弁護士費用特約の補償内容
いざというときの備えとして活用できる、弁護士費用特約
自動車保険では、事故が起こったときに保険会社が顧客に代わって事故の相手と示談交渉してくれる示談代行サービスを提供しています。しかし、赤信号で停車中に相手が後ろから追突してきた場合など顧客側にまったく落ち度のない、言い換えれば過失割合が自分0:相手100のいわゆる「もらい事故」では保険会社が示談代行できないのです。
つまり、「もらい事故」では、相手との示談交渉は自分自身で行う必要がありますが、自分が直接交渉することには不安を持つ人も多いでしょう。交渉は弁護士に委任することもできますが、費用がかかる点はデメリットです。このような場合の弁護士費用への備えとして、自動車保険に弁護士費用特約を付帯することができます。
また、「もらい事故」以外に、以下のようなケースでも弁護士費用特約は役立ちます。
■交渉の難航
例えば、保険会社の専任担当者による相手保険会社との過失割合の示談交渉が難航しているため、専任担当者ではなく、法律の専門家である弁護士を窓口にして交渉してほしい場合などが挙げられます。
■自分の保険で補償されない部分の請求
例えば、自分が付帯している車両保険などでは払われないもの(レンタカー費用や車内の物品損害など)を相手に請求したい場合などが挙げられます。
なお、この弁護士費用特約で保険金の支払いを受けるには、事前同意を必要としている保険会社が多いため、弁護士などに依頼する前には必ず保険会社へ確認することを覚えておきましょう。
補償の対象となる事故の範囲に注意!
弁護士費用特約で注意しなければならないのは、対象となる事故の範囲は、保険会社や商品によっても異なることです。保険の対象となっている自動車(契約車両)の搭乗中だけでなく、それ以外の自動車に搭乗中の事故や歩行中の事故でも、自動車事故による被害であれば使えるものが一般的です。しかし、自動車事故でも契約車両での事故のみを対象としているものもあります。また、日常生活でケガや物が壊れるなどの被害を受けた事故を補償の対象としているものもあります。この日常生活の事故には、自動車に搭乗中の事故や、歩行中に自転車にはねられた事故なども含まれるため、事故の範囲がより広いということになります。
自動車事故のみを対象とするものでも、名称を「弁護士費用特約」としている保険会社と、「自動車事故弁護士費用特約」としている保険会社があります。また、自動車事故のみを対象とするものと、自動車事故を含む日常生活の事故を対象とするものの2つのタイプから選択でき、それぞれの名称を、「自動車事故弁護士費用特約」と「弁護士費用特約」としている保険会社もあります。
同じ名称でも補償の対象となる事故の範囲が異なるので、内容をよく確認した上で目的にあっているかをよく検討するようにしましょう。
複数の保険で、弁護士費用特約の範囲が重複してしまうことも……。無駄を避けるために注意したいポイントは、次のページで解説します。