独占禁止法の目的とは?


私たちが普段買い物をするときのモノやサービスの価格を決める要素の一つに、競合他社の価格があります。つまり同じような商売をしている会社の価格を参考にするということです。それでは、価格競争がなくなると、どのようなことが起こるでしょうか?他社の価格を見て自社の価格を決めるということが必要なくなると、売り手の価格決定力が強くなります。こうなってしまうと、消費者の選択によって価格が決まるというメカニズムが働かなくなったり、さらには売り手が価格維持のため生産量を調整することで、消費者にとって必要なだけのモノやサービスが行き渡らなくなったりという弊害が生じます。

価格や機能などを比較して、本当に欲しいものを買うことが、消費者にとって買い物のあるべき姿です。独占禁止法は、モノやサービスの価格決定について、他社との競争を通して適正に決まるようにする、言い換えれば、価格決定権を売り手ではなく、消費者に持たせるための法律といえます。

独占禁止法の規制パターン1 他社との競争の回避


独占禁止法が規制する行為は、他社との競争を回避することを目的とするものと、他社との競争を排除することを目的とするものの2パターンがあります。

他社との競争を回避する方法として有名なのはカルテルです。カルテルとは事業者が密かに共同して、モノやサービスの金額を取り決めたり、生産量を制限したりする行為です。カルテルを結ぶことで、会社間の価格競争が失われることで価格が高止まりしてしまいます。このため、独占禁止法では、業者間が意思疎通して価格や生産量などを調整する行為を禁止しています。この他にも国や自治体が発注する工事などの入札について、業者間で入札額を裏で取り決める談合なども独占禁止法により規制しています。このように、競争を回避する目的で業者間で取り決めを行うことを、独占禁止法では「不当な取引制限」と呼び、禁止しているのです。

独占禁止法の規制パターン2 他社との競争の排除


他社との競争を排除する方法はさまざまです。典型的なものは、必要以上に安い価格、例えば原価割れの価格で商品を販売する行為、いわゆる不当廉売(ダンピング)です。一見すると消費者にとってモノが安く買えることは良いことのように思えます。しかし、多少安売りをしても事業に影響がないような会社が原価割れするような安い価格で販売することは、結果的にほかの会社の撤退を招き、最終的にはダンピングしていた会社が生き残り、価格競争が行われなくなるという可能性があります。このため、必要以上に安い価格での販売は禁止されるのです。企業努力でコスト削減を行った結果、他社より安い価格で商品を提供すること自体はもちろん問題ありません。しかし他社の事業を潰す目的などで必要以上に安い価格を設定することは独占禁止法に抵触しうるということです。

この他にも、競合他社の取引先に限って値引きを行って顧客を奪うことや、競合他社と取引しないように取引先に働きかけることなども独占禁止法の規制対象です。このように競争を排除する目的で他社を締め出そうとすることを、独占禁止法では「私的独占」や「不公正な取引方法」と呼び、禁止しているのです。

独占禁止法には、このほかにもさまざまな行為が禁止されています。実際には、どこまでが企業努力なのか、どこまでが競争を制限する目的でやった行為なのかの線引きは、個々のケースごとに判断されます。独占禁止法の規制に共通しているのは、企業間で自由な競争を行わせることで消費者の利益を保護することです。


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