ふたりで学ぶマネー術/ふたりで学ぶマネー術

子育て卒業世代、財布の紐は緩めても大丈夫?

子どもが「成人式を迎えた」「就職が決まった」という方から、「教育費の目処がついて気持ちが楽になってきた」「子どもが春から社会人になるので、ようやく肩の荷が下りた」という安どの声を耳にします。教育費がかからなくなった分、財布の紐を緩めたくなりますね。今回は、子育てが一段落した後の家計管理について解説します。

平野 直子

執筆者:平野 直子

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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祝・子育て卒業!

子育ても落ち着いたし、これから好きなこと始めたいね!

子育ても落ち着いたし、これから好きなこと始めたいね!

卒業式や謝恩会に行かれるのでしょうか……袴やスーツ姿を多く見かけるようになりました。一緒に歩くお母様方もとても嬉しそうで、見ているだけでも幸せな気持ちになれます。

ガイド平野のところにライフプラン相談にいらっしゃる方でも、「子どもが20歳になり、教育費の目途もついてきた」「この春、子どもが就職する」という方は、「これからは夫婦のために、どう過ごしていくか考えたい」、とおっしゃる方が多いです。お子様の無事のご成長、本当におめでとうございます! まずは、長年の子育ての労をねぎらい、ご家族でお祝いしたり、ゆっくり休んでいただきたいと思いますが、少しずつ、次のステップに向けた準備を始めてみましょう。

これからやりたいこと、気になることを整理する

例えば、50代半ばの方であれば、定年まではまだ数年あり、収入も比較的安定している時期かもしれません。子どもたちにかかる時間も減り、自分たちの時間を持てるようになったと思います。ご夫婦で、これからやってみたいことを書き出してみましょう。

【やりたいことリスト(Aさん夫婦の例)】
◇ライフ
<夫婦共通>
・海外旅行(2年ごと)、国内旅行(毎年)
・リフォーム(水回りと省エネリフォーム)
<夫>スキーやゴルフの回数を増やしたい
<妻>友人と観劇や旅行をしたい(年3回希望)、ボランティアでハンドメイド活動をしたい

◇マネー
<夫婦共通>
・住宅ローン完済(繰り上げ返済等で62歳までに返し終わりたい)

◇キャリア(習い事・資格取得・学びなおし等)
<夫>
・通信制大学で違う分野の勉強をしたい
・友人とバンド活動を始めたい
<妻>昔習っていたピアノを再開したい

書き出した項目を下図のようなライフプランに落とし込んでみましょう。このとき、親の介護や自分たちの介護など、今後気になることについても、夫婦で意識合わせをして、ライフプランに盛り込むことをお勧めします。

FPオフィスLife & Financial Clinic作成(クリックすると拡大表示されます)

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子育て卒業世代=貯めドキ!? 財布の紐の緩めすぎにご用心!

子育てが一段落したご夫婦から「子どもたちが巣立って、時間も家計もゆとりが出てきたせいか、安心しすぎて、最近お金を使いすぎているかも……」と言われることがあります。今のペースでお金を使い続けても、老後の暮らしが維持できるかどうか、確認するには良い時期です。前出のライフプランにやりたいこと等を書き出したら、次にマネープランを作ってみましょう。

◇収入について
50代になると、もらえる退職金や年金の目安も見えてくるので、もらえる時期と大まかな金額を書き込みます。将来もらえる年金見込み額については、「ねんきんネット」で調べることができるので、この機会に一度ご覧になってみてください。また、パートや独立・起業等で働くことを考えている方は、ざっくりでもいいので、収入欄に加えてください。
●ねんきんネット

◇支出について
他人と比べてどう、とは言い切れませんが、目安としていただくために、全国の50代の家計状況(月額)をご紹介します。比較できるよう、40代後半の家計も掲載しました(下図)。(このデータは、世帯主の年代別です。)

全国消費実態調査をもとにガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

全国消費実態調査をもとにガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)


実収入から税金や社会保険料を差し引いた後の可処分所得(手取り収入)は、45万円前後ですが、役職定年などもあるためでしょうか、50代後半になると、50代前半よりも約1万少なくなっています。「消費支出」は33~37万円で、食費や光熱費などはあまり大差がありませんが、いくつか差がある項目がありました。

●教育費⇒40代前半:35,841円、50代前半:37,760円、50代後半:19,349円
●交際費⇒40代前半:12,090円、50代前半:16,734円、50代後半:24,479円
●仕送り金⇒40代前半:10,994円、50代前半:24,245円、50代後半:18,486円

やはり、子どもにかかるお金が50代前半にかけてピークとなり、50代後半になると、ふっと少なくなる傾向が見られます。「子どもが高校から大学生の頃は、貯金を引き出すことが多くてとても不安」という方も、その時期を超えると、まさに肩の荷が下りたように感じるのではないでしょうか。

家計の健康維持も目指そう!

家計管理も、二人三脚で頑張ろうね!

家計管理も、二人三脚で頑張ろうね!

一方、50代後半になると、交通費や保険医療費、交際費が増える傾向にあります。これまでの子ども中心の家計から、夫婦中心の家計へシフトする時期と言えるでしょう。

また、50代後半でも、負債残高は約440万円あります。これは全国平均ですので、住宅ローンなど、1,000万円以上残っている、という方もいらっしゃるかもしれません。定年後、ローンの返済を続けるのは大変です。子どもへの支出が減ってゆとりが出てきた分、住宅ローンなどの繰り上げ返済をしたり、老後資金を貯め始めていってください。

【関連リンク】
●定年後のライフプランも夫婦で早めに考え始めよう!
●共働きで貯蓄ナシ!?夫婦で取り組むお金の増やし方
●退職金、一時金と年金、どう貰うとトクをする?
●エンディングノートでふたりらしく幸せに生きよう!
●住宅ローン、繰り上げ返済を含めて何年で返し終える?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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