成約件数は、4%ダウン 価格は、11.2%上昇
公益財団法人東日本不動産流通機構(以下東日本レインズ)発表の2017年4月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比4%マイナスの3,163件。地域別では、千葉県が+8.8%と大きく伸びたのに対し、神奈川県他が-17.9%、横浜・川崎市-4.2%、埼玉県-11.9%、多摩-7.7%、東京都区部-1.5%。堅調だった東京都区部も13カ月ぶりに前年同月比を下回りました。マーケット動向に変化の兆しがあるのかほかの数値も見ていきましょう。まず首都圏全体の成約平均価格は、前年同月比11.2%上昇の3,245万円。成約平米単価は、前年同月比8.4%上昇の50.40万円。数値を大きく伸ばしています。地域別に見ると、前年同月比で成約平米単価がマイナスなのは、-1.6%の千葉県のみで11.2%上昇の横浜市・川崎市、8.5%上昇の神奈川県他、8.2%上昇の東京都区部など価格トレンドは上昇しています。東京都区部や横浜市・川崎市の成約件数ダウンは、価格上昇も一因であると推察されます。
在庫動向は、前年同月比+3.2%の42,423件。価格上昇による新規登録件数の増加などによってここ数年増え続けていましたが、2017年1月度の43,631をピークに徐々に減ってきています。新規登録件数が、2017年に入ってから1月、2月、4月と前年同月比マイナスで、新しく売り出される中古マンションがやや減ってきていることも要因です。とは言え、2年前の2015年4月度の首都圏の在庫件数は、33,363件ですから依然として在庫が多いのは事実です。こうした市況下では、適正価格から大きく乖離した売り出し価格の販売は、条件の良い住戸でないと難しいのが実情です。早期の売却を考える方は、その点をよく考慮しましょう。
成約平米単価と在庫の平米単価の乖離は、12.1% 1年前よりは縮小傾向
買い手の立場で考えると、売り出し価格が適正価格かどうかは、悩むところですが、こちらも1年前に比べると縮小しています。2017年4月度の成約平米単価が50.40万円に対し、在庫平米単価は、57.36万円で乖離は12.1%(在庫と成約の物件特性に差があるのであくまでも参考値とお考え下さい)。2016年4月度の成約平米単価は、46.50万円に対し当時の在庫平米単価は、55.58万円で乖離が16.3%。1割以上乖離している点では購入側は注意が必要ですが、先高観が強かった1年前に比べ、売り手の意識もやや堅実になってきているのかも知れません。価格を度外視して、気に入った部屋を買いたいのであれば、売り出し価格をベースに検討できますが、ある程度適正価格を知った上で購入進めたい場合は、仲介会社の担当者に成約事例をベースにした適正相場の意見を聞くことをおすすめします。戸数規模の多いマンションであれば、相当数の成約事例があります。時系列で見ることによって、今の相場の目線が見えてきます。新築同様に中古マンション価格は上昇しているので、千葉県の成約件数が伸びていたように価格の安いマンションは、比較的動きが良いです。一方で、ある程度の年収層でなければ手の届きにくい6,000万円~7,000万円以上の価格帯は、どのマンションかだけでなく眺望や日当たりなど住戸の個別条件で売れ行きに差が出ています。
不動産経済研究所発表の(首都圏のマンション市場動向 2017年4月度)によれば、2017年4月度の新築マンションの発売戸数は、前年同月比38.6%増加の2,741戸。1戸当たりの価格は、前年同月比2.9%アップの5,918万円、1平米あたりの単価も3.6%上昇しています。供給戸数は、3カ月連続で前年比より増えており、供給戸数の増加が見込まれる東京湾岸エリアや大規模マンションの供給が相次ぐ東京都下などの中古マンションは、影響を受けそうです。2017年4月度の新築マンションの契約率は、66.3%と好不調が判然としない売れ行きですが、中古・新築に限らずこういうタイミングだからこその出会いやチャンスはあると思います。良いマンションを見つけるためには、中古マンションや新築マンションの物件情報を確認しつつ自分なりの相場観を持つことが大切なのではないでしょうか。