定年・退職のお金/老後の生活費と家計管理

認知症の社会的費用は14.5兆円!お金の準備を!

認知症にかかると治療費や介護費用がかかります。その費用は、公的保険や税金、患者とその家族が負担しています。これら社会的費用は、2014年の1年間で約14.5兆円と推計されました。みなさんが認知症にかかったときに負担するお金の準備をしておきましょう。

執筆者:小川 千尋

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社会的費用の内訳は医療1.9兆円、
介護費6.4兆円、インフォーマルコスト6.2兆円!

認知症にならずに人生を閉じられればいいけれど…。

認知症にならずに人生を閉じられればいいけれど…。

世界最速で高齢化が進んでいる日本では、認知症患者の増加が社会問題になっています。ところが、社会的費用がいくらかかるかの推計は行われていませんでした。そこで、慶應義塾大学医学部と厚生労働科学研究の共同研究グループが推計を行い、2014年の1年間で約14.5兆円に上る可能性があることを示しました。

その内訳は下記の通りです。

●医療費=1.9兆円
入院医療費=約9703億円(1人あたり34万4300/月)、外来医療費=約9412億円(1人あたり3万9600円/月)

●介護費=6.4兆円
在宅介護費=約3兆5281億円(1人あたり219万円/年)、施設介護費約2兆9160億円(1人あたり353万円/年)

●インフォーマルケアコスト=約6.2兆円
1人あたり382万円/年

介護費用とインフォーマルケアコスト(家族などが無償でかかるケアにかかる費用)が同じくらいかかっています。認知症は医療費よりも、むしろ介護にお金がかかるのですね。

認知症にかかったときのお金の準備をしておこう!

医療費と介護費用は、公的保険(健康保険と介護保険)と税金が大部分を負担してくれているので、患者本人負担は一部ですみます。しかし、治療・介護期間が長くなれば、かかるお金の累計は膨らんでいきます。

インフォーマルケアコストは、認知症患者1人あたり年382万円かかっています。介護者が配偶者で生活費や医療・介護費用は公的年金と貯蓄で賄えればいいですが、子世代が介護するとなると深刻です。仕事をしながらの介護も大変ですが、仕事をやめざるを得なくなると子世代の収入が失われて、子世代の生活と老後に多大な影響を及ぼします。

この推計費用は2014年のものなので、今はもっと増えているでしょう。そして、高齢化に伴って認証患者も増え、その社会的費用は2060年には24兆2630億円になると推計されています。その費用は、誰がいくら、どう負担するかは、これから国民全体で考える必要がありますね。

それはさておき、高齢になったら必ず認知症にかかるわけではありませんが、かかったときの用心にお金の準備はしておきたいもの。そのために、老後資金をできるだけ増やすようにしましょう。認知症をピンポイントで保障する保険・特約が登場しているので、保険で備える手もあります。


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