資産価値は「売る値段が購入時よりも下がらないか」を考える
家を買うとき、資産価値を気にする人は少なくないと思います。でもそう考えると、一等地の高級物件や土地しかないのか、値段が高くて買えない、といった話になるかもしれません。しかし単純に「資産価値を守る」という意味では、買ったときの値段よりも、売るときの値段があまり下がっていなければ、一応の成功と言えます。
自動車を例に挙げると、フェラーリなどは中古車となってもあまり値段が下がらないことで有名ですが、そこまでではなくてもトヨタのランドクルーザーや三菱パジェロといったSUVや、同じくヴェルファイアなどの高級ミニバンは中古になっても海外市場で高く売れるため、下取り価格は比較的安定しています。
ランクルやパジェロは未整備な道路が多い新興国で人気ですし、高級ミニバンは送迎用需要が大きく、アジアの都市部で人気です。そのため、年式が新しい場合、買った値段とほぼ同じかちょっとだけ下がる程度で売却できるケースも少なくありません。
このように、最初の車両価格が高かったとしても、下取り価格も下がりにくければ、トータルの出費はさほど変わらないということになります。
ただ自動車と違って、不動産の場合は人気のない物件を選んでも問題ないケースがあります。
車は工業製品であり経年劣化していくため、走行距離や年数に応じて、値段は限りなくゼロに近づいていきます。しかし不動産の場合はやはり相場があるため、一等地でなくてもゼロにはなりにくい特性があります。
つまり、仮に人気のない郊外の物件でも、十分に値段が下がった価格で買えば、さらに下がる余地は限定的なので、売っても損失が小さいということです。
想定されるキャピタルロスが小さければ資産価値は維持できる
たとえば、郊外でバス便の新築戸建を2,500万円で買ったとします。建築費が1,500万円で、土地の評価が1,000万円とします。仮に30年後に1,000万円で売れたとしても1,500万円の目減りですから、これは相当のキャピタルロスです。しかし、その物件を1,000万円で買った次の所有者は、仮に売れなかったとしても損失は最大1,000万円に限定されます。しかし、土地の値段はゼロになることはありませんから、リスクはもっと限定的です。
ほぼ土地値で建物はタダのようなものですから、それ以降の年月が経ったとしても、それ以上に値段が下がるリスクは抑えられます。
不便な場所ゆえに土地値以下になる可能性はありますが、800万とか500万とか、土地値を下回る値段にすれば割安感が出て、買いたい人も出てくるでしょう。
もちろん、理由があって人気のないところ(地盤が悪いとか、治安が悪いとか)は避けるべきなのは言うまでもありませんが、最初からほぼ下がりきった価格で買えるならば、キャピタルロスは最小限で抑えられます。
つまり、高級な場所でなくても、仮に人気のない場所であっても、そこからあまり下がらないであろう値段で買えるならば、想定されるキャピタルロスは小さく、資産価値を維持できるということです。
ただし、バブルのころに流行った投資用リゾートマンションのように、ほとんどタダ同然の値段でも買い手が付かない物件もあるので注意が必要です。