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一戸建て住宅のアスベストは大丈夫?

以前は大きく取り上げられた「アスベスト問題」ですが、最近はあまり話題にならないようです。しかし、アスベストは住宅など身近でも多く使われていたため、決して問題がなくなったわけではありません。

執筆者:平野 雅之


2000年代の前半あたりに大きな社会問題となり、マスコミでも繰り返し報じられていたアスベスト(石綿)ですが、最近ではほとんど話を聞かなくなりました。しかし、問題がすべて解決したわけではありません。

住宅においてアスベストの使用が原則禁止になったのは2004年のことであり、それ以前に建てられた住宅ではアスベストを含む建材が幅広く使われているのです。

一般の木造一戸建て住宅でも、屋根用化粧スレート、外壁の窯業系サイディング、天井や壁の石膏ボード、床のフロアシート、キッチンの耐火壁下地などにアスベストが含まれていました。

また、古いマンションの屋内駐車場や鉄骨造・鉄筋コンクリート造の住宅などではアスベストの吹き付け(1975年に原則禁止)がされ、改修されないままになっている例もあるでしょう。

アスベストが含まれていたらすぐに危険だというわけではなく、通常の使用においてアスベストが固定され、空中に浮遊しない状態なら健康被害を起こすことはない(1997年:環境庁および厚生省)とされています。

しかし、吹き付けアスベストが露出している場合や、アスベストを含むスレートボードなどの建材が破損、劣化している場合には十分に気をつけなければなりません。

手入れが行き届いていない古い住宅を購入して大掛かりな改修工事をしようとするとき、あるいは古家を解体するときなどには、アスベスト対策費用が多めにかかるケースがあることも想定しておくべきでしょう。

また、少し古い家に住みながらリフォーム工事をする際にも、しっかりとアスベスト対策をすることが大切です。

2006年の宅地建物取引業法改正により、アスベスト調査に関することが重要事項説明の項目に加えられましたが、これはあくまでも「アスベスト調査を実施したかどうか」および「調査をしていればその内容」を説明する程度のものに過ぎません。

売主や媒介業者にアスベスト調査を義務付けるものではありませんから、現実的には「アスベストの調査はしていません」で説明を終わることのほうが多いでしょう。

過度に心配する必要はありませんが、アスベストに不安のある中古住宅を購入しようとするときには、売主や媒介業者に対して積極的に聞くのと同時に、建築時の資料などをできるかぎり提示するように求めることが大切です。場合によっては、事前調査の依頼も検討するべきです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2006年11月公開の「不動産百考 vol.5」をもとに再構成したものです)


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