アドバイス1 ダブルワークよりも健康管理を優先すべき
ご相談のメール、拝見いたしました。文面だけでの判断ですが、とても楽観視できないという印象です。そのもっとも大きな理由は、50代で貯蓄がほぼないに等しく、結果的にアカレンジャーさんご本人の人的資本だけが頼りだということ。仮に、ご本人が病気やケガで倒れたら、ご夫婦ともきびしい状況に追い込まれると考えられます。
したがって、アカレンジャーさんがダブルワークされることには反対です。適当な仕事がなく、まだ始めていないようですが、休日はしっかり身体を休めることを優先させてください。
収入アップを模索するとなると、まずは転職。インターネットで探しても、ハローワークに出向いて相談してもいいと思います。行動することが大切です。現在の仕事では、厚生年金に加入されているのが良かった点です。転職されるとしても、厚生年金加入は条件として加えましょう。
その関連で確認してほしいことは、国民健康保険料を支払っているということ。一般に厚生年金と健康保険はセットです。厚生年金に加入しながら国民健康保険料を支払うというのは、ほとんど聞きません。どのように社会保険に加入しているか、しっかり確認しておきましょう。
また、奥様の健康状態の詳細はわかりませんが、外で働くことはできないとのこと。であれば、例えば内職のような仕事は無理でしょうか。時給換算すれば割りの合わない仕事が多いかもしれませんが、月1万円でも現金収入があることは、今の家計に十分プラスです。また、働くことで生活により張りが出ることも、可能性としてはあるはずです。
もちろん、自宅でできる仕事であっても労働には変わりはありません。中には苦痛に感じるものもあるでしょう。そこは奥様とよく話し合った上で検討してみてください。
アドバイス2 クレジットカードの利用は今後NG
家計管理については、そもそも全体の支出が少ないのですから、無駄と呼べる部分はさほどありません。節約されていることも十分伝わってきます。しかし、少なくともすぐに資金が必要になったとき(急病など)に対応できる程度の貯蓄は、家計には不可欠です。したがって、我慢できる部分はカットしていかなくてはなりません。手がつけられるのは通信費となります。固定電話は、携帯があればさして必要ないのでは。携帯料金にしても、もしスマホでネットも見るのであれば、パソコンのインターネット環境は不要のはず。スマホもしくは携帯の料金プランも再度見直し、通話のうち簡単な要件程度なら無料のショートメールで済ませる。いろいろと工夫をして、少なくとも全体で5000円くらいは下げたいところです。
また、当座の資金がないときに便利なのはわかりますが、クレジットカードの利用は原則、今後NGとしてください。リボ払いでの支払いも怖いですが、もっとも避けるべきはキャッシング、カードローンの類いです。今の家計でしてはいけないことは、固定支出をこれ以上増やさないこと。ましてや、金利が2ケタにもなる負債を背負います。クレジットとの付き合いは、今の支払いを最後にしてください。
アドバイス3 セーフティーネットとしての社会保障制度を知る
最後に、経済的に困窮しそうになったとき、その前に何らかの対応がすぐに取れるよう、福祉関連の社会保障制度をご自身なりに知っておくことが大切だと思います。市役所の福祉課や地域の福祉事務所に出向き、資料を揃える、あるいは担当者に相談するのもいいでしょう。また、奥様は障害者に認定されるかどうかも、まだ未確認ならしておくべぎだと思います。仮に認定されれば、いろいろと経済的支援やサポートが受けられます。
アカレンジャーさんからすれば、生活まで行政に頼るのは不本意かもしれません。できれば、ご自身の収入だけで生活を支えたい気持ちもあるはずです。しかし、何かあったとき、ただ途方に暮れるのでは、何も解決しません。とくに、経済的な困窮で心まで折れてしまうのが大変怖いと、私は感じています。
今すぐに頼るのではなく、あくまで将来のセーフティーネットとして、ここまではできないがこういうサポートなら受けられる。それを知っているだけでもいざというとき慌てないで済むはずです。
目指すべきはご夫婦とも健康第一で、収入が少なくとも70歳までは働く。少しずつでも貯蓄が増えれば、気持ちにも余裕が生まれます。無理せず、焦らず、自分のペースで頑張ってください。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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