楽しい初日のすごしかた
初日の過ごし方って、難しいですよね
人狼プレイヤーなら誰しも、初日はどうやってすごすのがいいのだろうかという悩みを抱えたことがあるのではないかと思います。冒頭でお話した通り、占い師と霊媒師を名乗る人を一斉に挙手で募り、その中から霊媒師を順に処刑するという戦法を機械的に進める方法もあります。
しかし、機械的に作業を進めれば進める程、狼の動きは分かりにくくなります。一方で、色んな作戦で揺さぶりをかけると、誰しも人間ですから普段と違う行動をとってしまったり、その行動が説明できなくてあたふたしたりと、ボロを出したりするものです。特に、実際に人が集まって遊ぶ対面式の人狼では、その振る舞いから得られる情報はとても大きなものです。何より、毎回同じよりは、毎回いろんな方法で作戦を立てて遊んだ方がきっと楽しいですよね。
というわけで、初日に楽しく狼を揺さぶる戦法、その中でも、なんらかのルールにのっとって村をグループ分けする、グループ分け戦略をご紹介してみたいと思います。
前提として、今回ご紹介する戦略はインターネット上の掲示板やチャットなどを利用して行うWebの人狼ではなく、実際に集まって行うリアルの人狼を想定したものです。また、人狼には様々なルールがありますので、便宜上、13人で遊ぶルールを設定してお話を進めます。
そもそも、人狼ってどんなゲームなの? という方は、下の記事をお読みください。
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13人の役職は以下の通り。毎晩1人を指定して、人狼か村人か知ることができる占い師、毎晩その日の昼間に処刑した人が人狼か村人かを知ることができる霊媒師、毎晩1人を指定して人狼から守ることの出来るボディガード、人狼が誰かも知らないし何の能力も無い村人だけど人狼が勝利した時に自身も勝利となる狂人、これらの役職が各1人ずつ。毎晩1人指定して村人を襲う人狼が3匹、そして残り6名が村人で、計13名です。ボディガードは連続して同じ人を守ることができず、それぞれの役職は死んでも明かされることがありません。占い師は初日に狼ではない人を1人知っている状態からスタートします。
また、今回ご紹介する戦略は、ガイドが自分で考えたものもありますが、ガイドがこれまでプレイした人狼の中で知ったり、それをアレンジした戦略もあることを、あらかじめお断りしておきます。
占い師グループと霊媒師グループ
人狼だけは正解をしっています。だからこそ、慌てるのです
作戦自体は、これで終了です。後は、それを元に推理をしていきましょう。例えば、人狼は占い師と霊媒師だったら、占い師を騙りたいから、占い師グループに多いのではないか。しかし、全員が同じグループ入るのはリスクが高いので、分散させるはずだろう。仲間の人狼2匹が占い師に手を挙げたら、最後の1人は霊媒師に行かざるを得ないので、後半に霊媒師を名乗った人には人狼がいるかもしれない。などなど。
村人にとって、この推理に正解はありません。しかし、正解に近づこうとすると、正解を持っている側が慌てることがあります。人狼ですね。推理を立てて、処刑対象を狭めていくと、それを嫌がる人がでることがあるでしょう。その時、何を理由に嫌がるのか、もしその人が人狼ならそこで尻尾を掴めるかもしれないのです。逆に、誰も異論なくスムーズに処刑対象が決まっていった時は、推理が間違っている可能性を考えるべきでしょう。何故なら、誰も助けに入っていないからです。
そうやって、初日に様々な推理と揺さぶり、そこから行動を喚起し、それらの材料を最後まで推理に生かしていくという作戦です。終盤になって「この2人が人狼だとしたら、並んで立て続けに霊媒師グループに入るのってリスク高くない?」なんていう形で効いてくることもあるのです。
多いグループと少ないグループ
初日のグループ分けは、後半ボディブローのように効いてきます
そうすると、処刑されるのは誰でも嫌ですから、人数の多いグループには基本的に入りたがりません。しかし、そこから先は村人と人狼では思考が異なります。村人は占われることに大きなリスクは感じないでしょう。人狼は処刑の対象になりたくないですし、占われるのも嫌です。さらに言えば、仲間同士が同じグループに固まることに大きなリスクを感じるはずです。
