おいしい機内食選びのポイント
ルフトハンザが上級スクラスで提供する和食メニューの一例 ©Lufthansa |
「ビーフ・オア・フィッシュ?」
エプロンをつけ、乗客一人ひとりに訊ねて回る客室乗務員たち。ビジネスクラスではそこに和食コースやパスタ、エアラインによっては中華などのメニューが加わります。どのメニューを選ぶと食事がより楽しくなるか──その明確な基準は、残念ながらありません。一人ひとりの好みの問題だからです。
ただ、ひとつ言えるのは、利用したエアラインの母国料理メニューをチョイスしてはどうかということ。エールフランス航空ならば本場のフレンチを、チャイナエアラインでは定番の飲茶、大韓航空では韓国料理のビビンバなどです。すべてのエアラインが母国料理のメニューを用意しているわけではありませんが、最近は機内食に“お国柄”の味を持ち込んで個性を出すエアラインが増えてきました。
年配の人は和食を好むようですが、和食をチョイスするなら帰りの便よりも行きの便がいいでしょう。理由は、日本発の便の機内食は日本の工場でつくるのに対し、帰りの便の機内食は現地(外国)製造だから。帰りの便で日本ソバのメニューがあるからと喜んで注文したら、パサパサで食べられたものではなかったという話もよく聞きます。
高度1万メートルの一流レストラン
シェフ自らが機内に乗り込んでサービスに当たるオーストリア航空 ©Austrian Airlines |
そのブームの火付け役となった一人が、東京・四谷の「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフ、三國清三氏です。2001年春、三國氏は当時のスイス航空(現在のスイスインターナショナルエアラインズ)と契約し、成田発チューリッヒ行きの便のファーストクラスとビジネスクラスで自身のプロデュースによる機内食の提供をスタートしました。一方、世界各国で活躍する一流シェフを起用して機内食を開発・提供する「スターシェフ」プログラムを導入したのが、ルフトハンザです。成田/フランクフルト線と成田/ミュンヘン線では2009年7月からパークハイアット東京のシェフチームによる洋食&和食メニューの提供を開始。さらに大阪線や名古屋線のビジネスクラスではヒルトン大阪とヒルトン名古屋のシェフを同プログラムに迎え、特別メニューが楽しめるようになっています。
また、グルメな人たちにおすすめしたい1社が、成田から音楽の都ウィーンへ週6便で結んでいるオーストリア航空です。そのミースサービスのクオリティの高さと「食」に対する細やかな心づかいは、特筆しておくべきでしょう。機内食を担当する一流シェフたちが日本にも直接指導にくるほか、彼らは実際のフライトにも同乗します。これは「フライングシェフ」と呼ばれ、各便に1名ずつ乗務して機内で盛り付けや仕上げを担当。そうして高度1万メートルの上空でも、地上の有名レストランに負けない本格的なスタイルの食事を提供してくれます。
「オードブルやチーズ&デザートなどは、シェフ自らがサーブしてくれたのには感動しました」と、ファンの一人は言います。「それにオーストリア航空を利用するときは、食事のあとで10種類のコーヒーから選べるウィーン風のカフェサービスも楽しみのひとつです」
ところでみなさんは、食べたかったメニューを機内で注文しようとして、客室乗務員から「そのメニューは品切れになってしまったので別のメニューを」と言われた経験はありませんか? オーストリア航空では、そんな心配も不要。同社のWebサイトでは、写真つきのメニューを見ながら、好みのコースを選んで事前予約ができる「AIMS(エイムス)」というサービスが利用できます。
食事の合間にはカップヌードルが大人気
長距離路線では、2回の食事の合間に軽食を出してくれるエアラインが少なくありません。その中でも日本人旅行者の間でとくに人気があるのが、カップヌードルのサービスです。JALやANAをはじめ、最近はアジアや欧米のエアラインも機内にさまざまな種類のカップヌードルが用意するようになりました。乗客の誰かが食べていると、機内にラーメンの香ばしいかおりがぷーんと漂いはじめ、通路のあちこちから「僕にも!」「私にも!」と声がかかります。機内で提供されるカップヌードルは小さなサイズのものが多く、「量としても間食にちょうどいい」と利用者の間でも評判です。
ビジネスクラスでは、ギャレー脇などに「ビュッフェコーナー」を置くエアラインも多いようです。たとえばスカンジナビア航空では、フルーツや軽食、ワイン、ドリンクなどを豊富に用意。通常の食事サービス以外の時間に自由に利用することができます。乗客の一人は「いちいち客室乗務員を呼んで頼まなくても、自分で好きなときに好きなものを取ってきて食べられる手軽さがいいですね」と話していました。