睡眠

仮眠を制する者は眠気を制す!体得すべき5種の仮眠法

【医師解説】睡眠時間が足りず睡眠不足に悩まされている場合、上手に仮眠を取ることが大切。昼食後に何となく昼寝を取るだけではなく、様々な仮眠法を積極的に使い分けていきましょう。瞬間仮眠でもある「ナノ・ナップ」、1分程度の「マイクロ・ナップ」を始め、「ミニ・ナップ」「パワー・ナップ」「ホリデー・ナップ」の5種類の仮眠法の特徴と効果、より効果的な眠り方のコツを解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

眠る時間の長さで分ける「5種の仮眠法」

会社で仮眠

睡眠不足解消の切り札は仮眠(昼寝)です!

十分な睡眠が取れていれば、体内時計の働きで、午前中は眠気が少ないはずです。もしも起床してから4時間後に眠気がある場合、睡眠時間が足りない寝不足の状態だと考えた方がよいでしょう。また、休日の睡眠時間が平日の睡眠時間より2時間以上長い人も、睡眠不足が続いていると考えられます。

理想的には夜の睡眠時間を確保すると良いのですが、難しいのが現実。そんな時には積極的に仮眠をとりましょう。仮眠といっても、時間や目的によってさまざまです。仮眠は以下に挙げるように、眠る時間の長さによって5種類に分けられます。

■仮眠の種類
  • ナノ・ナップ(瞬間仮眠):一瞬~数秒
  • マイクロ・ナップ(1分仮眠):数十秒~数分
  • ミニ・ナップ:10分
  • パワー・ナップ:20分
  • ホリデー・ナップ:90分
以下で、それぞれの特徴と活用法を解説します。

ナノ・ナップとは……数秒のみ眠る瞬間仮眠

睡眠不足がたまりすぎて、脳の神経細胞が壊れてしまう限界まできたときに、「マイクロ・スリープ」という現象が起きます。起きているつもりでも一瞬ガクッときたり、目を開けているのに呼びかけに反応しなかったりしたときに、マイクロ・スリープが起きています。意識に反してでも脳の働きを短時間止めることで、脳細胞を守っているのです。マイクロ・スリープを積極的に行うのが、「ナノ・ナップ(瞬間仮眠)」です。

一般的には1分以内の仮眠を意味する言葉ですが、数秒でも眠れば頭が少しスッキリするので、私は数秒以内の仮眠を「ナノ・ナップ」と呼んでいます。ナノ・ナップの眠り方に特別な準備はいりません。それまでの行動と同じ姿勢で、目を閉じて一瞬眠ります。目が覚めたら伸びをするなど、できるだけ身体を動かして眠気を払い、また元の仕事に戻ります。企画を考えているときやクリエイティブな仕事をしているときに、積極的に取り入れてほしい仮眠方法です。

マイクロ・ナップとは……一駅でもできる1分仮眠

夜はできるだけ質の良い睡眠を6~8時間以上取り、昼休みには必ず20分の昼寝(パワー・ナップ)をし、少しでも時間があるときには10分仮眠(ミニ・ナップ)を取る。その上で、さらに短いスキマ時間を見つけて、1分仮眠(マイクロ・ナップ)を行うのが理想的です。

眠気がひどくなってからマイクロ・ナップをとると、1分では目覚められないことがあるので、強い眠気を感じる前に、少し早めに眠るのがおすすめです。ミスが増えたり考えがまとまらなくなったりしたら、その場で目をつぶりましょう。ナノ・ナップより少し時間が長い分、さらに効果的です。

たった1分ですから、オフィスでなくても時間を作れます。会社の中なら、トイレに座ってでも、仮眠はとれます。山手線は1駅分の所要時間が1~3分ですから、絶好の1分仮眠タイムです。仮眠に対する積極的な気持ちが、あなたの脳を守ってくれます。

ミニ・ナップとは……疲労回復にも効果的な10分仮眠

アメリカ大統領だったジョン.F.ケネディも、このミニ・ナップを1日に何回かとるように習慣づけていたそうです。これまでの研究からは、10分以上の仮眠をとると眠気や疲労感が減り、活気が充実するという客観的なデータが得られています。また、論理的な思考能力や車の運転技能も向上します。つまり、10分仮眠は脳をリフレッシュしてくれるのです。

通勤や帰宅の電車の中で、あるいは午前・午後の休憩時間に、積極的にミニ・ナップをとりましょう。眠る前には安定した姿勢をとり、ネクタイなど身体を締めつけているものを緩めておきましょう。

遅くまで仕事をしたあとは、電車やバスの中でもミニ・ナップをとりましょう。ここで一気に長い時間、爆睡してしまうと、家に帰ってから眠れなくなってしまいます。ですから、短時間の仮眠と覚醒を繰り返す「ウトウト状態」を保つことが大事です。もちろんそうなる前に、夜の睡眠と日中の仮眠をしっかりとりましょう。

パワー・ナップとは……必ず日課にしたい20分仮眠

仮眠の基本は、正午から午後3時までのあいだに、20分の昼寝(パワー・ナップ)をすることです。2014年に厚生労働省が発表した「睡眠12箇条」でも、午後の作業能率を改善するために、短時間の昼寝を勧めています。

午後の仮眠は、その日の夜の睡眠の先取りになります。ですから、遅い時間に仮眠をとると、夜の睡眠に悪影響がでてしまうのです。そのためパワー・ナップは、夕方より前に終わっておく必要があります。また、短時間の仮眠は、あまり眠りが深くならないうちに目覚めたほうが良いので、高齢者では30分、60歳以下の人なら20分が最適です。

ビジネス・パーソンは昼休みが終われば、昼寝どころではなくなります。ですから、昼休みの前半で昼食をとり、さらにコーヒーや紅茶、緑茶などでカフェインをとって、後半に20分の昼寝をするのが現実的です。

あまり深く眠らないようにするために、机に突っ伏したり椅子にもたれかかったりして昼寝しましょう。昼寝用枕などのグッズを使うこともおすすめです。パワー・ナップの前にカフェインをとると、目覚めるころにカフェインの覚醒効果があらわれて、スッキリ目が覚め、クリアな頭で午後の仕事を始められます。

ホリデー・ナップとは……休日の効果的な寝だめ・90分仮眠

若い人で20分以上、高齢者でも30分以上眠ると、脳が深い眠りに入ってしまうため、時間どおりに起きられなかったり、目覚めてからも眠気が続いたりします。そのため、平日の仮眠は20分(高齢者では30分)以内にすることが大切です。

しかし、それだけでは平日の睡眠不足が解消されないとき、休日に90分の仮眠(ホリデー・ナップ)をとりましょう。90分というのは、睡眠のリズムでちょうど目覚めやすい時間です。ただし、遅い時間帯に仮眠すると、夜の睡眠に悪影響が出るので、午後3~4時までには起きてください。

短時間の仮眠と違いホリデー・ナップでは、ソファやベッドなどに横になって眠るのが良いでしょう。もちろん、眠りすぎないようにするため、必ず目覚ましアラームをセットしておきましょう。

まとめて90分も時間が取れないときには、20分ほどの仮眠を1日に4~5回繰り返してとってもかまいません。仮眠の合計が90分前後になれば、まとめて仮眠したときに近い効果が得られます。

このほか、仮眠に役立つ枕については「夏バテ予防にデスクで昼寝! 医師が薦める3つの昼寝枕」を、朝の仮眠ともいえる二度寝については「眠気解消!医師が薦める『二度寝』の達人になる方法」を、眠気対策については「睡魔襲来!朝昼夜の時間帯別にできる眠気対策法」をお読みください。

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