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急増するコピーのED治療薬にご用心!

相次いで登場するED治療薬の不正品の中で最近、勢いづいているのがインド製のコピー品。厚生労働省に承認された正規品でも偽造品でもない第三のグループといえる存在です。格安を宣伝文句にして大量に売りさばく動きも見られます。その何が問題で、なぜ手を出してはいけないのかを考えてみましょう。

提供:東和薬品

執筆者:All About 編集部

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2016年末、製薬会社のプレスセミナーで「オンライン薬局が販売する商品の97%が不正品である」という驚くべき調査結果が報告されました。その中には、ED(勃起不全)治療薬も含まれています。このため、ED治療薬を扱う製薬会社やそれらを処方する病院、クリニックなどは劣悪な製造環境で作られる偽造品の撲滅に力を入れています。ところが最近、本来の正規品や偽造品とは似て非なる「コピー品」とも呼ぶべき海外製のED治療薬が急増し、安価に売りさばかれています。しかし、コピー品はあくまでもコピーであり、厚生労働省の承認を得ているわけではありません。健康上の不利益を被る場合もあるので、安易に手を出さないようにしましょう。
 

限りなく違法に近い、海外製のコピー品

インドで認められているコピー治療薬は日本では限りなく違法に近いグレーゾーンの存在

インドで認められているコピー治療薬は日本では限りなく違法に近いグレーゾーンの存在

コピー品のほとんどは主にインドで製造されています。なぜ、インドなのか。そのカギは特許にあります。医薬品には「製法特許」と「物質特許」が存在します。簡単にいえば、製法特許は作り方、物質特許は成分に関するものです。

日本をはじめ、大半の国々の製薬会社はこれら2つの特許に守られて医薬品を製造します。ところが、インドは2005年まで物質特許を認めていませんでした。ですから、同じ成分の薬剤であっても、製法を変えれば別の薬として堂々と名乗ることができたのです。

しかし、さすがにそれはまずいだろうという国際的な世論の高まりを受け、2005年に物質特許を認める法改正が行われました。その一方で「2005年以前に発売している医薬品については合法」という、一種の抜け道が用意されました。

つまり「成分的には正規品と同等だが、製法が違うので正規品とはいえない代物」がインドでは認められているわけです。コピーのED治療薬がインドで大量に製造されているのには、そんな事情があるのです。その意味で、コピー品はインド国内で違法ではないものの、日本に持ち込まれれば、限りなく違法に近いグレーゾーンの存在といえるでしょう。これらの薬は厚労省の承認を得ていない国内未承認薬です。
 

コピー品には適用されない救済制度

海外製のコピー品の問題点は大きく3つあります。第一に、流通経路が不明朗であることです。つまり、たとえインドの製薬会社が製造したとしても、流通過程ですり替えられている可能性があります。

第二に、正規の成分分析がなされたかどうか分からないので、効果の有無がまったく分からないことです。第三に、万が一不具合が生じても問い合わせ先がないことです。特に重要なのは第三の不具合に関する対応です。

例えば、医薬品を正しく使ったにもかかわらず、その副作用で入院治療が必要になるほど重い健康被害が生じた場合、医療費や年金などを給付する「医薬品副作用被害救済制度」という公的な仕組みが日本にはあります。

この制度は厚労省が認可している医薬品については適用されますが、個人輸入で入手した海外製ED治療薬のようなコピー品には適用されません。最近では海外製のED治療薬を扱うクリニックが出てきていますが、当然のことながら、この制度は適用外です。

一般的に、健康被害が生じたときは処方した医師の責任になります。しかし、中には処方前に「副作用などが起こった場合、医師やクリニックは一切責任を負わない」といった書面に署名をさせる悪質な例もあるようです。
 

ありえない、格安処方クリニックのおまけ

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海外製のED治療薬を扱うクリニックが増えている背景には、それを個人輸入し、大量に卸している代理店や輸入業者などの存在があります。需要と供給の関係がある意味で成り立っているようです。

その点、筆者のクリニックは厚労省から承認された国内メーカーの正規薬を国内の医薬品問屋から仕入れています。製薬元不明の輸入品は一切扱っていません。しかし、一部の格安処方クリニックでは原価の安い輸入品を「製薬メーカー正規品」と称して処方しています。

格安処方クリニックの中には大胆なビジネスを展開する動きがあります。例えば「10錠注文したら2錠おまけ」といった謳い文句で患者獲得に力を入れているところもあります。セカンドオピニオン外来と称して他院の診察券を提示すれば1錠つけるなど、ありえないサービスも行われているようです。

こうしたことができるのは、ひとえに原価の安い輸入品を仕入れているからです。しかし、安さだけを追求したビジネスは綻びます。その綻びがクリニックだけなら自業自得ですが、患者さんに及ぶのは避けなければなりません。
 

安心できるクリニックを選ぶコツとは

では、安心して利用できるクリニックを選ぶにはどうすればよいのでしょうか。目安の一つは正規品を製造販売している各製薬会社のホームページで紹介されているかどうかです。これはかなり信頼度の高い方法です。

薬がどのような状態で渡されるかも拠り所になります。例えば、筆者のクリニックは必ず日本語の記されているシートに入った状態で処方します。しかし、輸入品は国内正規医薬品ではないので、日本語の表記のあるシートはボトルに入っていません。それどころか、悪質な業者はビニール袋に小分けして渡します。支払い前ならキャンセルすべきです。

「製薬会社との機密保持のため、メーカーや薬剤名などの問い合わせには応じられない」という業者もあります。このような言い分は論外です。患者さんにとってED治療薬を安く入手できるのはありがたいことかもしれませんが、それが結果的に「安物買いの健康失い」とならないよう、くれぐれも気を付けましょう。

>>君子、危ういED治療薬に近寄らず
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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