マンションを購入して一人でやっていけるでしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、親元からの自立を考える40代の女性会社員。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)
 
月収が少なく自立できない

月収が少なく自立できない




■相談者
みきさん(仮名)
女性/会社員/41歳
東北地方/実家

■家族構成
父(70代)、母(60代)、姉(42歳)

■相談内容
給料が安いので自立できず、両親が健在の今はいいですが、一人になった時、今の収入で、現在親がかりの光熱費などを負担して、自立できるかどうか心配です。再婚の予定もないので、いずれは、単身マンション(中古/1000万円程度)などに移りたいのですが、ローンを組むのは不安なので、可能な限り貯蓄を崩さない範囲で考えたいです。今の家に、将来も住み続けることはできそうですが、希望としては出ていきたいですのが……。

■家計収支データ
「みき」さんの家計収支データ

「みき」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)定年について
定年は65歳だが、希望すればさらに延長も可能。
退職金制度はあるが、支給額は不明。

(2)厚生年金について
通算17年加入。

(3)加入保険の保険料内訳
・本人/終身保険(死亡保障400万円)=毎月の保険料9440円
・本人/養老保険(満期金200万円)=保険料払い込み済み

(4)実家を出た後の生活費について
住宅コストは除いて月7万~13万円(経験がないので幅あり、とのこと)

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 いっそ現金で購入してみる
アドバイス2 自立後も「貯蓄できる」ことがポンイト
アドバイス3 購入後に「もっと節約を」とは考えない
 

アドバイス1 いっそ現金で購入してみる

ご相談者の「みきさん」について感心することは、何はともあれその貯蓄額です。まさに立派の一言。住まいがご実家というメリットはあるにせよ、ご本人も言われているように、決して高いとは言えない給与で、ここまで貯まるのですから。「貯蓄ができる」「できない」は収入の額ではないということを、あらためて思いました。

さて、ご相談の「自立」ですが、「ローンを組むのは不安なので、可能な限り貯蓄を崩さない範囲で考えたい」とのこと。確かに、ローンを組むことも、大きく貯蓄を減らすことも不安に感じるでしょう。しかし、住宅は大きな買い物です。実際はどちらかを選択するしかありません。

ならば、こう考えてください。住宅ローンは負債ですし、低金利とは言え、金利が発生します。一方、貯蓄は購入後も増やすことができる。したがって、1000万円と決めるのであれば、いっそのこと、ローンを組まず、現金で購入してはどうでしょう。

それが可能がどうか、ともあれ、試算をしてみましょう。
仮に4年後、45歳でマンション購入というプランを立ててみます。現在、貯蓄ペースが年間で140万円なので、4年後の貯蓄額は約2600万円。候補となるマンションは中古物件で1000万円程度ということですから、それに諸費用(仲介手数料、登記費用、税金、引越し費用、家電等購入費用など)を100万円と見ておきます。計1100万円を貯蓄から差し引くと、手元に残るのは1500万円となります。
 

アドバイス2 自立後も「貯蓄できる」ことがポイント

次に考えることは「自立」後の生活費です。
現在の支出データで金額が増える費目は、食費と水道光熱、通信費。逆になくなるのが親御さんに渡している生活費となります。あくまで推測ですが、みきさんの支出の程度から判断して、おそらく現状の額にプラス3万~4万円といったところ。

また、住宅関連コストとして、マンションの管理費とクルマもそのまま使用するなら駐車場代、あとは固定資産税となります。トータルを月割りにすると、3万円程度ではないでしょうか。

一方、現時点で家計を見直すべき部分はほとんどないのですが、死亡保障400万円の終身保険はあえて加入する必要はないと思います。お金を遺す家族がいないからです。今後、結婚をして家族が増えることがあっても、それはそのとき考えればいいこと。俗に言うお葬式代も、貯蓄があれば済むことです。貯蓄のつもりであれば、定期預金などで現金を積み立てた方が、使い勝手も良く、合理的です。

したがって、この保険は払済保険にします。結果、保険料が浮くので、毎月の生活費は11万円前後。自立後も貯蓄できることが購入のポイントなのですが、計算上は赤字にならず、貯蓄が継続できることがわかります。
 

アドバイス3 購入後に「もっと節約を」とは考えない

では、この生活費で今後のマネープランはどう推移するのか。

毎月の貯蓄は4万円。ボーナスから今どおり貯蓄できれば、年間80万円の貯蓄ペース。これを45歳から定年が65歳とのことですから、そこまで継続すれば1600万円貯まることになります。マンション購入時に手元に残った貯蓄が1500万円ですから、計3100万円。仮に毎年自分への「ごほうび」として旅行に10万円支出してもコストはトータルで200万円。この額は養老保険の満期金で相殺されますから、貯蓄額は実際変わりません。つまり、退職金も加味しなくても、65歳の時点で3000万円超の老後資金が用意できているということになるわけです。

90歳まで生きるとして25年間。毎年、100万円取り崩しても、500万~1000万円は手元に残ります。老齢厚生年金の支給額は不確定ですが、長生きリスクや、かかる医療費を考慮しても、まず心配ないと考えます。

あくまで試算ですが、現金で購入しても問題はありません。今回4年後を想定しましたが、前倒しも可能です。2年後に購入なら、手元に残る資金が120万円程度減額になりますが、それでも老後資金まで考慮しても、大きな問題とはならないはず。

その2年間で、じっくりと物件を探してください。管理費等、購入後の住宅コストも見えてきますので、自立後の生活費がより具体化してくるはずです。

気になる点とすれば、ご本人のコメントにもあるように、一気に貯蓄が減ってしまう不安に。数字的にはまったく問題ないですから、そこは自分自身でどう納得するかでしょう。もちろん、どうしても不安なら、自己資金を500万円にして残りをローンという選択をしてもいいかもしれません。

また、購入後に「もっと節約しないといけない」といったことを考えがちですが、それも不要です。今までどおりの生活で十分。それは赤字になったら考えることで、個人的には、もう少し自分のために支出してもいいのでは、とさえ思います。ともあれ、自立が楽しみになるよう、計画的に進めてみてください。
 

相談者「みき」さんから寄せられたご感想

深野康彦様からのアドバイスをいただき、誠に感謝しております。数字だけでなく、感情の面にもご配慮のあるご回答に、さすがプロの方だ、勇気を出してよかったと思いました。年齢の割に少ないのでは、と思っていた貯金額がそうではないとご回答いただき、安心したと同時に、独り身に必須だと思っていた終身保険が、むしろ不要だということに、かなり驚愕しましたが、理にかなったご説明にうならされるばかりでした。確かに、保険料は負担でしたので、見直しをしてみます。また、ご指摘いただいた、自分のための支出も、今回のご助言を参考に、算出してみようと思います。

教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん 
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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