お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

35歳、貯金2300万。無理なく買える物件価格を知りたい(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅購入を希望する30代の男性会社員です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 超低金利だからこそ固定金利で借り入れを

購入に無理のない物件価格ということですから、実際に試算してみましょう。

まず、住宅資金ですが、自分たちの貯蓄から1500万円。加えて、親御さんからの資金援助が700万円ですから、計2200万円となります。

次に借り入れですが、返済は60歳までに終わらせたいので、25年返済とします。金利はフラット35の現在の水準を参考にしますと、まさに超低金利ですから、25年固定で借りても、低いところは1.03%で借り入れられます。ただし、フラット35は団体信用生命保険には別途加入となっていますので、その分(年/0.3%)を加算すると実質1.33%ということになります。

毎月の支払いはどうでしょうか。2000万円借り入れて、ボーナス払いは併用せずに毎月7万8400円ほど。2300 万円の借り入れだと約9万200円、2500万円なら約9万8000円となります。

もっと低い変動金利で借り入れてもいいですが、金利上昇リスクがあります。超低金利だからこそ全期間もしくは長期の固定金利で借り、余裕資金があれば繰上返済をしていけばいいでしょう。
 

アドバイス2 教育費は月2万円ペースで用意を

では、無理のない返済可能額はどのくらいでしょうか。基本的には、ローンを支払いながら、教育資金や老後資金が用意できる程度の返済ということになります。

そこでまず、教育費の準備ですが、高校まで公立とするなら、そこまでの教育費は家計から捻出し、事前に備えるべきは大学費用となります。その額は4年間で私立文系は平均390万円、私立理系なら520万円(通学費用等は含まず)。毎月2万円教育資金用に貯めれば、18歳までに432万円貯まりますから、まずこれがひとつの貯蓄ペースの目安となります。しかも、そのうち児童手当で半分程度貯められるので、実際に家計からの捻出は1万円。仮にお子さんが2人となったら、児童手当とは別に毎月2万円貯めれば用意できるわけです。

では、それを踏まえて、購入後の家計収支はどうなるでしょうか。
仮に2000万円借り入れると、現在の家賃とほぼ同額となります。ただし、持ち家になると、新たにランニングコストが発生します。まず固定資産税。住宅の広さや当初は優遇制度もあり、一概にいくらとは言えませんが、ファミリー物件なら目安として月1万円、年間12万円程度でしょう。

また、ご希望がマンションか一戸建てかは不明ですが、マンションであれば管理費や修繕積立金、クルマを所有すれば駐車場代金も発生します。これも物件により幅がありますが、駐車場代金も含めて月3万~4万円といったところでしょうか。一方、一戸建てはそれらが発生しませんが、住宅の補修は必ず発生しますので、その費用として維持費はマンションとほぼ同等と考えますと、月額で4万~5万円は新たに支出が加わることになります。

現在の収支に、新たに住宅のランニングコストとして月4万5000円が加わるとすると、年間の貯蓄ペースは215万円ほど。これを定年まで25年間継続できれば5375万円となります。

ただし、大学にかかる以外の教育として、お子さんが保育園に通い始めると、月3~5万円の保育園費用が発生します。小学校に上がれば学校費用に加え習い事や、受験前には進学塾にも通うでしょう。食費や水道光熱費も今より上がります。クルマを購入すれば、購入代金に加え、税金や保険、車検等のコストが発生します。ただ、それらを考慮しても、お子さん1人なら4000万円、2人でも3000万円は貯められるはずです。

そこに、購入前の貯蓄分(残り800万円)や退職金も加えれば、夫婦とも老齢厚生年金を受給できることも考え合わせると、ほぼ老後資金としては安心できる額が用意できると考えられます。
 

アドバイス3 より確実な返済なら物件価格は「4000万円」

以上のような試算から、2000万円の借り入れなら、無理のない返済が可能となります。自己資金が2200万円ですから計4200万円。そこから諸費用(登記費用、引越し費用、家具・家電の購入費用など)を100万~150万円を差し引くと、4000万円が安心して購入できる物件価格の、ひとつの目安となります。

ただし、かなり慎重にリスクも考慮した上での試算ですので、上限4500万円までは実際の購入は可能だと思います。ただし、その際は、自己資金をより多く入れて、毎月のローンを抑えることがポイントです。結果として、手持ち資金は減ってしまいますが、家計を見る限り、かなりの貯蓄体質ですし、家計管理はできています。すぐに貯蓄も増えるはずです。

また、親御さんからの援助は、おそらく「住宅取得等資金の贈与税の特例」を利用されるかと思います。一般住宅でも1000万円まで贈与税が非課税になりますが、その恩恵を受けるには、贈与を受けた人がその翌年に申告をしなくてはいけません。ぜひお忘れないようにしてください。

最後に住宅購入とは直接関係ありませんが、もしもデータどおりなら、ご夫婦の死亡保障がやや足りない気がします。ご夫婦とも1000万円程度、掛け捨ての10年定期、もしくは収入保障保険で加算するといいと思います。保険料は夫婦合わせて5000円台で収まるはずです。
 

相談者「リク」さんから寄せられた感想

内容ですが、とても参考になりました。自分が考えてたマネープランに近かったので、間違いないと自信をもてました(特に、固定金利で25年や教育資金が考えていたプランとほぼ一緒でした)。後は、死亡保険や収入保障保険も、今後、考えていきます。たいへん貴重なアドバイスありがとうございました。

教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 





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