年金/公的年金制度の仕組み

チェックしておきたい! あなたの「年金の状況」

これから社会人になる人や、社会に出たばかりの人にとって、老後ははるか先の話かもしれません。とはいえ、老後は必ず訪れるもの。年をとって働けなくなったとき、生活を支える柱になるのが公的年金です。いざというときに困らないよう、まずはご自身の年金がどうなっているのかを知り、あわせて今後どうしたらよいかを考えていきましょう。

綱川 揚佐

執筆者:綱川 揚佐

年金ガイド

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年金はいつから加入するの?

まず、自分が年金に加入しているのかどうかを確認しましょう。年金に初めて加入するのはいつなのでしょうか。20歳になっていない人の場合は就職して厚生年金に加入したときとなります。高卒などで働き始める人はこのパターンですね。それ以外では20歳になったときに国民年金に加入します。学生でも加入するので、注意しましょう。

年金に加入する手続きは、初めての加入が厚生年金であれば会社が手続きをしてくれます。国民年金であれば、市区町村役場に出向いて加入の手続きを取ります。

加入の手続きが済んでいれば年金手帳が手元にあるはずですので、確認してみてください。手元に年金手帳がないという場合は、特に厚生年金の場合、加入手続きを取って、そのまま会社が年金手帳を預かっているケースがありますので、会社に確認してみましょう。

どうしても年金手帳が見当たらないという場合は、市区町村役場か年金事務所で再発行の手続きを取ることもできます。在職中の人は会社経由で依頼します。加入をしていなかった場合には早急に加入手続きを取りましょう。学生さんや、勤務先が厚生年金の適用を受けない事業所(個人事業など)である場合は要注意です。

年金手帳には「基礎年金番号」が書いてあります。年金の受給の際や、年金事務所に問い合わせをする際に必要になってきます。これから一生使う大切な番号ですので、なくさないようにしましょう。なお、現在はマイナンバーと基礎年金番号が紐づけされており、問い合わせや各種手続きにはマイナンバーを利用することもできます。

ちなみに、年金手帳は2022年4月に廃止され、「基礎年金番号通知書」に置き換わる予定です。
 

自分の年金がどうなっているか知りたい! どうすればいいの?

年金がどうなっているか知るための方法は以下の3つがあります。
 
  1. ねんきん定期便
  2. ねんきんネット
  3. 年金事務所に問い合わせ

1のねんきん定期便は、毎年誕生月になると郵送されてきます。今までどの制度の年金を、何カ月掛けていて、いくら保険料を払ったのか、その保険料に基づいていくらの年金をもらえるのか、が記載してあります。また、直近1年間の年金記録も載っていますので、確認してみてください。50歳以上の人にはこのまま60歳まで加入したと仮定した年金額の見込みが記載されます。

35歳、45歳、59歳のいわゆる節目年齢には、ふだんのハガキ形式の定期便ではなく、それまでのすべての記録が記載された封書形式の定期便が送られてきますので、そのタイミングで記録の総ざらいをしておくとよいでしょう。  
 
50歳未満の人に送られる最新のねんきん定期便(表)

50歳未満の人に送られる最新のねんきん定期便(表)

 
50歳未満の人に送られる最新のねんきん定期便(裏)

50歳未満の人に送られる最新のねんきん定期便(裏)


ねんきん定期便は1年に1回しか送られてきませんが、リアルタイムで知りたい場合は2のねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/)に登録をしましょう。日本年金機構のねんきんネットのサイトから新規登録ができます。登録の方法は二通りあります。「アクセスキー」を使用する方法と使用しない方法です。

「アクセスキー」が手元にある場合は、登録の際に入力をすると、即時にIDとパスワードが発行され、ねんきんネットが使えるようになります。「アクセスキー」はねんきん定期便に記載があるほか、年金事務所でも発行してもらえます。「アクセスキー」がない場合は基礎年金番号などを登録すると、1週間程度でIDが送られてきてログインできるようになります。ログインすると、これまでの年金記録の確認や、直近のねんきん定期便の確認のほか、年金額の試算などもできます。

