輸入車SUV サイズ別お勧めモデル【2018年版】
世界的にも人気。SUV選びがクルマ選びの基準点に
パーソナルカーとしてのSUVの需要は、ここ数年に渡り、世界的にとても旺盛だ。日本でも、ハッチバックやセダンに飽きたという人から、子育ても終わってミニバンが不要になったという人、逆にこれから子供ができるかもしれない、もしくは子供の小さいヤングファミリーまで、多くの人が何の抵抗もなくSUV選びをクルマ選びの基準点にしている。コンパクトサイズからビッグサイズまで、SUVスタイルであることは、もはや、実用車のスタンダードになったと言ってもいい。敬遠する理由が見当たらない。
それゆえ、セダンにとってのクーペと同じような理屈で、SUVでもより一層スペシャリティ度の高いモデルが増えてきた。ちょっと屋根を低くしたクーペ風味のモデルや、スポーツカー顔負けの高性能モデル、なかには開閉式トップを備えたオープンモデルまで登場している。SUVがフツウになった証拠と言っていい。
どうして、これほどまでSUV人気が高まったのだろう。元々は、アメリカや中国でもてはやされてきたカテゴリーで、日本でも90年代にクロカンブームやコンパクトSUVブームがあって流行する素地はそれなりにあった。巨大市場で人気であるということは、それだけ競争も激しく、沢山の選択肢が生まれ、魅力的なデザインが増える。BMWやポルシェといった、走りのイメージが強い人気ブランドにSUVが増えた、というあたりも、SUVのイメージアップに貢献したはず。
加えて、ミニバンなど背の高いクルマに乗り馴れた人にとって、セダンやハッチバックでは視界の低さがどうにも我慢できないという事情もあっただろう。オフロード走破イメージの4WDスタイルという非日常が格好いい、というデザイン的なアピールも大きい。格好いいクルマの基準が、背の低いスポーツカーのクーペスタイルから、SUVに移ってしまったかのようだ。セダンがミニバンに取って代わられたときのように。
新世代プラットフォームのSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)を採用した3列7人乗りのフラッグシップSUV、ボルボXC90。乗用車に比べて安全装備が省かれがちな大型SUVにも“持てる限りの最新装備”を標準で備えられている
もはや、SUVでオフロードを走るという人など99%いない。それゆえ、特にFFベースのコンパクトSUVでは、2輪駆動グレードが販売のメインとなる場合の方が多い。けれども、そのいっぽうで、実際にはオフロードを走らないにせよ、驚異の走破性能をもっているという価値は、プレミアムブランドになればなるほど、重要になってくる。なにも300km/hを実際に出すためにスーパーカーを買うわけじゃない、というのと同じ理屈だ。それゆえ、最新のSUVでは、さまざまな電子制御技術により、驚くほどの走破性の高さを誇るモデルもまた、増えているのだった。
オリジナルデビューは1979年、常に進化を遂げる本格オフローダーのメルセデス・ベンツGクラス。3LディーゼルターボのG350d(1080万円)から、V12ツインターボを積むAMG G65(3564万円)まで4グレードをラインナップ
パーソナルカーの激戦区、コンパクトクラス
旧型よりスポーティなスタイルに仕立てられた、VWのコンパクトモデル、ティグアン。モデルチェンジに伴い、今の所1.4Lターボを搭載した前輪駆動(FF)モデルのみをラインナップ。価格は360万~463.2万円
世界的にパーソナルカーの激戦区となっているのが、コンパクトSUVクラス(欧州B、Cセグメント)だ。特に、ここ数年はヨーロッパ市場での人気もうなぎのぼり。小型ステーションワゴンの需要を完全に喰いはじめている。
アメリカや中国では、以前からパーソナルカーとして女性にも人気を博していたし、日本は昔から実はスモールSUV天国で、そういう意味では世界的にみて、いわゆるハッチバックコンパクトカーに取って代わる存在になったと言ってよさそうだ。
日本で販売されている輸入コンパクトSUVのなかで、乗り易さやライドテイスト、輸入車らしいデザイン性、ブランドとのマッチング、などなど、総合的な観点から判断して現時点で最もオススメは、ちょっと堅い選択肢となるけれどもVWの新型ティグアンだ。
VWらしい堅実さと押し出しの強さ、適度な大きさ感、そしてボリュームバランス、それらの点で上出来な新型のデザインは、多くの人にマッチするはず。乗ったときの満足感の高さや、しみじみ沸き上がる上出来感は、ゴルフに通じるものがある。
全長4.19mのコンパクトなクロスオーバーSUV、アウディQ2。内外装の多くのパーツを好みに応じてアレンジすることができるなど、ユーザーフレンドリーな仕立てに。本国では2016年7月から販売されている
未試乗ながら期待したいのが、いずれもデビューしたばかりのミニクロスオーバーとアウディQ2だ。いずれも、キャラは違うがファッショナブル路線。都会に似合うコンパクトSUVとして、ティグアンとはまた違う芳香を放っている。
その他、ルノーキャプチャーは相変わらず、グッドレベルにある。人とは違うブランドを、という方には最適。メルセデス・ベンツGLAも、いまだAクラス派生モデルのなかでは最良の選択だ。
そのブランドらしさが求められる、ミドルクラス
Cクラス同等の安全・快適装備を備えたメルセデス・ベンツGLC。プラグインハイブリッドのGLC350eやハイパフォーマンスモデルのAMG GLC43もラインナップされ、価格は597万~873万円。クーペフォルムのGLCクーペも登場した
ちょっと背伸びしたら実現できるパーソナルカーとして、このクラス(欧州Dセグメント相当)に求められるのは、誰にとっても分かり易いスペシャリティ度の高さと、そのブランドらしさがちゃんと味わえる走行性能を持っているか否か、だろう。
そういう観点から最もオススメしたいのは、メルセデス・ベンツGLCだ。このクルマには、セダンのCクラスがそうであったように、乗用車としてのスタンダード感がしっかりと備わっている。しかも、大きさをフルに生かしたデザインは、Cクラス級とは思えない存在の強さで、インテリアの見映え質感も高い。最近では、クーペ版も登場し、いっそう人気が出そう。
レンジローバーのスタイリッシュなコンパクトSUV、イヴォーク。機能性の高さや高級感はそのままにブランド史上最小モデルとして登場した。個性的なコンバーチブル(写真)もラインナップする。価格は496万~765万円
対抗は、新型アウディQ5になりそうだが、未試乗なので期待に留めておこう。レンジローバーイヴォークも面白い選択で、特に、コンバーチブルモデルのスペシャル感は圧倒的。
走りを重視する向きには、ポルシェマカンだ。望めばスポーツカーのように走るし、高速巡航もお手の物、それでいて街乗りの軽快さと運転し易さもトップレベル。予算に余裕がある人には、ぜひ一度、“ポルシェ”のSUVを試してもらいたい。
走り重視で、ポルシェほど派手じゃなくていい、という人には、やや値は張るが、BMWのX4M40iもプッシュしておきたい。サーキット性能もさることながら、一般道でのしなやかな乗り心地は特筆モノだ。