まずはここから!美荷樓生活館で香港の暮らしを垣間見る
どこか懐かしい街並みが魅力のシャムシュイポー
深水●(シャムシュイポー ※●は土偏に「歩」)エリアは、東は大埔道(タイポードウ)、西は●枝角道(ライチコックドウ ※●は草冠に「力」3つ)、中央を長沙灣道(チョンサワンドウ)の3つの大きな道が通っていて、各通りの間を個性豊かな小道が碁盤の目のように並んでいます。まずは大埔道の見どころからご案内します。
街のシンボル嘉頓(Garden)本社の時計台
大通りでひときわ目を引くのは香港大手製パン会社「嘉頓(Garden)」本社ビルの時計台。地元の人曰く「創業当時から5分遅れている」とのこと。深水?はかつて船着場で、この時計をあてにして船に乗り遅れる人もいたのだとか。日本なら企業の威信にかけて直すのが当然ですが、地元の人も容認し「遅れているのがここの時計台」と思っているのが、どこかゆるい空気を漂わせるこの街らしさともいえます。
美荷樓生活館では50年代当時の団地生活の様子がうかがえます
嘉頓を左に通りを渡った坂道にあるのは、美荷樓(メイフーハウス)。50 年代の公団住宅「美荷樓」をリノベートし、ユースホステルをメインに、カフェや展示館を併設した施設。古き良き香港の生活を感じられる話題のスポットです。中でも展示館「美荷樓生活館」では、当時の団地での生活を伝える写真などを展示。宿泊客でなくても無料で入れます。そのほかにも、建物の裏には中庭を挟んでカフェや雑貨屋があり、オールド香港をデザインに取り込んだ内装や商品が人気を呼んでいます。
リノベーションされた美荷樓はこのエリアの新たな観光スポット
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美荷樓生活館
住所:Block 41, Shek Kip Mei Estate, 70 Berwick Street, Sham Shui Po, Kowloon
TEL:3728 3544
アクセス:MTR深水●(シャムシュイポー※●は土偏に「歩」)駅より徒歩約6分
営業:9:30 ~ 17:00
定休日:月曜
入館料:無料
ガタクタ市巡りを楽しむ桂林街
掘り出し物を探すのが楽しい桂林街のガラクタ市
昼間から競馬に夢中のおじさんたち。このエリアならではの光景です
東西を走る桂林街(クヮイラムガイ)では、歩くほどにさまざまな光景に遭遇できます。長沙灣道を中心に大埔道までの東側は電気街となっていて通称“香港の秋葉原”。その隣にはジョッキークラブの場外勝馬投票券発売所があり、日中からおじさんたちが鉛筆を舐めながらどの馬に賭けようか没頭している姿が見られます。
日々商品が替わる実演販売はいつも人山の黒だかり
長沙灣道を渡ると次に目に入るのは街角の実演販売。掃除道具だったり調理器具だったりアイデア満載の商品を早口の広東語にパフォーマンスをつけて宣伝する様子は言葉が分からなくても思わず見入ってしまいます。
さらに西へ歩みを進めると今度は骨董市。骨董市といえば中環(セントラル)の
キャットストリートが有名ですが、おみやげ要素の強いキャットストリートとは異なり、ここのはどちらかというとガラクタ市。8割方買うのを躊躇しそうな年季の入った日用品やら本やらが積まれていて、ごく稀に掘り出し物の雑貨が見つかるイメージです。まさに宝物探し気分が楽しめる通りと言えます。
ふわふわな卵がたまらない「馳名蛋牛治」(HK$19)
庶民的な雰囲気が魅力のこの通りでは、庶民的なグルメを。もう一つの注目の通り・基隆街(ゲイロンガイ)との交差点の手前にある「新香園」は卵サンド「馳名蛋牛治」が有名で、いつも行列ができています。牛ひき肉をたっぷり入れたふわふわの卵を焼きたてのトーストで挟んだサンドイッチは素朴なおいしさで小腹を満たすのにちょうどいいサイズです。
いつも行列ができる「新香園」
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■新香園
住所:G/F, 38 Kweilin Street, Sham Shui Po, Kowloon
TEL:2386 2748
アクセス:MTR深水●(シャムシュイポー)駅より徒歩約3分
営業:24 時間
定休日:無休
※●は「土」偏に「歩」
※HK$1=14.17円(2017年5月11日現在)
まるで縁日のような賑わいの鴨寮街
毎日が縁日のような賑わいの鴨寮街(アプリウガイ)
このインベーダーのインスタレーションが通りの目印
