赤字家計はボーナスをきっかけに黒字家計に
2017年夏のボーナスの支給額は5年ぶりの減額になる予測です。今春の賃上げでもベースアップ率は昨年を下回ったことから、夏のボーナスを高額の消費やレジャー費用に回すのは控えたほうがよいかもしれません。特に50代の人は、次に景気が悪化したときには真っ先にリストラされる可能性があるということを忘れてはならないのです。ボーナスをきっかけとした家計の改善を見ていきましょう。勤労者から見れば夏・冬のボーナスはご褒美収入に見えますが、経営サイドから見れば給与の一貫であることに代わりはありません。勤労者の年収を12ヵ月で割って均等に支払うよりも、同じ金額(総額)をメリハリを付けて支払うほうが勤労者のモチベーションが上がるなどの効用があるからです。
そのボーナスの使い方、正確には運用の方法を預金・債券編と投資編に別けてお話してきましたが、3回目は家計の財務強化に使う方法を述べることにしましょう。
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赤字家計の人は、ボーナスの支給によりようやく一息付けると思われるでしょうが、一息つくだけでは再び家計は自転車操業になりかねません。今夏のボーナスをきっかけとして、黒字家計に改善する努力を行いましょう。基本は「入り(収入)と出(支出)」をしっかり確認することです。
私は、マネープランクリニックの相談を行っていますが、相変わらず使途不明金がある家計が多いの実際です。使途不明金を無くす(つきとめる)ためには、家計簿を付けて現状の把握に勤めるべきです。市販の手書き家計簿(ノートでも可)、あるいはスマートフォンにある家計簿アプリでも構いません。
使途不明金を把握したらそれを無くすことで、家計はかなり改善できるはず。改善できれば夏・冬のボーナスを一日千秋の思いで待つ必要がなくなり、黒字家計が近づく、人によっては一気に黒字家計になることでしょう。
黒字家計の人はまとめ払いの活用
黒字家計の人は財務を強化するにはまとめ払いが有効になるでしょう。月払いの生命保険料などを年払いにすることで、保険料を抑えることができるからです。夏・冬いずれかをボーナスを年払いの原資にされるとよいでしょう。その際、加入している生命保険の保障内容も見直しましょう。生命保険の保障は年齢、家族構成、加入している公的年金の種類、金融資産などによって時間の経過とともに変化していくからです。不要な特約はカットし、死亡保障額が高額であれば減額するなど保障のスリム化を検討すべきでしょう。
あるいは、終身保険などの保険料が高い生命保険を払済保険にして、新たに保険料の安い定期保険に乗り換えるのもひとつの手です。保険を切り替える場合、先に新たな保険に加入してから、払済保険に変更する、または解約するようしましょう。保障が無くなる期間(空白期間)を作らないことが乗り換える際のポイントになります。
保険料を抑えることを中心に述べましたが、フリーランスや自営業者になって厚生年金から国民年金に変わった人は、保障額が不足しているケースがあります。保障が不足するならば、新たに保障を得る(加入する)ようにしましょう。予定利率が引き下げられていることから保険に貯蓄効果はほとんど期待できません。新たに加入する保険は、合理的に定期保険や収入保障保険にするとよいはずです。
定年までに住宅ローンは完済させる
家計の財務強化という点では、生命保険の見直しと住宅ローンの繰り上げ返済あるいは借り換えが双璧と言えます。中でも、住宅ローンの完済時期が一般的な定年退職時期の60歳超の人、妥協すれば再雇用期間が終了する65歳超の人は、まず住宅ローンを繰り上げ返済を行い、完済時期を1日でも早めるべきでしょう。近年、住宅ローンの繰り上げ返済は少額からできるようになったことから、夏・冬のボーナスを合算させて繰り上げ返済する必要はありません。夏のボーナス、冬のボーナスと都度都度繰り上げ返済は行いましょう。基本は期間短縮型を選びたいところですが、教育費の負担が重なっているならば、返済額軽減型を選び、キャッシュフローを改善すべきです。
繰り上げ返済のほか、高利で住宅ローンを借りている人は、借り換えを行う積極的に行うべきです。多少の上下動はありますが、日本銀行が昨年9月に金融政策を変更したことから、住宅ローン金利が過去最低を更新するのは残念ながら望めません。直ぐに住宅ローン金利が上昇するような局面ではありませんが、早めに長期固定金利にシフトしておいたほうが無難でしょう。
今夏のボーナスで、家計の財務内容を強化することは当たり前のことばかりですが、ボーナスは年末年始、新年度の節目と並ぶ家計管理を見直すをきっかけの時期と捉えるべきなのです。
3回にわたり今夏のボーナスの有効利用について述べましたが、わが家にあったものを取り入れてください。横並びを意識する必要は決してありません。