MAZDA(マツダ)/CX-5

新型CX-5の“キープコンセプト”戦略は成功するか?

マツダCX-5が日本でも発売となった。ベンツでもBMWでも、フルモデルチェンジをすると次世代は全く違うデザインテーマを取り入れてくるが、今回の新型CX-5は「キープコンセプト」。果たして、その戦略は成功となるのだろうか?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

マツダの自信がうかがえる新型CX-5の「キープコンセプト」

アメリカのLAモーターショーでデビューしたマツダCX-5が日本でも発売となった。先代CX-5はマツダのルネッサンスと言える『スカイアクティブ』の第一作として企画&開発されたモデルで、世界的規模の成功を収めている。果たして2代目も魅力的なクルマだろうか?

CX-5

新型CX-5のデザインは見ての通り「キープコンセプト」。マツダの自信がうかがえる


写真を見ていただきたい。意外なことに完璧な「キープコンセプト」だった。普通、ベンツでもBMWでも、全てのクルマをフルモデルチェンジすると、次世代は全く違うデザインテーマを取り入れてくる。同じスタイルだとお客さんが飽きるからだ。実際、今までの日本車でもキープコンセプトは失敗続き。

成功したことがない。もちろんマツダだって十分認識していることだろう。ということはキープコンセプトで自信があるということに他ならない。もちろん評価するのはユーザーである。私は厳しい方に1000点掛けるけれど、成功したら素晴らしいデザイン力だと思う。

インテリア

エンジンやミッションもキープコンセプトだった。搭載されるエンジンは従来型と同じく2000ccと2500ccの特徴無い4気筒ガソリンと、2200ccのディーゼルとなる。もちろん細かい改良は加えているものの、大きな性能向上や新しい技術など無し。これまた話題性という点でイマイチだ。

大きく進化した電子装備。自動ブレーキは世界TOPクラスの性能

ウィンドウ

自動ブレーキは、アイサイトを超える停止性能を見せたアクセラと同じ新世代を採用


一方、大きく進化したのが電子装備。従来型の自動ブレーキは、日本車の最後尾といった性能しか持っていなかったが、先日発表された国交省の外郭団体による性能テストでスバルのアイサイトを超える停止性能を見せたアクセラと同じ新世代を採用。もちろん日本車だけでなく世界TOPクラスの性能である。

なかでもクルマの陰から出てくる歩行者を認識してブレーキ掛けるというテストでは45km/hから停止できた。性能良いライバルですら35km/h程度だったことを考えれば素晴らしいとしか言えない。もちろん停止車両にノーブレーキで接近する試験でも50km/hから余裕で停止している。

安全性能

 マツダの安全思想(クリックで拡大)


また、先行車追従クルーズコントロールの性能も大きく向上。車速0~100km/hの間で稼働する。つまり渋滞などでは完全に停止するまで自動でブレーキを掛けてくれるということ。もちろんマツダ車では初めての機能だ。ロングドライブや渋滞時は運転手の負担を低減させてくれるだろう。

価格は若干値上がり。デザインの真価は数年後に分かる

気になる価格だけれど、若干値上がりしている。おすすめグレードの『XDプロアクティブ』は自動ブレーキや斜め後方に接近した車両を教えてくれるブラインドスポットモニター、LEDアクティブヘッドライトなど標準装備して300万2400円。全体的に考えれば高くはないと思う。

おそらく新型発売当初は好調に売れることだろう。問題は2年くらい後。その時点でデザインに飽きがこなければキープコンセプトを跳ね返すほどのデザインレベルだったということになる。売れ行きが落ち込んでくるようだと、やはりキープコンセプトは難しかったということです。

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