中古マンションの成約件数は、対前年同月比プラス16.1%。新築マンションの契約率は、61.6%と低調
東日本レインズ発表の2016年10月度の月例速報によれば、首都圏中古マンションの成約件数は、対前年同月比16.1%増加の3361件。成約平米単価も+6.1%と上昇トレンドが続いています。一方、新築マンション市場は、不動産経済研究所発表の<首都圏のマンション市場動向10月度>によれば、供給戸数は対前年比0.6%減少の2903戸。契約率も61.6%と低調です。販売残戸数も若干増加し、6,366戸となっていて昨年10月末の5019戸と比べて増加しています。平米単価は、対前年同月比で4.5%上昇しており価格上昇も売れ行き鈍化の一因と思われます。中古市場も新築市場も好調物件もあれば、販売長期化物件もあります。購入する方も、売却を検討する方もエリアごとにマーケットが異なる点は、留意したいところです。
先述の月例速報の中古マンションデータ(10月度)を見ると、成約件数を対前年比で大きく伸ばしているのは、東京23区でプラス19.2%。さらにエリアの内訳をみると城南エリア(目黒・品川・大田・世田谷)がプラス32.8%の大幅増、次いで城東エリアがプラス24.7%と大きく成約件数を伸ばしています。
一方、都心エリアはプラス7.8%の伸びに留まり価格も対前年同月比で、1.9%ダウン(成約平米単価)となっています。城南エリアは、新築マンション価格が大きく上昇し売れ行きがやや鈍っているエリア。新築の価格動向も中古マンションの売行きに影響しているようです(成約平米単価は対前年比で城東エリアは、+9.3%、城南エリアは、+3.5%)。
また、首都圏中古マンションの在庫件数は対前年比11.4%増加の42,189件。対前年比で17カ月連続で在庫件数は増加しており、エリアによっては価格の調整局面が早晩訪れるかもしれません。
トランプ大統領誕生のマンション市場への影響は。円安や長期金利の上昇で、インフレ方向にシフト?
今後のマンション市場に影響を与えそうなのが、アメリカの大統領選挙でのトランプ氏の勝利です。政策として掲げていた減税や公共事業の増加などの影響を市場が織り込み、インフレ期待からドルの上昇、長期金利(ドルの)の上昇、株価の上昇(インフレヘッジのため)につながっています。日本市場でも、円安、株価上昇、長期金利の上昇などの影響が出始めています。円安や株価上昇は、不動産価格の上昇要因にもなり、長期金利の先高観は住宅購入を促すかも知れません。円安は、輸出企業には追い風であるとともに海外投資家にとっても日本の不動産に割安感が出ます。
一方で、輸入材の価格の押上げ要因となりやや落ち着きつつある工事費が再び上昇するかも知れません。長期金利の先高観は、一時的には住宅取得を促すかもしれませんが、金利上昇は不動産投資信託の収益を圧迫します。不動産価格にマイナスの面もあることは、知っておきましょう。トランプ氏が大統領に就任するのは来年の1月20日。プラス面もあれば、マイナス面もあるので当面は方向感がつかみにくい状況になるかも知れません。
マンションをこれから購入される方にとって、留意していただきたいのは長期的な視点で、考えるということです。不動産の価格は、需要と供給で成り立ちます。短期的に上がる、下がると悩んでも仕方がないことです。そして、市場の予想には限界があります。
しかし、確実な未来を予想をするのは難しいことですが、家族の将来を思い描くことは可能です。こういう時期だから、マンション購入の軸をしっかり持って検討しましょう。将来のライフプランの実現のために購入準備することは可能です。「ピンチとチャンスは同じ顔をしてやってくる」という言葉があるように、今の機会を活かせるかどうかも人それぞれ。当面低金利は、続きそうですから家族にとって良いマンションを早く見つけることが成功の近道ではないでしょうか。