スイスチョコレート「CANONICA(カノニカ)」
2017年6月初旬、スイスのジュネーブを訪れました。ジュネーブはスイスの西部、フランスの国境のすぐそばに位置しています。レマン湖南西のほとりにある、美しい街であり、国際連合をはじめとする、重要な国際機関が集まる都市でもありますね。そしてもうひとつ。Chocolat Lover(ショコララバー)の読者のみなさんがやっぱり注目するのは、スイスのチョコレート。
日本でもスイスチョコレートは人気が高く、古くから愛されています。ジュネーブを訪れて様々な発見がありましたが、そんな中、日本で殆ど知られていませんが、印象に残った「CANONICA(カノニカ)」をご紹介します。 奇をてらうことなく、丁寧なハンドメイドにこだわったボンボンショコラの数々。スイスのアルチザン(職人)による「メイドインスイス」への誇りを持ち、チョコレート作りを続けています。
ジュネーブ空港で買える「カノニカ」
カノニカのチョコレート、ジュネーブ空港を利用したことがある方なら、ご存じかもしれませんね。出国時に手荷物検査を済ませ、さぁ、最後にお土産は何にしようかな……と頭をよぎり、そして多分、30秒以内に、目の前に大きなチョコレートショップが現れます。 「スイスチョコレートアヴェニュー」はジュネーブ空港の中にある、スイスチョコレートの専門店です。リニューアルしたばかりで、チョコレートの種類・数が増え、内装がモダンになりました。 お馴染みのリンツ、トブラローネをはじめ、未だ見ぬスイスチョコレートの数々。チョコレートファンなら、クラクラしてしまうことでしょう。そしてこの店内で、最も広い販売エリアを持つのが、カノニカです。唯一、このブランドだけが街のチョコレートショップと同じように、フレッシュなボンボンショコラを1粒から購入できます。 ショコラをボックスに詰めてお土産にも。機内で楽しむよう、自分用にも。 アソートボックスの種類が豊富。最大81個入りのボックスもあって、さすがスイス、すごい迫力!
「スイスチョコレートアヴェニュー」は、ジュネーブ空港から出国する方(利用するエアラインによっては利用不可)が、利用できるエリアにあります。
鉄道の「ジュネーブ空港」駅ショッピングモールでも!(※現在閉店)
※このショップは、現在閉店しています。
誰でも利用できるショップは、鉄道(CFF)の「Genève Aéroportジュネーブ空港」駅のショッピングモールにあります。
スイスチョコレートのセレクトショップで、その名も「CANONICA」。カノニカのチョコレートをメインに販売。カノニカチョコレートの豊富なラインナップに一気に出会えます。
蛇口から流れだしているのは、ミルクの濃厚な風味が魅力のチョコレートクリームで、カノニカのオリジナルブレンドです。フルーツやパンをディップしても、そのままでも美味しいです。日本に持ち帰るのは難しいので、ホテルのお部屋などでどうぞ。
レマン湖のほとり、NYONの新店舗(※現在閉店)
※このショップは現在閉店しています。
また、2017年5月1日には、美しいレマン湖のほとりに、新ブティックがオープンしました。 ティールームを備えたエレガントな店内。心地良くて、私はとてつもなく長居してしまいました……。リゾートを楽しむ方々やレマン湖畔に別荘をお持ちの、世界のセレブリティが訪れ、カノニカのチョコレートを楽しんでいます。
注目したのはボンボンショコラ!
タブレット、トリュフ、パータタルティネ、パヴェ・ド・ジュネーブ……。カノニカは、色々な種類のチョコレートを作っていますが、私が注目したのは、ボンボンショコラです。甘すぎず、上品な素材感。日本人が「おいしいね」と、安心して楽しめるバランスです。 大きいボックスが沢山あるのは、チョコレート好きが多い国ならでは。丁寧に箱詰めされたボンボンショコラたちは、輝いて見えます。 お土産にふさわしいのはこちらのアソート。海外から持ち帰りやすい丈夫なボックスなので、空港で私はこちらをいくつかゲット。 ジュネーブ空港から、私が東京に持ち帰った49個入りのボックスです。豪華!ところで私は、手作りのきれいなボンボンショコラがぎっしり入ったこういうボックスが大好きです。箱をあけたときの「わあ」という幸福感は、何にも替えがたいと感じますが、みなさん、いかがですか? カノニカのボンボンショコラのスペシャリテは「LES BONBONS MOULES(ボンボン ムレ)」シリーズです。私はこのシリーズに魅力を感じました。全工程が手作業で行われる逸品、美しくてユニーク。ギフトに最適だと思いました。
オリジナルのドーム型に、オリジナリティのあるフレーバーが詰まっています。カラーや柄が少しずつ違うことでニュアンスが生まれていますが、これは手作業であるが故。
写真手前、グリーンの「グラニースミス」は、甘酸っぱいグリーンアップルのグラニースミスとやさしい甘さのキャラメルのセンターが、外側のミルクチョコレートと調和した私のお気に入り。
時計回りにフランボワーズのジュレ入りの「フランボワーズ」、ローズマリーとアプリコットの意外で、気分が華やぐマリーアージュ「アプリコ ロマラン」。
「ノワ ド ペカン オレンジ」は、ペカンナッツの食感を残さず香りだけを移したガナッシュオレンジとの調和が新鮮です。手前左は、ピーナッツが香る、なめらかなキャラメルガナッシュ入り「カカオエットキャラメル」。
他にもイエローの「キャラメル パッション」、ダークグリーンの「テ アールグレイ」も、気に入りました。 この形に統一された、ボンボンショコラのシリーズにも魅力があります。
写真手前は「Fraise Basillic(ストロベリーバジル)」。フレッシュバジルが生クリームにアンフュゼ(香りを移す作業)され、バジルの香りがさわやかに広がります。するとほどなく追いかけてくる甘酸っぱい苺の風味。是非お薦めします。
写真の「ローズ」「パレ オール(プレーンなビターガナッシュ)」のほか、上質で風味のよいナッツをトッピングした「アマンド ノワール」「ノワゼット」も良いですし、私はフレッシュミントが香るチョコレートが好きなので「Menthe Fraiche(マント フレッシュ)」も好きで、いくつもいただいてしまいました。
ボンボンショコラに高さがあり、サイズが大きいので、心ゆくまでお味を味わっていい、と思えます。 カノニカは、ジュネーブの様々なチョコレートのコンクールの受賞歴があります。こちらはカカオを主役にしたガナッシュ入りの「ヴェネズエラ65% グリュエドカカオ」。2016年ショコラ・アルチザナル・ド・ジュネーブでグランプリを受賞しています。
サミュエル・ロマーニュ シェフにお会いして
こういう魅力あるチョコレートをお作りになるのは、どんな方かしら、と想像していました。私がジュネーブにあるアトリエを訪ねると、「Bonjour」と迎えてくれたのがこの方。サミュエル・ロマーニュシェフです。 すみません。少し話のベクトルがずれますが……素敵な方じゃないですか??
