目指すは、2020年「エシカル・オリンピック」?
エシカル消費が注目される背景には、環境問題や社会貢献への関心の高まりはもちろん、被災地支援や、超高齢化社会を迎え、過疎化や人口減少などの地域の課題も浮かび上がっていることもあります。一人ひとりの毎日の買い物の仕方を変えることが解決の第一歩。大きな変革は難しいけれども、小さな一歩が解決につなげる力になるという考え方です。
もうひとつ、ラグビーのワールドカップや、東京オリンピック・パラリンピックなど大きな国際的なイベントが控えていることも見逃せません。
2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックは、イベント運営における社会的責任と環境マネジメントシステムに関する要求事項を定めた国際規格「ISO20121」の認証を受け、世界各国から注目をされました。
ロンドンと同じように、倫理的にも道義上にも問題のない「エシカルオリンピック」の実現が開催国日本の社会的責任になるのです。消費もその重要な要素だと考えると、今後エシカル消費の啓発活動はますます活発になるかもしれません。
買い物の選択肢のひとつ、エシカル
ただ、エシカルという言葉の一般的な認知は、いまひとつの印象です。エシカル消費と聞いてもピンとこない人も多いのではないでしょうか。まだまだ市民権を得ていると言い難いのが実情です。そもそも、どんな商品がエシカル?どの企業がエシカル?と問われても、なかな
か明確にはいいきれません。
有機と認定された食品につけられる有機JASマークのような明確な認証もありません。基準が広いため、明確なマークや認証が付けられないのも難しいところです。
そういった中で「私たちの事業こそエシカル」と積極的にアピールしている組織があります。生活協同組合、いわゆる生協です。全国の生協の連合組織である日本生活協同組合連合会にはエシカルを紹介するサイトも作られています。
生協の考えるエシカルは「誰かの笑顔につながるお買い物」です。
生協で開発された商品は、環境や社会へ配慮し、原材料や製法にこだわっている商品であり、それらを利用することがエシカル消費という考え方です。さらに、生協が取り組む障害を持つ人の支援などの福祉もエシカル消費に関わる取り組みであると紹介されています。つまり、商品だけではなく、それを製造する事業者のCSR的な側面もエシカルには含まれてくるのです。
そう考えると、エシカル消費は単純に「これがエシカルですよ」と薦められて買うのではなく、買う側が主体的に「選ぶ目」を持つことが大切になることがわかります。エシカルとは、私たち消費者が、買い物をするときに考えたい「選択肢」だといえるでしょう。