うさぎは鳴かない?
うさぎには声帯がない?
「うさぎって、鳴くの?」と、よく聞かれます。犬や猫が身近にいる方は、不思議に思うのでしょう。「……あれ、そういえば、うさぎの鳴き方って、どんなのだっけ?」と。改めて考えてみてください。犬はワンワン、猫はにゃあにゃあ、小鳥はピヨピヨ……さて、うさぎは?
答えは、うさぎは、鳴かないのです。もともと、声を出す声帯がありません。口から「声」を発しません。しかしうさぎは、「ぷーぷー」や、「ぶぅぶぅ」、「ぐぅぐぅ」などという音は発するのですが、これについては、後ほど記します。これを「声」と勘違いしたり、「鳴き声」と解釈したりする場合がありますが、あくまで「音」であって、「声」ではありません。
通常、動物が鳴く行為は、仲間同士の意思疎通や求愛、危険を知らせるためなどの役割をしています。では、鳴かないうさぎは、どうやって、仲間同士で意思疎通をしたり、危険を知らせたりしているのでしょうか。
声帯を持たないうさぎの声に代わる音「足ダン」
うさぎは、仲間に危険を知らせる手段として、足を地面に叩き付けるスタンピングをして、その振動と大きな音で、仲間に情報を伝えます。うさぎのその行為を、うさぎ好き仲間のあいだでは「足ダン」と呼んでいますが、この小さな体のどこからあんな大きな音が出るのかと驚くくらい、足ダンは威力があります。「危険!敵がいる!」という足ダンは、草原の地面を伝わって、遠くの仲間に、天敵が来たことを知らせます。うさぎは声ではなく、足を踏み鳴らす音で、仲間に危険を知らせるのです。
私たちが飼っているペットのイエウサギは、天敵に遭遇することもないため、この足ダンの出番は無いように思いますが、いえいえどうして、よく耳にします。飼い主が大きな声でくしゃみや咳をした時などの、高くて強い音を聞いた時に「危険危険!」と、足ダンをすることがあります。私が統計的に気が付いたのは、低い大きな音にはあまり反応しないのに対し、高い大きな音には反応します。これはきっと、自然界での天敵の鳴き声などの周波数に酷似しているせいだと思います。
うさぎはなぜ鳴かない?
では、うさぎはなぜ「鳴かない」のでしょうか。野生では、被捕食動物の底辺にいるうさぎ。あらゆる肉食動物のエサになってしまうのです。そのため、声を出そうものなら、すぐに敵に気づかれてしまいます。そのため、鳴き声をもたないのでは、と憶測できます。ナキウサギ
岩場に住む、ナキウサギ
うさぎの鳴き声?4選
うさぎの発する音はどんなもの?
- 嬉しいとき、喉の奥で「ぐぅ、ぐぅ」
- 怒った時の「ぶっ!」
- 「プヒー、クヒー」などの、寝息
私も、普段営んでいる、うさぎホテル内でお客様と会うとき、この音が聞こえてきて「何の音ですか?」と、お客様に訊ねられることがあります。見ると、熟睡しているうさぎが目に入ります。呼吸のリズムとともに、くぅーくぅー、スピースピーと聞こえるので、この音は、寝息または、いびきでしょう。
通常、健康なうさぎなら、この音はしないはずですが、音が鳴るということは、器官が狭くなっているなど、状態によっては、健康に影響する場合もあるので、このような音が聞こえたら、早めにうさぎに詳しい動物病院で診てもらいましょう。
- 本当に苦しい時「キーッ!」と「鳴く」
以上、うさぎが発する鳴き声ならぬ「音」について書きました。鳴かないうさぎですが、鳴かないのには理由があるからなのです。うさぎの特性を知って、より理解を深めていただけたらと思います。
また、鳴かないからといって、集合住宅などで飼いやすいということでは決してないですので、うさぎについてよく理解してからお迎えするようにしてほしいです。
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