6カ月間で、数多くのことを学ぶので、カリキュラムをこなしていくのは大変なこと。ですが、退職後の第二の人生への新しいチャレンジはとても楽しく毎日刺激的に過ごしています」「受講仲間と助け合いながら学んだ成果を次の就職先で役立てたいと思っています」と、皆さん本当に楽しみながら受講しているようです。
また、「経理系の仕事をしてきました。某一流ホテルで経理の仕事に携わったことがあり、その時ホテルの仕事が印象深くいつか自分もやってみたいと思っていました」「CADで設計図を作る仕事をしていました。今までは建物を作る方の仕事でしたが、今度は、建物の中での仕事、人と接する職業につきたいと受講しました」「アパレル業界で技術指導などを行っていました。もともと、着物が大好きで、どうしても着物を着て仕事をしたいんです!」など、多くの方が現役時代は、ホテル・レストラン関連の業務とは全く違う分野で活躍されていたのに、新しい分野へ飛び込んでいくという前向きな姿勢がとても印象的でした。
会の最後は、パーティーに参加したゲストへお礼をしつつ、受講生たちが一人ずつ就職希望の職種や自己紹介をしていきます。物怖じすることなく堂々と話す姿は、この科目の受講内容を真剣に学んできている自信があるからこそでしょう。
今は60歳で定年しても、セカンドキャリアに挑戦する人がほとんどです。1度しかない人生。同じ仕事ばかりでなく、憧れだった仕事に就く夢を実現してみるのもいいのではないでしょうか?無料でしっかりとした技術が身につく「高年齢者向け科目」。興味のある方は、毎年秋に都内各地で開催される「技能祭」へ。校内の雰囲気や施設の様子も分かるので試しに足を運んでみてはどうでしょうか。