雑誌の記事やネットの口コミ、どう考える?
ダイレクト自動車保険の事故対応は代理店型自動車保険に比べ、本当に劣る?
どうしてそのように感じるのか相談者に理由を聞いてみると「雑誌の記事でダイレクト自動車保険は事故対応が劣るという内容があった」「ネットの口コミサイトでダイレクト自動車保険の事故対応への不満が書いてあった」というように、雑誌やネットでの評判に影響を受けている人が多く見受けられます。
ここで自動車保険の事故対応がどの程度の数、発生しているのかを考えましょう。日本国内で2016年に発生した交通事故は49万9,201件ありました(警察庁交通局 「平成28年における交通事故の発生状況」より)。2016年3月末の任意自動車保険の普及率(保有車両数に対する任意保険が付保された車両数の割合)は対人賠償74.1%、対物賠償74.2%、人身傷害68.0%となっています(損害保険料率算出機構 「2016年度 自動車保険の概況」より)。これらから発生した交通事故の7割で保険会社に事故連絡があったと仮定すると、保険会社全体で年間約35万件ほどの事故対応が行われていることになります。単純計算すれば、自動車保険の契約数シェアが3%の保険会社でも事故対応は年間1万件ほど。
ダイレクト自動車保険の事故対応が劣るという主旨のコメントを雑誌記事で時々見かけますが、その根拠は自らの経験、または自分の顧客の経験ということが多いように感じます。そうであれば、事故対応1件、多くて数件をもとにした話ということになります。もしそれが事実であったとしても、事故対応全体の数から見ると極めて少ない例であることを前提に参考にしたほうがいいでしょう。
ネットの口コミサイトはどうでしょうか? 保険会社の対応が悪いという内容を強い表現で書いた口コミもあり、そうした口コミは1つであっても保険会社に対する印象を大きく左右してしまうことでしょう。読んだ人が心配になるのも理解できます。
しかし、そうした口コミは特定の保険会社だけにあるわけではなく、どの保険会社でも一定数あります。そもそも、1社あたりの口コミ数は数十程度であることが多く、その中の何割かはその保険会社を低評価とするものであることが多いように感じます。まず事故対応全体の数から見ると、極めて少ない数の情報であることを意識しておく必要があり、自分が興味を持っているダイレクト自動車保険の口コミを見て事故対応が悪いという口コミがあっても驚かず、他の保険会社の口コミも読んで、その口コミサイト全体の傾向から判断するようにしてください。
第三者機関による事故対応満足度調査も参考に
それでは保険会社の事故対応について、他にどのような情報を参考にするといいのでしょうか? 一般の人も気軽に見ることができるものに、第三者機関による事故対応満足度調査があります。顧客満足に関する調査・コンサルティングを自ら企画して実施している専門機関があり、その中には、契約先の保険会社に事故連絡を行った人を対象に自動車保険の事故対応満足度調査を行っている機関もあるのです。一口に事故対応の満足度といっても、その要素は事故受付、初期対応の体制、事故対応担当者、ロードサービス、保険金の支払いなど様々な内容があり、人によって重視する要素が異なることによる満足度のバラつきも考えられます。こうした第三者機関による調査は、要素を整理し総合的な満足度に対する影響度から要素の加重を変えるなどバラつきを抑える方法がとられており、調査対象者数も多いことから、その調査結果は比較的信頼度が高いといえそうです。調査結果の抜粋は専門機関のホームページで見れることが多いので参考にするといいでしょう。
■調査結果の例
(株)J.D. パワー アジア・パシフィック 「2016年日本自動車保険事故対応満足度調査」の結果発表プレスリリース(2016年7月21日)
次のページでは、各保険会社の初期対応の違いを紹介していきましょう。