年金

国民年金基金とiDeCoの違いと活用法(3ページ目)

2017年1月から個人型確定拠出年金(通称iDeCo:イデコ)の加入者の範囲が大幅に拡大しました。新規加入者の数も増大しています。公的年金にプラスして給付を受けられる個人年金であるiDeCo。今回は、特に自営業者にとってのiDeCoの活用法と国民年金基金との組み合わせ方法などについて解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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上乗せ年金の必要性は? 自営業者の場合

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自営業者・フリーランスにも上乗せ年金は必要です

先ほどの図表をみても、会社員・公務員であれば、厚生年金があり、さらに会社によっては企業年金が導入されています。それでは、自営業者・フリーランス(国民年金の第1号被保険者)の年金制度はどうなっているのか、もう一度おさらいしてみましょう。

自営業者やフリーランスが加入する公的年金制度は、国民年金のみとなります。会社員や公務員のように厚生年金はありません。また、企業年金といった制度もありません。国民年金では、将来受け取れる年金額は満額で、月額約6.5万円(年額約78万円)になります(2017年度価格)。

一方、現在の高齢者世帯の平均的な支出は、月額約27万円(2016年家計調査より)です。夫婦世帯で考えると、自営業世帯では、国民年金だけでは、月額で約14万円も足りないことになります(会社員世帯は約5万円の不足)。自営業なので定年がないため、事業等の収入で賄うことも可能かもしれませんが、それでも月額で14万円、年額にすると168万円は大きいでしょう。

また、老後の期間はますます延びています。65歳時点の平均余命(その年齢時点であとどれくらい生きられるのかを示す期間)をみると、男性で19.5年、女性は24.3年です。つまり、年齢に直すと男性は84.5歳(65歳+19.5年)、女性は89.3歳(65歳+24.3年)になります。したがって、65歳から90歳までの25年間としてみた場合、それだけ長い期間にわたって受け取ることができる年金制度は非常に頼りになります。

「貯蓄で賄うから大丈夫」という意見もあるでしょう。確かに財産にゆとりがあれば、それでもよいのかもしれません。ただ、想定外の出費、医療費・介護費の負担などが続いた場合など、生活費以外にも全て貯蓄を切り崩して生活しなければなりません。「長生きリスク」という言葉がありますが、長生きすることは素晴らしいことですが、貯蓄を切り崩した生活をしていると、いつか貯蓄残高がゼロになってしまう可能性もあります。

生きている間ずっと受け取ることができる年金制度、つまり終身年金があれば、長生きしても安心な備えになります。代表例が公的年金(国民年金・厚生年金)です。ただ、自営業者の場合は、国民年金だけでは足りないので、上乗せの年金を考えることが重要です。そしてまずは終身で受け取れる年金を準備することが必要といえるでしょう。
自営業者・フリーランスの年金制度

 

 
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