宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

花組トップ娘役・花乃まりあ―退団(2ページ目)

花組トップ娘役・花乃まりあさんが、宝塚舞踊詩『雪華抄』、トラジェディ・アラベスク『金色の砂漠』の千秋楽(2017年2月5日(日)東京宝塚劇場)に宝塚歌劇団を退団しました。略歴や舞台歴をまとめるとともに、新人時代からの活躍を振り返ります。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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『カリスタの海に抱かれて』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

花組トップ娘役に

その後、蘭乃はなさん退団に伴い、明日海りおさんの相手役として、花組トップ娘役に就任します。
お披露目は、『Ernest in Love』のグウェンドレン・フェアファックス。また本公演でのお披露目は『カリスタの海に抱かれて』のアリシア。歌唱力の高い明日海りおさんの相手役をしっかりと務め、可憐でエレガントなトップ娘役の誕生となりました。

『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』のマリー・アントワネットでは、フェルゼンを愛する艶やかで瑞々しい姿、ベルサイユ宮殿を追い出されてからは母として、またフランスの王妃としての凛とした姿を巧みに演じ分け、演技力の高さを痛感したものです。

「高貴な色、紫がなんて似合う人だろう……」と思ったのが、『新源氏物語』の藤壺の女御。しっとりと気品にあふれた佇まい、艶やかな声で、光源氏の永遠の想い人を好演しました。

可愛いくてぴったりだった『ME AND MY GIRL』のサリー・スミス。ビルを想う女心を繊細に表現し、名曲「顎で受けなさい」「一度ハートを失くしたら」は、聴く者の胸が熱くなったものでした。

『仮面のロマネスク』では、貞淑の仮面を付けたメルトゥイユ夫人という難役を。官能的な恋の駆け引きを演じても気品は失われず、匂うような色香で、甘美な世界を作り上げました。

そして、花乃まりあさんにとって最後の作品が『雪華抄』と『金色の砂漠』。
日本物のショー『雪華抄』での見せ場は、「道成寺」で知られる安珍・清姫伝説の場面で、安珍への愛憎と情念を熱演。トップスターを足蹴にすると話題を呼んだ『金色の砂漠』では、高慢な中にも純粋な面を持つタルハーミネを、妖艶に、そして生き生きと演じました。

『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ、『ME AND MY GIRL』のサリー、『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』のエリザベート……。わずか7年間で、新人公演も含め、娘役の代表的な大役を、これほど与えられた娘役も少なく、それはまず「花乃まりあ」という素材の素晴らしさゆえでしょう。

舞台映えする美しさ、気品や優雅さ。どんなに大きなドレスも着こなし、『Melodia』の「All of me」をはじめ、銀橋で一人で歌い見せられる華やかさと存在感。それは、演技力だけで出せるものではありません。
そうした素材の素晴らしさの上に、下町の娘から王妃まで、役によって大きく変化できる引き出しの多さと、柔軟な表現力。丁寧に誠実に取り組んできた表れでしょう。まだ7年。もっともっと色々な役を観たかったと思います。

数々の魅力的な女性を通じ、舞台を華やかに彩ってくれた花乃まりあさん。その名の通り、美しく気品のある娘役さんでした。


最後に……Twitterで「アナタの好きな花乃まりあの演じた役」を伺いました。ご紹介いたします。

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