害虫・害獣駆除/ゴキブリ駆除の仕方

よく耳にする噂を検証! ゴキブリ退治・生態15の真相

身近ではあるものの、その生態についてはホントかウソかわからない噂も多いゴキブリ。そこで、数あるゴキブリ都市伝説の真偽について、害虫駆除用殺虫剤メーカー大手のアース製薬さまに聞きました。一気に15個、スパッと斬ります。読んでビックリ、でもスッキリ、かなり驚きの回答ばっかりなハズ。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

ゴキブリにまつわる噂の真相をプロに聞いた!

気候が温暖になるにつれ私たちの前に姿を現し出す、あの赤黒くてテカテカした薄平べったい昆虫……ゴキブリ! まあまあ身近な虫ですが、ホントかウソかわからない噂も多い、ちょっと謎めいた存在。

今回は数あるゴキブリ都市伝説の真偽について、ゴキブリ退治・生態研究のプロの力を借りてスパッと斬ってみました。お答えいただいたのは、家庭の害虫駆除用殺虫剤メーカー大手のアース製薬さま。日々ゴキブリを始めとした害虫の研究を行なっている同社研究員の方に、さまざまな疑問をぶつけてみました。

読んでビックリ、でもスッキリ、かなり驚きの回答ばっかりなハズ! 一気に15個、いささか嫌な感じにボリューミーかもしれませんが、どうぞご覧ください。
知らなかった……ビックリ……

えええ、知らなかった……ビックリ……となること間違いなし!


【INDEX】
噂その1:“ミントの香り”がゴキブリ退治に効くって本当?
噂その2:洗剤や消毒用エタノールでゴキブリを殺せる?
噂その3:「ゴキブリは1匹見たら、30匹いると思え」は本当?
噂その4:「隣家から我が家にゴキブリが逃げてきた」って、ありえる?
噂その5:真冬に窓を開けっ放しにすれば“ゴキブリの卵ごと死ぬ”って本当?
噂その6:“超音波”でゴキブリ駆除できるの?
噂その7:“ホウ酸ダンゴ”って本当に効くの?
噂その8:“アシダカグモ”を放てばゴキブリ退治してくれるの?
噂その9:電子レンジや冷蔵庫がゴキブリの巣になりやすいって本当?
噂その10:ゴキブリが家のベランダから入ってくるってありえる?
噂その11:“ゴキブリの警報フェロモン”を使った駆除方法って本当に役立つの?
噂その12:殺虫剤が効かない“耐性ゴキブリ”は本当にいるの?
噂その13:ゴキブリは死んだふりをするって本当?
噂その14:ゴキブリは水だけで1ヶ月生きられる?
噂その15:1年前に買った使いかけの殺虫スプレー、いまもまだ効く?


噂その1:“ミントの香り”がゴキブリ退治に効くって本当?

【真偽】◯ 本当

ミント(ハッカ)の香りそのものにゴキブリ駆除効果があるわけではないのですが、「ハッカやミントの香りには、古くからゴキブリを寄せ付けない(忌避)効果があることが認められています」とのこと。

天然ハッカ油と冷却ガスを組み合わせた駆除剤も市販されていますが、これはゴキブリを殺虫でき、しっかりした効果があります(防除用医薬部外品)。
ゴキブリはミントがキライ!

ゴキブリはミントがキライ!



噂その2:洗剤や消毒用エタノールでゴキブリを殺せる?

【真偽】◯ 殺せる

「ゴキブリに洗剤をかけたり、洗剤液にゴキブリを落とすと死にます」とのこと。消毒用エタノールをかけても同様ですが、それは“洗剤”や“消毒用エタノール”に毒性があるためではありません。

ゴキブリの体には、呼吸をするための通気孔(気門)や管があります。洗剤は界面活性作用により、消毒用エタノールは水に比べて強い浸透力があることによって、通気孔や管に液体が詰まり、呼吸ができなくなり窒息死するのです。


噂その3:「ゴキブリは1匹見たら、30匹いると思え」は本当?

