2017年10月からITによる重要事項説明がスタート

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相手の顔のほか、間取り図や地図なども表示できる

2017年10月から賃貸仲介を中心に、「ITを活用した重要事項説明」(IT重説)が本格運用され、既に大手をはじめ、不動産各社では賃貸仲介だけでなく不動産売買や相続分野でもIT化への対応を着々と進めています。

IT重説とは、インターネット等を利用して不動産の売買契約および賃貸借契約における重要事項説明を行うこと。現在の宅地建物取引業法においては、宅地建物取引士が購入者(賃借人)に対し、重要事項説明書を交付し、宅地建物取引士自らが対面で説明を行わなければならないことになっていますが、賃貸仲介を皮切りにインターネットを活用した説明が解禁になります。中古を買ってリフォームするマイホームユーザーが増えている中、不動産会社との既存住宅の売買取引はマイホーム取得者にとって無関係ではなくなってくるでしょう。今回はその先駆け事例と取組の狙いを紹介します。

遠隔地の不動産売買の相談について、顧客の最寄店舗・営業所からモニターを通じて現地担当者と話すことができる「店舗間IT接客(遠隔地所有者接客対応)」を2017年6月より全国71店舗でスタートさせた、大京穴吹不動産に聞きました。

相続・介護の増加とともにニーズ高まる

不動産市場の活性化に伴い、地方⇔首都圏の物件の取引が増えることが予想されています。たとえば「親の家を地方にもち、売却などを検討する首都圏在住者」は大相続時代を前に増えることは容易に想像できるし、「転勤で持家を残したまま家族で引っ越すサラリーマン」、「地方に住む親が都市に住む子どものために都市部で不動産を購入しようとするケース」「地方の住む親が高齢になり、面倒を見るために地方にも行き来できる拠点不動産を買いたい」といったケースなど様々です。

このほかにも「地方に相続した実家が空き家となっているが、仕事が忙しく管理できず放置。地元の不動産屋は知らないし、何度も出向くのも大変」「海や山の近くに滞在できる別荘目的のリゾートマンションを探したいが、週末に出向くのも大変。どこに相談したらいいかも分からない」など、現代ならではの遠隔地相互取引ニーズ事情もあります。

首都圏からの契約が約40%

大京穴吹不動産によると、地方⇔首都圏の売買取引は実際に増えていて、また地方不動産の取引では首都圏からの来場が50%、契約が40%と半数を占めているといいます。

これまでは、顧客が遠隔地の不動産売買を相談する場合は、現地の物件所在地や現地で営業している不動産会社に出向く必要があり、もしくは現地担当者と物件イメージや相手の顔が見れないまま電話で相談するしかありませんでした。

しかし今回のようなIT接客システムの導入により、顧客は自宅や勤務先の最寄の店舗・営業所に出向くだけで、離れたエリアの営業所担当者とモニターを通じて会話することができ、現地写真や間取り図、過去取引額事例なども同じモニター内で確認しながら話を進めることができます。電話では相手の話から想像するしかなかった商談内容が、モニターで確認しながら「面談同様の安心感を持っていただくことで、より満足度の高いサービスの提供が可能になります」(同社説明者)。

◆ケース1:現在、東京に住んでいるが、大阪に住んでいるお父様が他界。大阪の実家はお母様が相続される予定だが、お母様は高齢のため東京に住んでいる息子・娘が相続売買手続きをしなければならない。場合によっては売却も検討中。相続について相談したい。

相談者は仕事が忙しいため、東京に事務所のある税理士にモニターを通して相談。相続税などの計算方法を教えてもらう。大阪の現地エリアに詳しい営業所スタッフがモニターを通じて接客。

◆ケース2:現在、東京に住んでいるが、大阪に転勤予定。大阪のマンションを買ってリフォームして住みたいが、リフォーム現場に足を運んでいる時間がない。どのようになっているか東京にいながら確認したい。

大阪のリフォームデザイン事務所の担当建築士とインテリアコーディネーターとつながる。リフォーム前と後の写真を画面でスクロールしながらイメージ確認。


大相続・大介護時代になる中、少子化で息子や娘の数は限られており、相続や介護のために仕事を辞めるわけにもいきません。「東京など都市部で働きながら、遠隔の地方の物件を相続・売買したい」「相続した地方の空き家の管理をしたい」「転勤で二地域居住するための不動産を買ってリフォームしたい」といった様々なニーズをITで解決できる余地は今後もありそうです。
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