テレビ・ネット・書籍に溢れる情報…信頼できる健康情報とは
日本医師会常任理事の羽鳥裕医師(2016年12月 日本医師会館にて)
現在氾濫している健康情報について、羽鳥先生は「センセーショナルな書き方、伝え方がされることで、情報が誤って伝わり、(それを受け取った人たちが)間違った方法に走ってしまうこと」を懸念されます。「実際に有益な情報もある一方で、あまりにも極端に(一部の健康効果などの情報を)強調したために誤った情報になっていることもあれば、最初から間違った情報が伝えられている場合もある。一方で、最初は専門家から見て間違っているのではないかと思われていた情報が20年後、30年後に評価されるケースもある。我々にできることは『医療者として、国民・市民に伝えられるレベルになった最先端の情報を、正確に伝えていくことだと思っている」とお話されます。
個々人が健康リテラシーを高めることの重要性
長寿世界一でもある日本ですが、実は平均寿命と健康寿命との差が大きいという課題も抱えています。健康寿命とは「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間」のことを指します。健康上、何らかの問題を抱えながら生活しなくてはならない期間が、男性で約9年、女性で約12年もあるのです(平成25年厚生労働省調べ)。個々人が健康リテラシーを高め、日常的に正しい健康管理をしていくことは、とても重要です。羽鳥先生は、「(個人の努力である程度は進行を抑えることができる生活習慣病は)重症化すると、(個人としても国としても)非常に経済的な負担の高い治療を続ける必要が出てくる。一例として、糖尿病が重症化し、透析治療が必要になるほど悪化すると、年間約500万円ほどの大きな医療費が必要になってしまう。透析の導入を1年遅らせることができれば、その医療費が抑えられるとも言える」とお話しされます。「日本人に多い脳卒中は、その後の介護費用も莫大」ということもあり、個々人が健康に対する正しい知識をもって、健康管理をされていくことは、国としても非常に重要なことと考えられているそうです。「自分で努力できることを実践してもらい、また、本人が辛くならずに周りが励ましていけるような仕組みを作っていければよいのではないか」とお話しされていました。
また、正しい健康知識を持つことは若年層にも大切なことです。例えば「骨密度に関しては10代後半が最も高く、そこからは下がって」いきます。こう考えると骨の健康については、「中学・高校からもっと学ぶべき健康知識」でもあるのです。
そして、正しい健康知識を持つことはもちろん、「一年に一度、健康診断などをしっかりと受け、自らの健康課題を把握することも大切」。心電図を取ることで心房細動の早期発見につながり、そこから起こりうる脳卒中などの予防を行うことができます。正しい健康知識と定期的な健診・検診による自己管理で、個々人が病気の早期発見や進行を遅らせていくことが、これからはより重要と言えそうです。
信頼性の高い健康知識を学べる『日本健康マスター検定』
「医療者である我々ができることは限りがあり、病気を治す場合にも、患者さんとご家族、看護師、栄養士などの人々と一緒に作っていくのがこれからの医療のあり方」と羽鳥先生は言われます。現在は医学生の授業の中で、患者さんとのコミュニケーションや、(専門性の高い情報を)正しく言い換えて理解してもらうことも行われることがあるようですが「(医師に任せるのではなく)みんなで健康を作り上げていこうという観点からも、今回の検定は役立つのではないか」と考えられているそうです。
2017年2月に実施される『日本健康マスター検定』は、「(日本医療研究開発機構理事の)大谷泰夫先生の陣頭指揮のもと、個々人の健康リテラシーを高めるための検定」。テキストや検定問題は「臨床での実績を持たれた各分野の先生方が監修し、科学的根拠のある知見に基づいて勉強ができる」もので、「正確な知識を、わかりやすく、正確に咀嚼」されていることからも、信頼性の高い、正しい健康知識の土台づくりに役立つ、非常に有益な検定になっているそうです。
自分自身でできる正しい健康管理のきっかけづくりとして、まずは『日本健康マスター検定』のテキストを開いてみてはいかがでしょうか。
■日本健康マスター検定
・第一回試験実地日:2017年2月26日(日)
・申し込み期限:2017年1月15日(日)24:00まで
・公式webサイト:https://kenken.or.jp/