気になる脇汗の正体は、緊張して出てくる汗!?
「ワキの汗ジミが気になる」「蒸れるとすぐに脇汗が臭ってきてドキッとする」……気温が上がることで、脇汗の悩みが増えていきます。
「脇汗で悩んでいる人のうち7~8割の人たちは、精神性発汗による汗での悩みになります」と、体臭・多汗の専門家である五味常明先生。
精神性発汗とは、緊張を感じることで発汗中枢が働き、汗をかくことをいいます。たとえば、「人前で話すから緊張する」「試験が始まるかと思うとドキドキする」といったときにドッと出てくる汗は、精神性発汗によるものです。おもにエクリン腺からの発汗で、ワキ、手のひら、足の裏、額など、部分的にかき、ニオイが強くなるのが特徴です。
体温調節の汗や食事中の汗は通常あまりにおわない!?
におう汗とにおわない汗の違いは?
さらに、辛いものを食べたときに出る汗は、味覚性発汗によるもので、こちらも通常、ニオイは強くなりません。
ニオイが強い、というとワキガがありますが、ワキガの汗はアポクリン腺から発汗し、何種類かの脂質、中性脂肪、脂肪酸、コレステロール、鉄分、蛍光物質、色素などが多く含まれています。
ワキガについては医師に相談するのが一番ですが、精神性発汗が伴うことが多く、それにより、より一層ニオイが強くなります。
制汗剤を使うことで「汗が止まる」とワキへの自信が出てくる
ではなぜ、精神性発汗で悩んでいる人が多いかというと、それは、「緊張する」→「汗をかく」→「また汗をかくのではないかと不安になる」→「また汗をかく」→「汗ジミが見られているのではないかと不安になる」→「もっと汗をかく」というような悪循環に陥り、いつまでも解消されず、悩みが深くなっていくためです。
「止めよう、止めようとするとますます汗は出ます。この悪循環から抜け出すには、意識が汗に向かわないようにすることが大切です。そのためには、汗が止まった、汗はかくけれど乾く、といった実体験をもつことです」と五味先生はアドバイスをしてくれます。
制汗剤と汗腺トレーニングで汗に勝つ!
制汗剤と汗腺トレーニングで汗に勝つ!
制汗剤を使うことで、一時的でも「汗が止まった」「ニオイが減った」と実感できます。そして、しばらく使い続け、その体験を継続させることで「汗をかいても大丈夫」という自信がついてきます。汗を気にしない習慣へ近づくことができるのです。
ワキの汗とニオイが気になるときは、制汗剤は汗を抑える効果と、抗菌効果のあるタイプを選びましょう。ニオイは、汗だけでなく、古い皮脂や角質が雑菌により分解されて発生するからです。
いつでも汗を気にせずいられることが大切なので、効果が持続するタイプや、手軽に塗り直しができるタイプなど、自分の生活の中で取り入れやすいものを選びましょう。使うときは、濡れたタオルで汗をよく拭いてから使いましょう。
汗腺を鍛えると汗が変わる!汗をかいてもすぐに乾く!
もうひとつ、汗腺を鍛えると、汗をかく機能がよくなり、肌の上ですぐに乾く、サラサラの汗をかくようになり、「汗はかくけれどすぐに乾く」といった実感がもてるようになります。しかも、この汗はすぐに乾くため、ニオイの原因になりにくいのが特徴です。
汗の原料は血液なので、かいた汗は血液に再吸収されます。つまり、ろ過されます。汗腺機能がよいと再吸収力がよいため、かく汗はサラサラとしています。
しかし、汗腺機能が悪いと再吸収力が落ち、血液の成分(ミネラル、アンモニア、乳酸など)が汗とともに出てしまうことになり、ベタベタとした汗をかくことになります。このような濃度の濃い汗は蒸発しにくいため、気化熱により体温を下げることがなかなかできず、ダラダラと汗をかき続けることになります。つまり、汗腺機能が悪いと、臭う汗をかき続けることになるのです。
汗腺を鍛えるのは、つまり「汗をかく」ことです。以下のことを取り入れてみましょう。
- シャワーではなくバスタブに浸かる
- 冷房が効いた部屋に長くいるときは、約3時間ごとに熱めのお湯やお茶を飲む。
- 有酸素運動を取り入れる。ウォーキング、水泳、サイクリングなど。
汗が気になる季節を前に、このような汗対策をすることで、脇汗を、人目を気にせず生活できような自信をぜひつけてください。
記事監修/五味常明(ごみ つねあき)
五味クリニック院長 日本心療外科研究会代表 体臭・多感研究所所長。医学博士。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践している。
http://www.gomiclinic.com
取材協力/シービック http://cbic.co.jp