詳しく制度の説明を聞きたい場合には、3の最寄りの年金事務所を訪ねましょう。最新のデータを元にていねいに説明してもらえます。現在、年金事務所を訪れる際、ほとんどの人が予約をしています。予約なしで行くと長時間待たされたり、最悪その日に相談を受けてもらえない場合もありますので、必ず予約をしていきましょう。

予約は予約専用ダイヤル0570-05-4890または年金事務所の直通電話で受け付けています。また、ある程度は電話で照会することもできますが、個人情報保護の観点から必ずしもすべては答えてもらえないので注意が必要です。
 

年金をかけていく上で注意することは?

まず絶対に避けたいのは、年金の未納です。未納とは、保険料を支払わず、各種の免除や納付猶予制度も使っていない状態のことです。年金が減額されるのはもちろんのこと、最悪もらえないことになってしまいます。障害年金や遺族年金を受給したいとなった場合でも、保険料の未納は不利に取り扱われ、こちらも年金が受けられない事態が起こり得ますので、くどいようですが未納は絶対に避けましょう。

厚生年金に加入している人やその被扶養配偶者の場合はそれほど心配ないのですが、国民年金の保険料を毎月支払う第1号被保険者は特に注意が必要です。また、転職する際に、前の職場を退職して次の職場の厚生年金に加入するまで期間が空いてしまう場合など、短期間でも手続きをしないと未納扱いになってしまうことがあります。夫が転職する妻についても同じ現象が起こり得ますので、注意が必要です。

最近は手続きを促す通知が送られてくるようになったので、以前より手続き漏れは減ったとはいえ、何の通知かわからずにスルーしてしまうことも考えられますので、気を付けましょう。
 

国民年金の保険料が払えないときは?

免除や、各種の猶予制度を活用しましょう。以下のような制度が用意されています。
 
  1. 全額免除
  2. 3/4免除
  3. 半額免除
  4. 1/4免除
  5. 学生納付特例
  6. 若年者納付猶予

いずれも必ず申請が必要です。1から4の免除制度は、本人、配偶者、世帯主の所得に応じて保険料が減免される制度です。2~4の一部免除については、残り部分を払わないと未納扱いになってしまいます。免除を受けると全額納付した場合に比べて減りはしますが、年金額に反映されますので、未納の場合に比べると減額幅は圧倒的に小さくてすみます。非常にお得な制度なので、ぜひ活用しましょう。また、10年遡って免除分を納付でき、納付すれば年金は減額はされません。

学生納付特例は学生の間、若年者納付猶予は50歳未満(2016年7月以降)の人に適用される制度です。この制度は免除と異なり、年金額には反映されません。ただし、10年遡って納付することができ、納付すれば年金は減額はされません。学生納付特例は本人の所得、若年者納付猶予は本人と配偶者の所得で受けられるかどうかが判断されます。親の所得が関係しないので使いやすい制度であるといえます。

いずれの場合も未納扱いにならず、障害年金や遺族年金の受給の際に不利に取り扱われないので安心です。学生時代に学生納付特例を利用した人と未納のままとした人では、就職直後に交通事故で障害を負ってしまった場合などに大きな違いが出てきます。学生納付特例の手続きをしっかりとした人は障害年金を受給でき、手続きをしなかった人は受給できない、ということも起こり得ますので、納付できない場合はしっかりと手続きを取っておきましょう。

2017年8月から年金が10年かければもらえることになりました。今まで年金を諦めていた人が年金をもらえることになるわけですが、そんな人たちの話をうかがうと、みなさん一様に「若い頃ちゃんと関心をもって払っておけばよかった」とおっしゃいます。若いうちは「年金」というものにリアリティがなく、少しでも使えるお金が欲しい時期ですので保険料の納付が後回しになってしまいがちですが、必ず訪れる老後に備えて、しっかりと納付を行っておきたいものですね。

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