【真偽】◯ 本当

アース製薬さんの説明によれば「まず、ゴキブリは集合フェロモンによって、集団で潜伏する性質があります。また、ひとつの卵からたくさんの幼虫が孵化します。ふだんは人目につきにくいところに潜んでいることを考えると、たまたま見た1匹が、その家に棲むほんの一部である可能性は高いです」とのこと。

ちなみに、ひとつの卵鞘にクロゴキブリなら22~26個、チャバネゴキブリなら30~40個の卵が入っており、一気に20~40匹もの幼虫が孵化するそうです。


噂その4:「近所のゴミ屋敷が解体されたら、わが家にゴキブリが出るようになった」「隣の部屋でくん煙(くん蒸)剤を焚いたせいで、我が家にゴキブリが逃げてきた」って、ありえる?

【真偽】◯ ありえる

文献によれば、ゴキブリが排水管などを通って集合住宅内を移動していたり、1日9メートル移動した、1週間で25メートル移動した、移動可能なら同じ建物内の2~4室をまたにかけて活動していた、などの活動報告がされているそうです。

ゴキブリはその体の形状からも、さまざまな場所への移動や侵入が容易な生き物ですから、我が家がゴキブリに好かれる、侵入したい家にならないような対策が必要でしょう。
隣家から我が家へ……移動してくることもあり得るのです

隣家から我が家へ……移動してくることもあり得るのです



噂その5:真冬に窓を開けっ放しにすれば“ゴキブリの卵ごと死ぬ”って本当?

【真偽】X まず無理

「一般家庭でよく見られるクロゴキブリは“半屋外性”で、野外でも活動している昆虫であり、卵鞘も低温に耐える(5.5度で80日間)ことができます。仮に気温が氷点下であれば卵の死滅も可能かもしれませんが、一定期間その低温を維持する必要があります」とのことなので、まず無理と考えていいでしょう。

人の住んでいる屋内の冷蔵庫の下部など、機械の放射熱で暖まれる箇所がある限り、そこに産まれた卵は生き延びてしまいます。ですので、窓を開けっ放しにする駆除法というのは、あまり現実的ではありません。


噂その6:“超音波”でゴキブリ駆除できるの?

【真偽】X 効果はありません

ときおり、超音波によるゴキブリ退治を謳った商品を目にしますが、アース製薬さんの回答によれば……

「国内、国外を問わず、人間の可聴範囲を超えた音域の超音波を室内に継続的または断続的に発射しておくことで、昆虫・ダニが逃げ出したり吸血昆虫に刺されないと称する商品が、有効であると判定したデータはありません」とのこと。


噂その7:“ホウ酸ダンゴ”って本当に効くの?

【真偽】○ 効きます(ただし、速効性はない)

速効性はありませんが、「しっかりとした効果があります」という回答。説明によれば、ホウ酸ダンゴを食べたゴキブリは、まず腸管内壁膜細胞が侵され、水以外を摂れなくなります。さらに、腸内細菌が死滅することで消化吸収機能が低下し、脱水症状を起こして最終的には“乾燥死”します。

ちなみに、こうしたゴキブリの死骸は、あまり人目につくことはありません。水を求めて下水などに降り、そこで死ぬからだと言われています。


噂その8:“アシダカグモ”を放てばゴキブリ退治してくれるの?

【真偽】△ 捕食はするが、アシダカグモのほうが気持ち悪いかも

アシダカグモが、ゴキブリを捕食するのは本当。ただ、ゴキブリが増殖するのをどれくらい抑制するのか、役立っているのかは、まだはっきり分かっていません。

また、アシダカグモの動きはとても俊敏、かつ体長20~30mmで、脚を広げると60~80mmもある大型のクモですから、多くの人はゴキブリより気味悪がることのほうが多いと思われます」というのがアース製薬さんの見解

駆除のために家に放っていいものか、しっかり考えてから行動しましょう。


噂その9:電子レンジや冷蔵庫がゴキブリの巣になりやすいって本当?

