地震の大きさを示す「震度」と「マグニチュード」の違いについては知っている人も多いでしょう。 「震度」はそれぞれの場所における実際の揺れの大きさ、「マグニチュード」は地震そのものの規模を表しています。
震度は無感の0から1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10段階に分類され、阪神・淡路大震災を契機に、それまでの人間による判断から計器測定による方式へ転換されたとのことです。
1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震で震度7が観測されていますが、「計測震度」はもう少し細かく公表されており、熊本地震における益城町は計器測定で過去最大となる6.7を記録しました。
その一方で、地震の規模を表すマグニチュード(M)は、数値が1増えると地震エネルギーそのものは約32倍(0.2増えるごとに約2倍)になるとのことで、Mの値が2増えれば、何と約千倍ものエネルギーの違いに相当します。
M3以上5未満が小地震、M5以上7未満が中地震、M7以上が大地震などと分類されますが、とくにM8以上を「巨大地震」、M9以上を「超巨大地震」とよぶこともあるようです。ちなみに1923年に起きた関東大震災のときはM7.9、阪神・淡路大震災のときはM7.3でした。
これらのマグニチュードは、地震観測網で集められた波形データなどをもとに算出されており、2001年に少し改定されているものの、過去からほぼ一貫性をもった方式となっています。
ところが、ここ20年ほどの間に「震源における断層運動の大きさ」を反映したモーメントマグニチュード(Mw)が国際的に使われるようになってきました。しかし、これを算出するためには一定の特殊な解析が必要であり、速報性はありません。
そのため、地震発生直後に公表されるマグニチュードは従来方式によるもので、これを区別するために「気象庁マグニチュード(Mj)」と表記されることがあります。
そして、一定規模以上の地震が発生してから数日後に公表されるのがモーメントマグニチュード(Mw)です。算出方式が異なるため両者が食い違うこともあり、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)におけるMjは8.4、Mwは9.0でした。
住宅被害に大きく影響するのはマグニチュードではなく震度のほうですが、気をつけたいのは同じエリア内でも地盤や地質によって揺れ方が大きく異なるということです。
実際に「◯◯市」「◯◯町」の震度として発表された数値と、自宅や勤務先などで自分自身が感じた揺れの大きさの印象がだいぶ違う、という経験がある人も多いでしょう。
近年はさまざまな地震パターンにおける「想定震度」が公表されるケースも増えていますが、よくみると近接する場所でありながら、震度7や6強の地区と震度4以下の地区が混在していることもあります。
いくら耐震基準を満たしていても、震度7の揺れに見舞われれば大きな被害を免れない住宅は少なくありません。しかし、周囲より2~3段階低い揺れでおさまるような地盤なら、ほとんどダメージを受けないこともあるでしょう。
住宅を選ぶときには、地盤の強度に関する情報もしっかりと活用したいものです。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2007年1月公開の「不動産百考 vol.7」をもとに再構成したものです)
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