労務管理

セクハラ・パワハラ等のハラスメントの相談はここに!

年々増えてきているセクシャルハラスメント(セクハラ)・パワーハラスメント(パワハラ)・マタニティハラスメント(マタハラ)などのハラスメント系、つまり職場でのさまざまな嫌がらせの問題。今回は、そのような嫌がらせにあったときの相談窓口や相談方法をまとめました。

渋田 貴正

執筆者:渋田 貴正

企業経営のサポートガイド

労働基準監督署はパワハラ・セクハラなどは担当外

ハラスメントの相談

ハラスメントの相談窓口


労働トラブルの相談といえば、まず「労働基準監督署」が頭に浮かぶ方が多いのではないでしょうか?

例えば「残業代を払ってくれない」「労働時間が長すぎる」「最初に契約した内容と実際の労働条件が違う」などなど。これらはすべて労働基準法や労働契約法など労働者を保護するための法律に違反していますので、違反が明確であれば労働基準監督署が対応してくれるでしょう。

それでは、セクハラやパワハラなどのハラスメント系のトラブルについてはどうでしょうか?

もとより労働基準監督署は労働関係の法令が順守されているかを監督する機関です。一方、ハラスメント系のトラブルは、個人によって受け取り方に違いがあり、法律上こんな行為をしたらセクハラやパワハラに該当するといった規定はありません。

誰の目から見ても、嫌がらせだということが分かるケースはさておき、ちょっとしたジョークを言うことやボディタッチを何とも思わない人もいれば、不快に感じる人もいるかもしれません。このため、セクハラやパワハラの定義を法律で定めることは難しいのです。法律で規定できない以上、法律違反を取り締まる労働基準監督署も、セクハラやパワハラの問題に対しては、手を出しにくいのです。

中小企業では会社の相談窓口もあまり頼りにならない

部門がいくつもあるような大きな会社であれば、独立した外部の相談窓口が設置されて、カウンセラーや産業医などが相談に乗ってくれる場合があります。また、管理部門が整備されていれば、人事部がその役割を果たしている場合もあるでしょう。いずれにしても、プライバシーがしっかりと保護されていると信用できる相談窓口であれば、ハラスメントで悩んでいる方にとって相談しやすいはずです。

しかし、このようにカウンセラーなどを設置するにはもちろんお金がかかります。正直なところ、このように労働者の保護のために進んでお金を出せる会社は限られています。

多くの方が勤める中小企業では、このような「ハラスメント相談の専門窓口」なんて存在していない、ということが多いのではないでしょうか? また、中小企業では、人事部があっても決して独立部門とはいえず、利害関係が生じてとても相談なんてできない、ことも普通でしょう。また、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった具合に、会社自体がイヤすぎて、会社に相談なんてとてもできない、という方もいるでしょう。

労働基準監督署や会社の窓口に相談できないとすれば、どこに相談すればよいのでしょうか?

都道府県の相談窓口や弁護士を活用

各都道府県に「総合労働相談コーナー」があります。専門の相談員がセクハラやパワハラなどの労働問題について相談に乗ってくれます。電話での相談も可能です。

弁護士や社会保険労務士といった法律の専門家に相談してみるというのも一つの手です。ただし、これらの専門家の多くは会社側に立って仕事をしています。相談する場合は、労働者側に立って仕事をしている人を選びましょう。

ちなみに、パワハラやセクハラなどの嫌がらせが理由で退職する場合には、ハローワークで受給する失業手当の受給期間が長くなったり、受給が開始される時期が早くなったり、ということがあります。会社側が自己都合で離職票を発行した場合でも、ハローワーク窓口で事情を説明すれば、嫌がらせによる退職として認められることもあります。

いちばん頼るべきは身近な人

ただ、最終的に頼れるのは、家族や恋人、友人(リアル・ネット問わず)、両親などかもしれません。自分と同じ視点に立って悩んだり、自分に合った解決方法を模索してくれたりというのは、結局のところ自分がどれだけ心を開いて話せるかということが重要です。

ハラスメント系の悩みは、一人で抱え込まず、まずは、「会社とは独立した・安心できる誰か」に相談することが大切です。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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