【真偽】◯ 本当

「ゴキブリは寒い季節になると、家電製品、OA機器などの放熱に暖を求めて潜伏することが知られています」という、何ともゾゾッとする回答。

ゴキブリを放し飼いにする実験でも、冷蔵庫などの熱源に集まることが確認されているそうです。とくに電子レンジや冷蔵庫といった、狭くて暗くて温暖でエサのある環境は、格好のゴキブリの巣になると考えられるのです。
キッチンにはゴキブリの好む環境がいっぱい……

キッチンにはゴキブリの好む環境がいっぱい……



噂その10:ゴキブリが家のベランダから入ってくるってありえる?

【真偽】◯ ありえる

ゴキブリが家に入ってくるルートは多種多様。ベランダをはじめ、玄関ドアや網戸の隙間、換気口、排水溝、排水パイプその他から侵入してきます。

ベランダにはエアコンの室外機やプランター、植木鉢などがある家が多いと思いますが、そういったところにも生息していて、より良い環境を求めて家の中に入ってきます。つまり、家の中のみならず、ベランダにもゴキブリ駆除対策を施す必要があるのです。


噂その11:“ゴキブリの警報フェロモン”を使った駆除方法って本当に役立つの?

【真偽】× 有効ではない

警報フェロモンとは、社会性昆虫やアブラムシのように集団で生活する昆虫において知られている生理活性物質。外敵の接近など、危険が迫っていることを仲間に知らせる効果があるとされています。

そして、それを使った駆除方法というのが、生きたゴキブリを逃げられない状態にして、その周囲をバンバン叩くことで警報フェロモンを発生させ、周囲のゴキブリが撤退することを期待する――というもの。

一見、とても科学的な説に思えますが、回答は「有効ではない」でした。というのも、ゴキブリは、飼育しているとき共食いすることもあるし、ゴキブリホイホイのような粘着シートに仲間の死骸が残っていても、次々に捕獲することができてしまうのです。つまり、仲間の死骸が忌避剤として奏功していないことから、“警報フェロモン”を使った駆除方法は有効でないと考えられるのです。


噂その12:殺虫剤が効かない“耐性ゴキブリ”は本当にいるの?

【真偽】◯ 本当にいる(殺虫剤が効かないわけではない)

「正確には、殺虫剤が効かないのではなく、効きづらいという表現が正しくなります」とのことです。

飲食店やホテルのような場所によく見られるチャバネゴキブリは世代交代が早いため、殺虫剤の使用が頻繁になる環境ほど“抵抗性”をもった個体群が選抜されやすいのです。

ちなみに、これは人間の風邪に対する免疫のようなイメージで発達するものではないため、薬剤に慣れて徐々に強くなっていくというわけではありません。


噂その13:ゴキブリは死んだふりをするって本当?

【真偽】◯ 本当

正しくは、一部のゴキブリに限り死んだふりをしている、というよりは「刺激を受ける→全身の筋肉の緊張状態が反射的に変化→動きを瞬時に止める」といったメカニズムの生まれ持った性質。そのおかげで天敵から逃れることもできるそうです。


噂その14:ゴキブリは水だけで1ヶ月生きられる?

【真偽】◯ 本当

「ゴキブリは雑食性で、人間の毛髪も食べるし、自分の糞や仲間の死骸も食べることができます。反面、飢餓にも大変強いのです」とのこと。

ワモンゴキブリの場合は、飲まず食わずでも1ヶ月は生存し、水を与えてやるとメスの場合は3ヶ月でも生きるんだとか。

ちなみに絶食に強い理由は、「ゴキブリ腹部にある脂肪体の栄養物質をエネルギー源にしているから」とのことです。
水だけで、3ヵ月生きる可能性も!

水だけで、3ヵ月生きる可能性も!



噂その15:1年前に買った使いかけの殺虫スプレー、いまもまだ効く?

【真偽】◯ 効きます

いわゆるエアゾールタイプの殺虫剤は「製造後、少なくとも3年間は品質の保証がされています」と、かなり長く使えるようです。もちろん使用開始後、時間が経過することで効果がだんだん弱まることはありますが、1年2年なら心配しなくても良いでしょう。


取材協力:アース製薬株式会社
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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