プロテクトラインが付いた「安定運用型投資信託」とは

アムンディ・ジャパンが運用する「SMBC・アムンディプロテクト&スイッチファンド」、愛称=あんしんスイッチは、単独の銀行販売(三井住友銀行)だけで、2017年7月の新規設定で623億円もの投資資金を集めました。プロテクトラインが付いている日本初の投資信託として、投資初心者の購入が多かったようです。

「プロテクトライン」とは、あまり見聞きしない言葉ですが、交付目論見書のファンドの特色に、基準価額が常にこれを上回る運用を目指す水準と記載があります。プロテクトラインは、基準価額の水準に応じて上昇します。一旦上昇したプロテクトラインは下がりませんとの記載もあります。詳しく見ていきましょう。

プロテクトラインは下値を守るための「線」のようで、設定時のプロテクトラインは1万口あたり9000円でスタートします。運用を行っていき、基準価額が1万600円に到達すると、同日からプロテクトラインは10000円に上昇します。さらに基準価額が1万1111円に到達すると、同日からプロテクトラインは日々の基準価額の最高値の90%になっていくのです。そして、一旦上昇したプロテクトラインは下がらない仕組みです。

投資信託など価格が変動する金融商品を購入した場合、価格が下落した時にはどのくらい下がる(損をする)のかわかりません。わからないため投資に踏み出せない人が多いのですが、同投信はプロテクトラインを設けることで、下落幅、言い換えれば損失を被った場合の目安を投資家に「見える化」したことに特徴があるのです。

しかも、プロテクトラインは運用成績の向上とともに上昇、かつ一旦上昇したプロテクトラインは下がらないことも投資初心者に安心を与えたと考えられます。

プロテクトラインまで下落すると繰上償還

プロテクトラインを設定することができるのは、同投信が基準価額をプロテクトラインで確保するために、投資信託財産のための保証契約をクレディ・アグリコル・エン・エー(保証銀行)と締結しているからです。保証契約とは、基準価額がプロテクトラインを下回らないために必要となる額を投資信託財産に支払うことで、基準価額をプロテクトラインで確保する契約です。

ただし、基準価額がプロテクトラインを必ず上回る運用を委託会社が保証するものではありません。また、基準価額がプロテクトラインまで下落した場合、保証契約によりプロテクトラインを下回ることなく繰上償還されることになるのです。

繰上償還には是非があるかもしれませんが、プロテクトラインが購入価格を下回っているときに繰上償還されれば「損切り」となり、プロテクトラインが購入価格を上回っている状態で繰上償還されれば「利益確定」となるのです。損切り、利益確定など売却タイミングの見極めは難しいことから、投資初心者にとって繰上償還は悪くない仕組みと言えそうです。もちろん、基準価額がプロテクトラインまで下落しなければ繰上償還は行われず、売却しなければ利益を伸ばすことも可能となっています。

基準価額が6%以上上昇の達成は5年で80%超

運用は、世界の株式、債券および短期金融商品など、さまざまな資産へ投資を行い、資産配分を機動的に変更することにより、基準価額がプロテクトラインを上回るように運用しつつ、安定的な収益の獲得を目指していきます。

アムンディアセットマネジメントが運用するアムンディプロテクトシリーズの旗艦ファンド、「アムンディ・プロテクト90ESR」(フランス籍、ユーロ建)を用いた検証によれば、プロテクトラインが9000円から10000円になる条件(基準価額が6%以上上昇)を5年以内に達成した割合は80%を超え、6年以内に達成した割合は90%を超えています。

アムンディプロテクトシリーズの旗艦ファンドの過去の実績に基づく検証なので、SMBC・アムンディプロテクト&スイッチファンドの運用成果を保証するものではありませんが、長期保有ではかなりの確立でプラテクトラインは10000円になる条件をクリアする可能性は高いと言えそうです。反面、プロテクトラインが設定されているため、高い収益は期待しにくい仕組みと言えそうです。

フランスで人気の投資信託を日本の投資家向けにアレンジした「アムンディ・ダブルウォッチ(2016年1月設定)」が、純資産総額1200億円を集める(2017年8月14日現在)ファンドに成長しています。同じように大きなリターンを求めるより、大きなリスクを抱えるのは不安なので、資産運用の中心は着実な商品を選びたいという運用スタイルの商品がSMBC・アムンディプロテクト&スイッチファンドです。

新たな投資スタイルとして人気のカテゴリーに成長していくのか気になるところです。
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