アドバイス1 貯蓄目標は手短な設定から
まずは貯蓄目標にですが、「10年間で1000万円」は数字上可能ですし、具体的な目的を設定することはとてもいいことです。ただし、相談者のまさおさんは「これまで貯蓄が思うようにできなかった」ということを考えると、いきなり大きな目標を掲げなくてもいいと思います。最初は、「2年で200万円」もしくは「3年で300万円」としてはどうでしょう。それが達成できたら「5年で500万円」に引き上げ、結果的に10年で1000万円貯めることができればいいのでは。目標は「達成感」と「モチベーションの維持」が大事です。あくまで気持ちの部分ではありますが、10年間ひたすら頑張り続けるより、短いサイクルでひとつひとつクリアし、そのつど達成感を得ていく方が、無理なく達成できるのではないでしょうか。
また、その間、まさおさんが言われているようにマル優(預貯金)や特別マル優(国債と地方債)などを上手に活用していけばさらに効率的です。
「手数料をかけず資産を増やす方法」については、今年から始めたiDeCoやNISAを活用する方向でいいと思います。毎月、運用に回す資金も、金額的にこの程度なら無理がありません。もちろん、運用は必ずしも増えるとは限りませんが、投資内容を拝見すると、上手にリスク分散はできています。あとは、投資信託であれば、信託報酬等の手数料に対して絶えずコスト意識を持つ(割安のものを選ぶ、など)ことが大事でしょう。
アドバイス2 楽しむための支出は削らない
現在の貯蓄ペースは、投資部分も含めると年間128万円ほど。定年までの期間、これを継続すれば2000万円を超えます。これに退職金を加えた合計額が、老後資金となります。この金額が老後資金としては足りるかどうかは、不確定要素が多く、断定できません。ただし、老齢厚生年金が受給できることと、まさおさんの現在の生活費から類推して、経済的に大きく困ることはないかと思います。ただし、障害がある以上、イレギュラーなコストがかかることは当然、考えられます。
したがって、できる範囲で60歳以降も働くことがカギとなります。収入は月6万~7万円でも構いません。とくに公的年金が支給となる65歳まで働くことは、効果的な老後対策となります。障害があり、なおかつ定年後も働くことが可能かどうかは、残念なからわかりません。しかし、少なくとも気持ちの部分で折れないようにすることは、できるかと思います。
幸い、まさおさんは、その相談文から何事も前向きであることが伝わります。大切なのは、その気持ちの維持です。そのためには、目標を持って貯めると同時に、自分で楽しむための支出(旅行など)をされていますが、これは削らないこと。継続して貯蓄していくためにも、そして元気で働くためにも、生活の中での楽しみは欠かせません。ご自身の中で上手にバランスを取りながら、メリハリをつけた生活、家計管理を今後も続けてください。
アドバイス3 最寄りの年金事務所にまずは相談を
障害年金については、初診日(※)が国民年金に加入している間か、または20歳前の場合、障害基礎年金の対象となりますので、まさおさんもそれに該当するかと思います(後から症状が出た難聴は初診日によっては障害厚生年金の対象になることもあります)。ただし、障害基礎年金の受給対象として定める障害等級の1級ないし2級と、身体障害手帳の等級とは必ずしも一致しません。したがって、現在の手帳等級が2級であっても、障害基礎年金を受給できないかもしれません。しかし、まだ申請やそのための相談をされていないなら、一度してみることは必要です。年金事務所で相談を受け付けていますので、まずは最寄りの同事務所に電話で確認をしてみてください。
また、実際の申請は書類の作成等、煩雑で手間がかかるのが一般的です。自分だけでは難しいなら、コストは発生しますが、社会保険労務士などの専門家に依頼するのもひとつの方法でしょう。
最後に、親御さんの介護については、基本は親の介護保険を活用し、親の資金(預貯金、年金など)で行うのがマネープランの基本です。まさおさん自身の手間や時間は取られるでしょうが、資金的には親のお金で優先的に行うことを原則と思ってください。まさおさんが負担するのは最後の手段と心得てください。
(※)障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
【関連記事をチェック!】
41歳一人暮らし、貯金185万。老後資金に不安が
41歳独身、月収15万円。親元から自立できません
39歳独身、貯金は9万円で自転車操業の日々…
41歳、貯金6万。病気を克服して3年。夢を叶えたい