桂林街を西へ進む途中、インベーダーのインスタレーションを見かけたらそこが、鴨寮街(アプリウガイ)。ここはきっとシャムシュイポーで最も人口密度の高い通り。そしてその人混みは男性が多くを占めています。なぜならこの通りの露店で売られているのは電機製品や工具、バッテリーなどが多いから。一方でスマホケースや子供向けのおもちゃなどを扱う露天もあるので、観光客でも楽しめます。
隠れ家ギャラリーd3の目印は1階の内側にかかったこの看板のみ
一見するだけでは分かりませんが、この通りにはとてもひっそりとした場所にクリエイティブなギャラリー
d3(daydreamers design)があります。桂林街との交差点をインベーダーのインスタレーションがある方向に曲がり20メートルほどの何の変哲もない建物の入口から入り、呼び鈴を押すとスタッフが迎えに来てくれる仕組み。
コンパクトなギャラリーの中は溢れんばかりの香港愛
若きクリエイターで香港愛が強いスタンレー・シウさんが提案するこのギャラリーでは月替わりで“香港”をテーマに様々な作家による展示がされています。シャムシュイポーエリアは低所得者層が集まる問屋街ですが、ここ数年で香港人アイデンティティをアートで表現しようとする若者が増えていて、どこか懐かしい香港の景色の中に吹き始めた新しい風を感じるのも街歩きの楽しみの一つです。
d3の入口は桂林街との交差点から20メートルほどの距離
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■d3(daydreamers design)
住所:Rm 1/F, 220 Apliu St, Sham Shui Po, Kowloon
TEL:6431 7855
アクセス:MTR深水●(シャムシュイポー)駅より徒歩約1分
営業:10:00 ~ 22:00
定休日:無休
※●は「土」偏に「歩」
シャムシュイポーといえばココ!基隆街の布市場
布問屋が密集する基隆街
手芸品を販売するショップでは香港ならではの小物が見つかりそう
シャムシュイポーは問屋街と言いましたが、それがひと目で分かるのが基隆街(ゲイロンガイ)と大南街(ダーイナムガイ)です。基隆街にはありとあらゆる布が山積みにされたお店が並び、周辺にはボタンやビーズ、リボンなど手芸用品を扱う店が点在しています。お店によっては布の販売だけでなくカーテンやクッションカバー、日傘などのオーダーメイドも可能なので、リーズナブルに模様替えをしたい香港の人たちが足を運んでいます。日本ではお高めなチャイナボタンなどのボタンや、ユニークなワッペンなどはおみやげにもぴったりです。
DIY好きな若者が集まるレザーストリート・大南街
おしゃれなレザーショップが集まる大南街
基隆街と平行して走る大南街は、シャムシュイポーで今一番進化を遂げている通り。ここの特徴はレザーを扱うお店が多いところ。香港ではレザーを使った手作り小物が人気で、DIYに挑む人も少なくありません。DIY好きは若い人が多いのか、お店はお洒落で今風。客層はエッジの効いた個性的なファッションを好む人が多い印象です。
物づくりの楽しさを提案するカフェ&ギャラリー「common room & co.」
クリエイティブな香りが漂うこの通りには、シャムシュイポーとは思えない洗練されたカフェがあります。common room & co.はカフェであり、本屋であり、ワークスペースであり、ギャラリーでもあるユニークなショップ。1階ではカフェを飲みながら本を読んだりノートパソコンとにらめっこしながら仕事をしている人が大きなテーブルを囲み、その後ろには金槌やペンチ、絵の具や3Dプリンター、活版などがあり、様々なものが作れるようになっています。2階はギャラリースペースで、シーズンごとの展示が注目されています。
昔ながらの香港の下町風景を大切にしながら、変化を遂げている最中にあるシャムシュイポーは、驚きと発見に満ちたエリア。ぜひ立ち寄ってみてください。
ワークスペースにはあらゆるDIYアイテムが
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■common room & co.
住所:G/F, 198 Tai Nan Street, Sham Shui Po, Kowloon
TEL:2865 6880
アクセス:MTR深水●(シャムシュイポー)駅より徒歩約10分
営業:12:00~20:00
定休日:無休
※●は「土」偏に「歩」