私は一瞬、モデルさんが現れたかと思いました!身長190センチ。すらりとした長身、ブルーの瞳が美しくて、ジュネーブにこんな素敵なショコラティエさんがいらっしゃったのかと、大発見をした気持ちに……。 サミュエル・ロマーニュシェフは、2013年にカノニカのシェフショコラティエに就任。フランスのブルターニュ地方出身で、フランスのパティスリーや、イギリスのラグジュアリーホテルでシェフパティシエを勤め、20年の経歴があります。
オーナーのヴィンセント・カノニカ氏は、ブランドの立ち上げに向け、何人ものショコラティエと面接、技術の試験をしました。その中から選ばれたのがロマーニュシェフ。
彼をパートナーに選んだ理由についてカノニカ氏は「サミュエルは美味しいチョコレートを作る技術を持ち、技術に理論があり、協調性がありました。そして何より、彼は(うわべでなく)心から話をする人だったからです」と、微笑みながら教えてくださいました。
SWISS MADE への誇り
カノニカチョコレートが誕生したのは、2011年。きっかけは、ジュネーブ空港内のレストランや、ホテルを経営するCANONICA社(1948年創業)の現会長、ヴィンセント・カノニカ氏が、「私たちが、スイスのアルチザン(職人)として真に誇れるチョコレートを作りたい」と考えたからです。何よりカノニカ氏は、チョコレートを愛しているそうです。 ヴィンセント・カノニカ氏は私に、こう話してくれました。「スイスでは2017年に『メイドインスイス』のブランド価値を守るための法律が強化されました。パッケージにスイスの国旗や、Swiss made と表記するには、厳しい基準をクリアする必要があります。私たちは可能な限りスイスの原材料を選び、勿論スイスで製造します。誇りを持って『メイドインスイス』と言えるチョコレートを作り、スイスの優れた職人の技術を、伝統として伝えたいのです」
スイスでは2017年1月、「Swissness」の名のもとに、厳しい基準が設けられました。Swiss made(スイスメイド)は高品質の証。ところが、残念ながらスイス国内には、スイスを思わせる表示があっても、実はスイス製ではない商品が存在しているのも事実でした。そのため、国が表記、国旗のデザインを使用する基準を、厳しく定めたのです(腕時計には以前から基準がありましたが、他の商品にはなかったのが現状でした)。 「私は、早く多く作る事より、クオリティを大切にしたいです。2016年、カカオの産地、ガーナとコートジボワールを訪れ、カカオ農家の現実を知り、心を打たれました。私たちは、カカオ産地と全くコネクトしていませんでした。私たちはカカオ産地の人々をリスペクトし、秋から、ビーントゥバーをはじめます。もうアトリエには、クーベルチュールも全て私たちで作る準備ができています」(サミュエル・ロマーニュシェフ)
機材の準備は既に整い、9月からクーベルチュール作りからお始めになるそうです。100%カノニカの今後のボンボンショコラはどんなお味になるでしょう。私は期待を寄せています。
チョコレートボックスに書いてある「ARTISAN CHOCOLATIER(アルチザンショコラティエ)」という言葉が、キラリと輝いたような気がしました。
現在、日本で店頭販売の予定はないそうですが、もしサミュエル・ロマーニュシェフが来日されたら、ぜひ日本のショコラファンのみなさんに会って、お話していただきたいです。その日を楽しみに!まずは、スイス、ジュネーブを訪れる方は、味わってみてくださいね。
■カノニカチョコレートが買える場所(スイスのジュネーブとその近郊)
Boutique "SWISS CHOCOLATE AVENUE"
Départ Zone Transit
Aéroport International de Genève
(ジュネーブ空港内 ※出国する際利用できます。エアラインによっては利用できません)
CANONICA - Gare CFF Genève Aéroport ※閉店
Route de l'Aéroport 25
Case postale
1215 Genève 15 Aéroport
(ジュネーブ空港駅のショッピングモール ※誰でも利用可能)
“Canonica” Shop & Tea-room in Nyon ※閉店
36, rue de Rive - 1260 Nyon
(レマン湖畔に2017年5月1日にオープンしたティールーム併設の新店)
■現在、エミレーツ航空のビジネスクラス、ファーストクラスで、カノニカのボンボンショコラが提供されているほか、世界的なハイブランドとのコラボレーションも行われています。
■カノニカWEBサイトhttp://www.canonica.com/