ダブル不倫での「嫉妬」

お互いの立場はわかっているはずが……彼の妻へ嫉妬する女性たちの話を聞いてみた。

お互いの立場はわかっているはずが……彼の妻へ嫉妬する女性たちの話を聞いてみた。

既婚者同士のダブル不倫が、相変わらず増加している感がある。是非はともかく、以前だったらお互いに立場が同じだから「家庭は家庭、恋愛は恋愛」と割り切っている人が多かったのだが、少し様相が変わってきたようだ。

「恋愛は恋愛と割り切っているからこそ、嫉妬も生まれるんです」

そう言うのは、アヤコさん(40歳)だ。結婚して10年、子どもはいない。3年間つきあっている彼は5歳年上で、高校生になる子どもがいる。仕事で知り合った関係だが、アヤコさんは妻を見かけたことがあるのだそうだ。

「まだ彼と関係を持つ前、あるパーティにあちらが夫婦で来ていたので顔を知っているんです。つい最近、彼のSNSに妻の写真を発見したら、劣化していたのでちょっとほくそえんでしまいました」

この言葉からもわかるように、彼女は妻に並々ならぬ嫉妬心を抱いている。

「妻は専業主婦。彼のお金でラクして暮らしながら、彼女のSNSを見ると新しいバッグを買っただの、友だちと豪華なランチをしただのといろいろ書いている。彼がかわいそうだし、こんな妻なら私と結婚したほうがずっといいのに、と思うんですよね」

彼女の語気は荒いが、そもそも彼女自身も結婚しているのだ。それを指摘すると、「私はいつ離婚してもいいんです。子どももいないし」との答え。夫とも、決してうまくいっているとはいえない状態らしい。

「彼は離婚するつもりはまったくないと思います。でもなんとかして離婚させたい。どうしたらいいか考えています」

片方が離婚覚悟でいる場合、不倫の恋は穏やかではいられない。

妻の顔を知っているからこそ嫉妬するのだろうか。そう思って、妻の顔をまったく知らずにダブル不倫をしている女性に聞いてみたが、逆に想像がふくらむので、やはり嫉妬は深くなるそう。

割り切っているようで、割り切れない女性の心理が見え隠れする。


「私が彼と一緒になっていたら……」と嫉妬

だが彼女ほどの状況でなくても、「妻への嫉妬」はダブル不倫をする女性たちの心を、ときどきどす黒く覆う。

「私も妻への嫉妬が止められなくて困っています」

ナナコさん(36歳)はつらそうに顔を歪めた。結婚して10年、ふたりの子がいる。
独身時代つきあっていた元カレと再会したのは3年前。友だちとしてたまに会っていたが、2年前から恋愛関係に発展してしまったという。

「彼とは22歳から3年近くつきあっていました。最後は大げんかして別れたんですが、その半年後、彼は私の知り合いとデキ婚。あれはショックでした。再会してからその話もしたんですが、彼としては『ナナコと別れたショックで落ち込んでいたら、彼女が慰めてくれて……。たった1回でデキちゃったんだ』と。『別れた直後は時間を置いて、またナナコとつきあいたいと思っていた』とも言っていました。その言葉を真に受けるわけじゃないけど、私も彼と一緒になっていたら、人生変わったかなと思う」

最初は不倫なんていけないと思っていたから、彼とはあくまでも友だち関係を貫くつもりだった。だが互いの思いは、罪悪感を超えてしまったのだろう。

「つきあってみたら、今度は彼の妻のことが気になって。もともと知り合いで顔がわかっているだけに、よけい嫉妬してしまうんですよね。彼女が死んだら、彼は私と一緒になる気があるんだろうかとか……。彼女のほうから別れてくれないかなとか。そう考えている自分がイヤでイヤでたまらない」


夫は「とてもいい人」なのに

「彼がいなくなったら、私の人生には彩りがない」

「彼がいなくなったら、私の人生には彩りがない」

ナナコさん自身、夫とうまくいっていないわけではない。夫は子煩悩だし、週末は家族のために料理も作ってくれる。年に2回は家族で旅行もする。

「夫はいい人なんです、とても。だけど恋愛感情はもてない。結婚なんてそんなものだと思うけど、そもそも結婚したのは元カレへの当てつけと反動みたいなものだった。元カレがデキ婚して悔しい気持ちを引きずっているときに現れたのが今の夫。とにかくいい人だったから、こういう人と結婚したら幸せなんだろうなあと思って結婚したんです。確かに幸せだけど、夫に対する恋愛感情は最初からないので、このままでもいいのかなと思っていた……」

そんなときに元カレに再会したのだから、恋愛感情が再燃しても不思議はないのかもしれない。

「ときどき、夜中にふっと目が覚めて、彼は今ごろ妻とセックスしているんだろうかと考えたりします。そうすると心の奥深くからふつふつとどす黒い感情がわき起こってきて、『妻がいなくなりますように』と祈ってしまう。そういう自分に落ち込む。その繰り返しです」

彼女は少し疲れたような笑みを浮かべた。

自分が疲弊するような恋愛はしないに越したことはない。それがたとえ不倫であろうが、独身同士の恋であろうが。もちろん、彼女たちもそんなことは百も承知なのだ。それでも妻に嫉妬し、妻を憎んでしまう。恋愛感情の暗い側面である。

「それでも別れる気はありません。彼がいなかったら私の人生は彩りがない。モノトーンの人生にはもう耐えられないと思うんです」

ナナコさんの言葉は重い。
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