「もじぴったん」やったことありますか?

「ことばのパズル もじぴったん」というゲーム、ご存知の方も多いでしょう。「YMOとゲーム音楽」でもそのテクノポップとの関連が強かったナムコ(現在はバンダイナムコゲームス)から2001年にアーケード版として世の中に出て、その後、2003年にPS2、GBA、2004年にPSP、2007年にDSに移植されました。携帯のアプリにもなっているので、認知度が高いゲームと言えましょう。僕は最近DSでやったのですが、それを娘に言うと、「今頃、何。遅れている」と馬鹿にされてしまいました。

アメリカのボードゲームでSRCABBLE(スクラブル)というのがあります。1948年に生まれたクロスワード・パズルのようにアルファベットの駒をマス目に入れて言葉を作り、得点を競い合うゲームです。「もじぴったん」はさしずめ電脳日本語スクラブルと言えましょう。スクラブルを昔やっていた時、よく口論になりました。その言葉はあるのか、ないのか? だから辞書は必須です。「もじぴったん」では、意外な専門用語があったり、卑猥な言葉がなかったりして、結構教育的配慮がなされています。うーん、「大人のもじぴったん」とかどうでしょう?

もじぴったんうぇぶ

さて、どうして「もじぴったん」の話をしているかというと、このサウンドトラックCDが素晴らしいのです。

capsule、Perfume、「もじぴったん」

ことばのパズル もじぴったん おりじなるさうんどとらっく
2003年にリリースされたのが、『ことばのパズル もじぴったん おりじなるさうんどとらっく』。24曲入りで、PS2版『ことばのパズル もじぴったん』で使われてる全曲が収録されており、「わーずわーずの魔法」「Piacevole!」「ふたりのもじぴったん」などのヴォーカル曲が楽しめます。

両方買う手もありますが、一つに絞るなら、2006年にリリースされた『ことばのパズル もじぴったん大辞典 オリジナル・サウンドトラック』をお勧めします。もともとテクノポップ度が高い2003年に収録されていたヴォーカル曲は、さらにフューチャーポップなアレンジされたリミックス・ヴァージョンになっています。しかも、参加者も豪華。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
ことばのパズル もじぴったん大辞典 オリジナル・サウンドトラック
01. Hello World
02. smile!smile!
03. バンビーニ
04. その猫の名はアンドレ
05. ポータブル
06. Positive Walkin’
07. cherry
08. モジモジモード
09. Tick up
10. STARS
11. Bedtime Puzzler
12. ふたりのもじぴったん(fine c'est la mix)
13. わーずわーずの魔法(easter egg mix)
14. Piacevole!(PEPPERMIMT mix)
15. All Over the Word
16. on and on
17. 辞典の音楽
18. ステージクリア
19. Congratulations!
20. Sigh on Sunday
21. estrellita*
22. [ai]*
23. paradox*
24. ふたりのぜのぴったん*
25. SE集
*「ゼノサガフリークス」より


アルバムの全体感想から始めましょう。ゲーム音楽ファンは当然、楽しめるアルバムです。でも、このアルバムはゲーム音楽という枠をはるかに超えた秀作です。僕がTower Recordsのバイヤーだったら、capsuleとPerfumeとこのアルバムを置いたフューチャーポップ・コーナーを作ります。別に「もじぴったん」をやったことがなくても、全然気にしなくていいです。ゲームで使われている曲をそのままアルバムにしましたというのではなく、この作品は単独で十分成り立つ内容を備えています。

ナムコのサウンドクリエイターは凄い!

アルバムの楽曲の作曲クレジットを見ると、多くはNAMCOの神前暁となっています。調べてみると、神前暁は、NAMCOのサウンドクリエイターと活動し、現在はMONAKAに所属しているとあります。既にアニソン界では成功しているコンポーザーで、2006年発売のアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の挿入歌シングル『涼宮ハルヒの詰合』は、オリコン5位を記録しています。こちらはテクノポップでもフューチャーポップでもありませんが、収録の「恋のミクル伝説」は、オケヒット連発で音程をわざと破壊した電波ソングとして一部では有名になったようです。

また、ナムコのサウンドクリエイターによるインディーズ集団、nanosoundsに所属していたこともあり、Satoru Kosaki名義で「ハンド・メイド・ガール・メイド (BEST☆H!T MIX)」や「noites」という曲も発表しています。

中田ヤスタカをはじめとしたリミックス陣

神前暁を中心とした優れた楽曲にさらに力を添えるのは、強力なリミックス陣です。

「もじぴったん」の主題歌とも言える「ふたりのもじぴったん」のリミックス・ヴァージョン(fine c'est la mix)は、capsuleの中田ヤスタカによるもの。当然、capsuleっぽいのですが、現在のcapsuleというよりもちょうど2003年の『phony phonic』あたりのキュートでピチカート・ファイヴ的なアレンジです。

cartooom!
「わーずわーずの魔法(easter egg mix)」のリミックスを手がけたのは、Plus-Tech Squeeze Boxのハヤシベトモノリ。Plus-Tech Squeeze Boxは、中田ヤスタカのレーベル、contemodeのレーベル・コンピレーションに参加しております。彼らが、2004年にリリースしたセカンド・アルバム『cartooom!』は、エンタテイメントとしてのポップミュージックの可能性を巧みなカットアップで表現した作品です。

「Placevole! (PEPPERMINT mix)」のリミックスは、AKIRA SUZUKI。All Aboutテクノポップでインタヴューもしましたが、彼はUSAGI-CHANG RECORDSの主宰者であり、Sonic Coaster Popのリーダーです。ヴォコーダー声のロボなエレクトロ・トラックに仕上がっています。

嬉しい事に、アルバムからこれらの3曲を含めた5曲が、もじぴったんうぇぶからダウンロードできちゃいます。リミックス版のオリジナル3曲も少し音質は落ちますが、こちらも同様にできますので、聴き比べてみると面白いです。太っ腹!

リミックス以外にも聴き所は、いっぱい。RYUICHI TAKADAのクレジットがある「辞典の音楽」は、テクノなアレンジのクラシカルなインスト。トイトロニカですね。

テクノアイドル、宍戸留美ちゃんも

今回、特別収録されているのが、別のゲーム「ゼノサーガフリークス」からの4曲。同じナムコのゲームで、このゲームには「ぜのぴったん」という、「もじぴったん」ライクなゲームが入っているのです。ゲーム中のキャラクターの声優3人、前田愛さん(シオン役)、鈴木麻里子(KOS-MOS役)、宍戸留美さん(M.O.M.O.役)がそれぞれ1曲ずつ、3人いっしょで「ふたりのぜのぴったん」(「ふたりのもじぴったん」の替え歌)を歌っています。

注目したいのは2曲。前田愛が歌う「estrellita」。確信犯的にコンセプトは80年代のカイリーミノーグあたりの初期ユーロビートに影響された歌謡曲。というか、もろトミフェブです。

もう1曲は、永遠のテクノアイドル、宍戸留美がとろけそうな声で歌う「paradox」。こちらは、期待通りの胸キュンテクノ歌謡。

ちなみに、この4曲のメドレーがPS2/ゼノサーガ フリークスで聴けます。

隠れたテクノポップの名作アルバムとして、このゲームサントラぜひ、ご拝聴あれ。

YMOとゲーム音楽
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