ポケモンGOで再熱
本題に行きましょう。今回のテーマは「ポケモンテクノ」! ジャンルと呼ぶにはあまりにもニッチな世界です。
石野卓球のTwitterアイコンがピカチューに
現在の石野卓球のTwitterアイコン、卓球顔のピカチューです。いや、それだけだと、ネタになりませんね。ニンテンドーDS用ソフト『ポケットモンスター サン・ムーン』のCM音楽が石野卓球による仕事なんです。CMで使われたのは、『ポケットモンスター』シリーズで使用されている対戦BGMですが、それを石野卓球がリミックスしています。2017年1月21日からはマー君ことニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手、2017年1月31日からはレスリングの吉田沙保里選手がCMに登場しています。ちなみに、リミックスの告知の際、石野卓球は自らのTwitterで「遂に本家ポケモンに到達!」とつぶやいていました。2017年2月22日にリリースされる電気グルーヴの12インチ『Fallin' Down(The Other Two Remix)』は、New OrderのStephen MorrisとGillian Gilbertにリミックスされる側に回っています。
豆知識として、電気グルーヴへのオマージュだと思われる。「でんきグループ」というでんきタイプの使い手であるポケモントレーナーがいます。また、ポケモンの技の中には「テクノバスター」というのもあり、ポケモンとテクノの相性はいいのです。ちょっと強引な持って行きかたですが、お許しください。
ポケモン言えるかな?
ポケットモンスター発売の翌年となる1997年にリリースされたCDは、松本梨香が歌う『めざせポケモンマスター』。最終的には200万枚近いミリオンセラーとなりました。僕自身、タイトル曲のことはすっかり忘れていましたが、収録のイマクニ?がラップする『ポケモン言えるかな?』は今も記憶にあります。2016年のPerfumeのライヴではポケモンに関するトークが多かったですが、『ポケモン言えるかな?』を歌わされました(笑)。この曲も含めて、作曲を担当したのは、当時任天堂の社員(現在はクリーチャーズの代表取締役)だった、たなかひろかず。鈴木慶一との共作『MOTHER』のゲーム音楽も手がけているので、テクノポップ・ニューウェイヴなセンスも持っている人ではないかと思います。歌っていたイマクニ?はクリーチャーズに所属するグラフィックデザイナー。任天堂周辺って、多才な人たちが集まっていたんですね。
その後も継続的にリメイク版がリリースされましたが、お勧めしたいのは、Pizzicato Fiveによるカヴァー・ヴァージョン(2001年のアルバム『さ・え・らジャポン』収録)です。イマクニ?もオリジナルで冒頭のMCを務めたレイモンド・ジョンソンもこのカヴァー曲に参加しているので、小西康陽アレンジの新バージョンと捉えてもいいでしょう。
アニメのエンディングを手がける岡崎体育
電気グルーヴ好きとしても知られている岡崎体育ですが、本家に先駆けて、現在放映中のアニメ番組「ポケットモンスター サン&ムーン」のエンディングテーマを手がけ、自ら歌っています。最近は、アルコールブランドのJINROのテレビCMでも時々見かけます。岡崎体育は、2016年に『MUSIC VIDEO』のミュージックビデオで見事にミュージックビデオのメタ化に成功し、注目されました。何度観ても、クスッと笑ってしまう。結果、メジャーでのデビュー作『BASIN TECHNO』はオリコンデイリーで6位にまで登る大健闘。自らちょっと控えめに「盆地テクノ」と名乗るセンスも好きです。彼は2012年から活動しており、京都出身で割と近いところにこんな天才的なテクノの人がいたのにこの作品まで気づかなかったことが残念!
ポケモンテクノ
最後にこれぞポケモンテクノという作品を紹介します。ゲームクリエイターでもある増田順一は、ゲームフリーク社で『ポケットモンスター』シリーズをはじめとしたゲーム音楽の作曲を手掛けてきました。2016年に発売された『ポケモン赤・緑 スーパーミュージック・コレクション』は、ゲーム音楽45曲、ポケモン151匹の鳴き声、図鑑ナレーション、そしてボーナストラックとしてポケモンの鳴き声と効果音が入った「ポケモンテクノ」を収録した集大成とも言える作品。「ポケモンテクノ」は、Kraftwerk直系のテクノポップとして風化しない魅力に溢れています。「ポケモンテクノ」が視聴できます (OVERLAP)
80年代以降、ゲーム音楽とテクノ(ポップ)はコンセプト的にもサウンド的にも相性がいい関係でした。今や世界中を熱狂させるポケモンの世界でも、それは続いているのです。
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