この状態で、1番人数の多かったグループから処刑する前提で話を進めていくと、処刑されるわけにはいかない占い師や霊媒師はカミングアウトするでしょう、人狼や狂人も同様に役職を騙る可能性が高いです。そうやって役職者が出てきたところで、カミングアウトした中に人狼や狂人が混じっているかということや、また、カミングアウトいた人を除き、処刑対象のグループに人狼がまだ残っているかを議論します。
カミングアウトの起き方から、最も人数の多かったグループに人狼は残っていないと判断すれば、別のグループに矛先を向けるのもありです。処刑対象のグループに人狼が1人混じっていて、その1人が処刑対象に選ばれた為に困って占い師を騙った、おそらくその仲間は残り2つのグループにいるんじゃないか、というような推理ができれば、初日からぐっと容疑者を絞り込めます。
もちろん、先述した通りでこの時の推理にも正解はありません。しかし、正解に近づこうとすれば正解を知っている側、つまり人狼側が動かざるを得なくなって尻尾を掴みやすくなる、というのは同じ構造です。
ラインの数珠つなぎ
安易に仲間を救うと、あとで芋づる式に捕まります
やることは簡単で、村で話し合うなり、決をとるなりして、最も村人側の可能性が高い人を1人決めます。その人は初日は処刑対象となりません。そして、今度はその人が最も村人側の可能性が高いと思う別の人を1人指名します。指名された人も、自分が最も村人側の可能性が高いと思う人を指名します。この際、同じ人を2回指名してはいけません。これを続けてやっていって、10人指名されたところでストップし、残りの3人を初日の処刑対象とします。
この戦術のポイントは、初日にライン、つまり繋がりを作っておくということです。人狼は人狼を指名すれば初日の処刑を免れますが、当然そのラインを作ってしまうと、2日目以降に仲間の正体がばれた時に芋づる式に疑われます。じゃあ、ラインを切っておこうと仲間を指名しなければ、その分、初日に人狼が処刑される可能性があがるということでジレンマを抱えます。
ただしこの作戦、村人側があっさり人狼を指名してしまうと、あまり意味が無いんですね。これがこの作戦が難しい戦術であると言った理由です。指名前半に、この人は村人だろう、と思う人をしっかりと指名することができていれば、後半になって残った人狼は難しい選択を迫られ焦ります。その焦りは、指名をする時の所作にも表れるかもしれませんよね。
この戦略も初日のラインが後半に生きてくることが多い戦略です。全てのラインを覚えておくのは難しいので、最低限、全員が自分を指名した人と自分が指名された人を覚えておくとやりやすいかもしれません。
初日が楽しいと、ドラマも起こる
揺さぶりをかけておくと、役職者のカミングアウトからも情報が得やすくなります(イラスト 橋本モチチ)
その為には、ご紹介した戦略とともに、観察が必要となります。あの人は考え事をしているなとか、ちょっと慌てているとか、急に口数が少なくなったとか、違和感を探します。そして、違和感があるから狼だとは決めつけず、その違和感はどうして起こっているのか、どうしたら理由が探れるのか、というところまでくると、初日でも議論で聞くべきことが増え、ぐっと盛り上がります。
また、こういった初日の戦略は、初日だけでなく、その後の推理に大きく影響をもたらします。人数が減って、情報も増えた状態で、「まだ3匹人狼が残っているはずだけれど、それがみんな同じグループにいるわけがない!」などと推理していくことができるわけです。もちろんそれは絶対ではありません。都度書いてますように、正解はないのです。占い師と霊媒師にグループ分けしたら、人狼が必死の覚悟で霊媒師に3人集まって、占い師側を探しても探しても見つからない、なんてことも起こり得ます。そしてそれは、起こってみるととても楽しいことなのです、ドラマなんです。
初日から色んな思惑を交錯させて議論を盛り上げ、後半そこから推理を引っ張り出し、時にはどんでん返しのドラマが起こる、そんなプレイができれば、人狼はもっともっと楽しくなるんじゃないでしょうか。ぜひ、試してみてください。
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