VW(フォルクスワーゲン)/ゴルフ

7.5に進化したVWゴルフは今もCセグメントの王者か!?

Cセグメントと呼ばれるクラスは、プジョー308やメルセデス・ベンツAクラス、BMW1シリーズ、SUBARUインプレッサなど国産、輸入車を問わない激戦区。自他ともに指標と認めるフォルクスワーゲン・ゴルフがビッグマイナーチェンジを受けた。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

ゴルフ7からゴルフ7.5へアップデート

フォルクスワーゲン・ゴルフ

写真はゴルフのハッチバック(TSIハイライン)。価格帯は249万9000円~559万9000円(GTI、Rを含む)。ボディサイズは全長4265×全幅1800×全高1480mm


2017年5月末にビッグマイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲン・ゴルフは、「ゴルフ7から7.5へのアップデート」と表現したくなる大幅な変更になっている。

運転支援システムを含む安全装備の強化、最新のデジタルインターフェイスの採用、小幅ながらもエクステリアの変更、ゴルフGTI、ゴルフRというスポーツモデルの動力性能の向上が柱で、ハッチバックだけでなくワゴン(ヴァリアント)、ヴァリアント派生のSUVであるオールトラックを含む大がかりなものだ。

走りに関しては、ゴルフGTIを10psアップの230psへ、ゴルフRを30ps向上の310psに引き上げ、ゴルフRには新開発となる湿式7速DSGを採用。さらに、GTIは同じ6速DSGのままであるものの、変速比が若干変更されている(最終減速比は不変)。

より上質さを増した走り

フォルクスワーゲン・ゴルフ

こちらはゴルフ・ヴァリアント(TSIハイライン)。価格帯は293万9000円~569万9000円(Rを含む)。サイズは全長4575×全幅1800×全高1485mm


これ以外のパワートレーンや足まわり、ボディ関連などの変更点はとくにアナウンスされていない。

しかし、ハッチバックのTSIハイライン(1.4L+7速DSG)から走り出すと、乗り味にしなやかさが増している気がするのだ。基本的にフォルクスワーゲンらしいしっかり感と硬さをベースとしながらも、改良前で感じられたコツコツ、ゴツゴツとした乗り味や微振動が影を潜めている。硬さの中にもしなやかで上質感がある。

ヴァリアントも同様だ。試乗車のゴルフ・ヴァリアントTSIハイライン(1.4L+7速DSG)は、ハッチバックほどのボディ(とくに後席より後ろのリヤまわり)の凝縮感はないものの、改良前の荷物を積まない空荷状態で走る硬さがだいぶマイルドになっている。

フォルクスワーゲン・ゴルフ

ヴァリアント派生のクロスオーバーモデルであるゴルフ・オールトラック(TSI 4モーション)は359万9000円


今回のマイナーチェンジを機に足まわりの微調整(チューニング)が施されている可能性を感じさせるしなやかな乗り味は、試乗ステージが異なる、個体差もあるかも、という条件を前提にしても朗報と考えてよさそうだ

パワートレーンの印象は改良前と変わらない。1.4L+7速DSGによる速度域を問わず、力強い加速フィールが得られるのは「TSIハイライン」を選ぶ価値を存分に感じさせるもの。

ゴルフ・ヴァリアントRは速さとスムーズさを併せ持つ

フォルクスワーゲン・ゴルフ

ゴルフR(ヴァリアントR)は30psパワーアップされ、310ps/400Nm(6MTは310ps/380Nm)というアウトプットを得ている


わずか30分だけ試乗できたゴルフ・ヴァリアントR(2.0L+7速DSGモデル)も魅力は十分だ。

30psの増強により登り坂が続く山道でもどこから踏んでも「超」が付くほど痛快な加速が得られるし、第2世代にスイッチしたアダプティブシャーシコントロール「DCC」を「レース」モードに入れればエンジンはよりシャープに吹け上がり、シフトフィールもパワーバンドを外さない。なお、7速DSGを「Sモード」に入れても刺激的な走りが楽しめる。

フォルクスワーゲン・ゴルフ

ヴァリアントのRもハッチバック同様に30ps向上され、動力性能が引き上げられている


ほかにも、電子制御式ディファレンシャルロックの「XDS」により、アンダーステアを抑制する自然なハンドリングもゴルフRの美点。今回の試乗では味見程度であったが、ヴァリアントという大開口のテールゲートを持つボディでも一体感のある走りが得られた。これがハッチバックのRならなおさらだろう。

見た目以上に中身は大きく進化

フォルクスワーゲン・ゴルフ

メーターのデジタル化、ナビ画面の大型化が図られた。ナビ画面にはジェスチャー・コントロールも採用されている


安全デバイスの渋滞時追従支援システムやレーンキープアシストなどは、パサートやティグアンなど上位モデルに採用されていたもので、コンパクトカーという位置づけのゴルフにも設定されたもの。歩行者検知機能の追加も含めて安全性、快適性が上がったのもうれしいところだ。

一方で、前後バンパーや前後ライトをLED化したという外観は、パッと見では改良前と差がわかりにくいというのも正直なところ。細部はシャープ差が増して、より上質感やウインカーが流れるように点灯するなど、先進性も増しているが、改良前のオーナーでない限り、「マイナーチェンジした」と言われないと(新色のぞく)わからないかもしれない。

Cセグメントのベンチマークはやはりゴルフ

フォルクスワーゲン・ゴルフ

新色の設定など外観もリフレッシュ。前後ライトはLED化された


内装の見所であるデジタルインターフェイスでは、メーターのデジタル表示により先進性と視認性が一歩進んだのがよくわかる。また、ナビ画面のサイズアップも視認性向上に大きく寄与している。

逆に、フォルクスワーゲン初のジェスチャー・コントロールは、このゴルフのシステムに限らず、どういったシーンでどうやって手をどう振るか覚える必要があるため、じっくり向き合わないと(もしくは教えてもらう)、意のままに使いこなすまでは至らなそう。

ビッグマイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲン・ゴルフ。外観はあまり代わり映えしていないように思えるかもしれないが、使い勝手や安全、運転支援デバイス、スポーツモデルの進化などポイントは数多い。アナウンスされていない領域でも改良前よりも熟成が進んだ印象で、Cセグメント不動のベンチマーク(指標)という立ち位置は不変のようだ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます